表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/21

創造開始


 この異世界に来て2週間ほどになる。


 一日は午前に騎士長からの指導。午後からは自主訓練。日没以降は自由時間となっている。


「さて……ようやくだな」


 今は日が沈んだ後、つまりは自由時間だ。

 場所は王城わきに建てられた、寄宿舎にある自室の中。そこで、俺は自分のステータスとにらめっこしていた。



──────────

名前:名瀬なぜ雪兎ゆきと

年齢:17

Lv:0

種族:人間(男)

職業:なし


~能力値~

器用値:0

敏捷値:0

魔力値:0

知力値:0

筋力値:0

生命力:0

精神力:0


固有スキル

『無への還元』(CP:1030)

『有の創造』

共有スキル

『なし』

───────────



 『有の創造(封)』から、『封』の字が取れたのである。

 それと、CPがついに1000を超えたのだ。これは豊島が毎日毎日、俺を殺し続けるために貯まっていた。最近は加速度的に俺の殺す回数が増えたから、CPもたんまりと貯まり続けている。

 そして、1000を超えたその時──俺の頭にある言葉が響いたのだ。


『CPが1000を超えたので、創造の力を解放します』


 といった具合に、だ。

 だが、その時は豊島に頭を潰された時だったために、すぐに確認──という訳にはいかなかったのだ。


「どうやって発動するんだ……?」


 自室の中で一人悩む。

 こういう時に、相談できる友達がいないってのは悲しいな。

 一応、秋守という友達がいるにはいるのだが、夜中に女子の部屋へと向かう度胸など俺にはない。


「とりあえず、念じてみるか」


 目を閉じて、精神統一でもするかのように脳裏で『有の創造』と連呼する。

 だが、やはりというか何も起こらない。


 創造っていうくらいだから、何かを創り出すスキルなのだろう。

 それに、CPが100になった時に解放されたわけだから、『有の創造』とCPは何らかの関係があるはずだ。

 想像するに『CPを使って何かを創り出す』スキルといったところか。


「例えば、剣を創造──とか?」


『具体的なイメージをして下さい』


 おっ、当たりか?

 とりあえず謎のアナウンスに従って、頭の中に剣を思い浮かべる。


「剣を創造──」


『剣を創造します。必要CPは5です』


 どうやら正解らしい。

 CPは1030もあるからな。試しに創っても問題は無いだろう。

 俺が再び念じると、目の前に淡い光を湛える剣の形をしたホログラムが現れた。そして、その柄を握ると淡い光は静まり、剣が具現化する。


「──っと、重っ」


 重さのあまり落としそうになる。

 だが、重さがあるってことは、実際にここに存在するってことだ。

 とりあえず剣はクローゼットの中に入れておく。訓練で使った剣などの武器は、いつも回収されているのだ。万が一、持っているのを見られたらマズイだろう。


 それからも、剣以外の色々なものが創造できるか試してみた。

 具現化まではさせてないが、確認のアナウンスだけで創造ができるのか、そしてそれに必要なCPが分かるからな。


「だいたいの物は創造できるな……」


 武器に限らず、食べ物や生き物であっても創り出すことができるようだ。


 なんでも──と、言われると年頃の男子としてはアレを創造してみたくなってしまった。もちろん卑猥なもんじゃないぞ?


 脳裏で想像したのは剣だ。

 だが、ただの剣ではない。


 燃える赤い刀身、

 それは強い熱を放つ、

 世界を焼き尽くすほどの熱を、

 それはまさに太陽そのもの。



 その名は──



「レーヴァテイン」


『レーヴァテインを想像します。必要なCPは50000です』


 めっさ高い。

 だが、神話上の武器まで創造できるなど、チートの臭いしかしないな。

 んー、ここまでくれば創造できないものはないと思っていいようだ。


 てか、夜ももう遅いよな。

 眠いし、そろそろ寝よう。

 魔力によって灯る照明の光を落とし、ベッドに身を乗せる。


「例えばだけど、物以外……スキルとかは創造できるかな?」


 ふと、そんな考えが脳裏をぎった。

 まさかとは思いつつも、眠気のあまり思考が上手くめぐらない。

 ダメだな、このことは明日に持ち越しだ。


 そうして、俺はゆっくりと目を閉じた。




***




 はい、今日も豊島に殺されたよ。

 9回もな。一度の死でCPが10ほど貯まるのは確認済みだ。今日だけで90も貯まったってわけだが、嬉しくはない。


 さて、時は日没の自由時間。

 俺の姿は図書館にあった。その手にあるのは以前も何度か目を通している『スキル百科』である。一般的に知られているスキルの習得条件や、その効果などを事細かに記載している本なのだ。


 試しに、適当に目に付いたスキルを創造できるか確認してみる。


「槍術Lv.Maxを創造──」


『スキル『槍術Lv.Max』を創造します。必要CPは200です』


「あっ、できるんだ」


 しかも、200って少なくないか?

 スキル百科には、50年ほど槍を握り続けた才ある達人のみが習得できるとある。それがたかがCP200て……。

 いや、逆算してみりゃ、200稼ぐのに俺は20回殺されてるわけだからな。そう考えると割にあってると言える……のか?


「でも、共有スキルの最大習得可能数は20だからな……」


 迷うが、習得しなければ強くなれないのも事実だ。

 強くなる……あっ、そういや能力値も創造できるんだろうか? 早速、試してみる。


「筋力値を創造──」


『筋力値を創造します。必要CPは能力値1につき1です』


「これ……チート過ぎね?」


 少しばかり冷や汗が滲む。そりゃそうだ。

 このスキルは、使いこなせばどこまでも強くなれる。そんなスキルなのだから。


 これはCPをステータス上昇に使うべきだな。

 さて、どれを上げるか。

 七つある能力値のうち『生命力』と『精神力』は、なかば不死身である俺には必要ないものだろう。毒にかかれば自殺すればいいし、魔法によって操られそうになったのなら自殺すればいい。


 簡単に自殺というが……CP取得の検証で、自殺や自傷行為は経験済みなのだ。今更である。


 となると、残りは『器用』『敏捷』『魔力』『知力』『筋力』のどれかだろう。いや、均等に割りつけるほうがいいのか?

 んー、この際だ。思い切って『魔力』は捨てることにしよう。魔法を使うのは将来の話ってわけだ。


 そんなわけで、残った『器用』『敏捷』『知力』『筋力』にそれぞれ200ずつCPを割り振ることにした。


 残りは……315か。

 Lv.Maxのスキルをひとつ習得できるな。


「まあ、無難に……これでいいか」


 俺はLv.Maxの共有スキルひとつを習得する。

 そしてできた、最終的なステータスはこんな感じだ。



──────────

名前:名瀬なぜ雪兎ゆきと

年齢:17

Lv:0

種族:人間(男)

職業:なし


~能力値~

器用値:0(+200)

敏捷値:0(+200)

魔力値:0

知力値:0(+200)

筋力値:0(+200)

生命力:0

精神力:0


固有スキル

『無への還元』(CP:115)

『有の創造』

共有スキル

『剣術Lv.Max』

───────────



 能力値合計は800。今のクラスメイトたちの能力値合計の平均と同じぐらいだ。

 だが、200といった感じに尖らせているために、俺の能力値はそこだけ見れば豊島や秋守といった実力者と大差ないと言える。

 てか、あの2人は能力値合計が1100もいっている化け物だからな。恐ろしい奴らだ。


「残りのCPで剣でも作るかな」


 もちろん、見つかるわけにはいかないから、図書館ここでは創らない。だが、スキル百科の例があるように、具体的な内容を知っていれば創造もしやすいからな。

 図書館の書物でどんな剣があるのかを調べるだけで十分だろう。もしもの時に、とっさに創造できるようになれば、わざわざ帯剣する必要も無い。


 結局、今日は図書館で自由時間の全てを過ごすことになったのだった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ