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騒乱の月夜 (2)

また遅くなってしまいましたm(__)m

理由は多々ありますが言い訳臭くなるので謝罪のみ残します。

申し訳ありませんm(__)m

暫く無言で馬を走らせると暗闇に紛れるように駆ける馬車が見えて来た。


此処からは隠密行動だ。


「エヴァン、馬は任せた」


「あいよ」

エヴァンに馬の手綱を任せると、俺は馬から飛び降り馬車へと走った。


普通の馬よりは遅いが馬車には軽く追いつける程の走力はあり、馬車に追いついた俺は手早く御者を始末すると馬車の馬との繋ぎを切った。


自由になった馬が減速しだした馬車を置いて走り去るのを確認していると、ようやく異常に気づいたのか護衛と思わしき軽鎧を纏った男が窓から顔を覗かせたが、首だけ外に出したのが運の尽き。


斬り落とした首が馬車後方へと転がっていき、馬車の通り道に赤黒い軌跡を残す。

馬車の中に転がったであろう死体を見てか、中から悲鳴と何か液体を撒き散らす音が聞こえて来たが、気にせず止まりつつある馬車から俺は飛び降りた。


これで中のタレス公と俺の他にこの場には誰もいなくなったわけだ。


ゆっくりと馬車が止まり中から転がるようにタレス公が飛び出てくると、口周りを汚く汚しながら地面へと嘔吐した。

馬車の中で首のなくなった護衛と共にいるのが耐えられなかったのだろう。


「人を殺すように命令はしても目の前で死体を見るのは初めてか…」


「ゲホッゲホッ、貴様一体何者だ!私が誰か知っているのだろう!」


「もちろんだ、だからこそここに居る」


こいつには反セレーネ派で何を企んでいるのかを吐かせて、その後は生き証人になって貰うのだ。


後はこいつを気絶させて馬車に火を放ち、エヴァンの連れてきた馬に載せて連れ帰るだけ……と考えていた時だった。


ズブッ


「な……貴様……裏切……り……」

一瞬の出来事だった。

馬車の下から何者かが姿を現したかと思うとタレス公の胸から鈍く月明かりを反射する黒い刃が生えた。


タレス公から刃を抜きながら顔を上げたのは、結城と同じように黒く闇に溶けるような服を着こんだ者だった。

顔は目出し穴だけ空いたマスクを被り顔の特定ができないようにしているそいつは、恐らく男だと思われたが今はそんな事を考えている場合ではない。


あの傷だ、タレス公は即死だろう。


ならばタレス公を葬ったこの刺客に何故タレス公を葬ったか、そして雇い主は誰かを訊かねばなるまい。


「お前が誰かは知らないがよくも大事な情報源を殺してくれたな…」


「…………」


「言葉はなし……か、ならば力尽くで話させるまで!」

すかさず袖から出したナイフを投げながら結城は斬りかかるが、いつの間にやら構えていた小刀でナイフは落とされ剣は受け流されていた


殺さないように手加減しているとは言え、俺の剣を受け流すとはこの刺客も凄まじい馬鹿力だ。

殺す気で行かないと逆にやられかねないようだ。


結城は刺客の振るう小刀から距離を取ると、袖からナイフを取り出し左手に握りながら長刀を振るった。

当たり前のように受け流された事に驚愕しながら重ねてナイフを振るおうとするが、瞬間、視界に映った何かを払い落としまた距離をとった。


見れば結城のナイフに弾かれて宙を舞っているのは細い針のようなものであった。

ご丁寧に艶消しに黒く色が塗られている、この刺客が手を動かしていなかったところから見ると恐らく口から吹き矢のように吹いて飛ばして来たのだろう。


「器用な奴だ…、この武器では不利だな……!」

その場で結城は持っていた長剣を刺客に投げつけ、腰から刺客と同じ小刀を抜き放ち、刺客へとナイフと小刀の乱撃を叩き込む。

さすがの刺客も驚いたのか、コンマ数秒の隙ができ顔に切りつけるが咄嗟に顔を逸らす事で掠るだけに終わった。


だが顔を隠していたマスクが破れ、僅かに固く結ばれた口元がみえた。

このまま攻め切ろうと俺が構えた時だった…


「大丈夫か結城!」

刺客から目を離せないが聞こえて来たその声はエヴァンだった。


声が聞こえた瞬間、刺客は小刀を腰にしまうと何やら足元に何かを投げたと思うと、辺りを閃光が包み込み視界を白く染め上げた。


目が元の暗闇に慣れる頃には辺りには同じく目が慣れてきたエヴァンしかおらず、ただただタレス公の死体があるのみだった。



「逃げられたか…でもこんな平野で何処に?」

辺りは見渡せど隠れる場所など無く、月光が照らす草木が風に揺れるばかりである。

辺りを見ていると、隣までエヴァンが目をチカチカさせながら馬に乗ってやって来た。

ちゃんと俺の馬も連れて来てくれたようだが、どうやら先客が乗っているようだ。


「目眩しとは敵さんもやりやがるな、おっと…こちらに向かう途中で今の奴の仲間みたいな奴等を捕まえたんだがどうする?」


「ふぅ…、割らせる口が残ってて助かったよ、さっきの奴に話す前にタリス公を殺されてヤバかったんだ」


「それは何よりだ、じゃあ適当に縛って牢屋に入れとくから後は城のものに任せようか?」


「そうだな、俺は尋問は専門外だからな」

結城は先程の刺客に投げた長剣を拾い上げ鞘にしまいながら言った。

闘うだけならばまだできるが所詮は平和な国で育った身。

人に情報を吐かせるのは得意では無かった。


「さてと…後は証拠隠滅だけだな」

エヴァンは言うが早いか馬から降りると倒れ伏したタリス公を担ぎ、馬車に載せると腰から取り出した火薬を振りまき火を放った。


赤々と燃える馬車が崩れて残骸の山になるところを見届けると、2人は馬に乗ってその場を後にした。


跡には燻り細く煙を上げる残骸が残るばかりであった。


------------------------------------------------------------------------------------


キィィイッ


暗闇の中に金属が擦れる耳障りな音が響き、やがてガシャンッという音と共に静寂が暗闇を支配した。


その中で小さなロウソクの火を頼りに、捕まえた賊を牢屋に放り込んだエヴァンは欠伸を噛み殺しながら牢屋の鍵を閉めた。


あれから王都に戻った結城とエヴァンは途中で別れ、エヴァンは賊を牢屋に入れに来ていたのだ。

その頃にはもう朝も近い時間であり、エヴァンが欠伸を出すのも当たり前のことであろう。


眠気に耐えながら牢屋の前を歩いて帰ろうとしているエヴァンはその時はまだ知らなかった。

隣の牢屋に誰が入っているのかを……



「……お前はエヴァンじゃねえか、なんでこんな所にいやがる?」


「……頭?」



闇に包まれた牢屋の中でロウソクに薄らと照らされた男は、口元を不敵に歪ませながら口を開いた。



「久しぶりだな」


エヴァンとその男以外に聞く者のいない牢屋に声が響き、心臓を舐められるような不気味な余韻を残して消えていった。




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