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何気ない日常 (3)

長らくお待たせしましたm(__)m

どうにか更新していきます。

城の中庭へとやって来た二人は、おのおの基礎鍛錬から始め、次に型の確認や素振りを終えるとお互いに目を向けた。


結城は侍女らしくしずしずと歩み寄り、セレーネは殺気を高めながら結城の出方を伺う。

闘いはすでに始まっているのだ。


両手で長剣を構えるセレーネに対し、結城は練習用の長剣をまるで指揮棒のように片手で顔程の高さに構える。

侍女姿の結城はスカートな事もあり、動きは制限されてセレーネに有利であるかのように思われたが、結城の姿から漂う明らかに異常な雰囲気に、セレーネは下手に動けなかった。


異常な雰囲気と言っても、可愛らしい顔をした侍女が長大な剣を片手で構えていれば、誰だって異様に感じるだろうが…。




次の瞬間、堪えかねたのかセレーネが動いた。


「えぇい!」

気合いと共に一文字に斬り払われた長剣を、俺は下から払い上げ軌道を逸らす。

だがセレーネも見切られる事を分かっていたのか、素早く振り上げられた剣をそのまま袈裟斬りに振り下ろした。


ギギィンと耳障りな音を立てて振り下ろされた刃は動きを止めた。


「全力の一振りを片腕で止められるとは…やはり結城を相手にするなら長剣では駄目だな」


「他の武器を使うのか?まぁ練習になるし、その武器での目線も学べるからいいとは思うが…」


「いや武器を変えるつもりは無い、ただ…小細工は必要だと思ってな!」


瞬間、セレーネは拮抗してギチギチと音を立てている長剣から手を離したと思うと、素早く顎めがけて掌底を繰り出した。


突然の事に驚きながらも慌てて自分も長剣から手を離し、繰り出される掌底を躱した。


その次の瞬間、セレーネは俺の手から離れた長剣を掴んだかと思うとそのまま俺に突きつけた。


「降参か?」


「……降参です」

一瞬の早業に唖然とするより他なく、俺は両手を上げて降参の意を示した。


「フッフッフ、ようやく結城に降参と言わせたぞ!」


「まさかセレーネがそんな手を使ってくるとはね…、誰に教わったんだ?」


「それは…」

セレーネが答えようとした時、中庭へと足を踏み入れたものがいた。


「俺だよ結城」

声がした方へと目をやるとそこに居たのは元山賊のエヴァンだった。


今はセレーネのお抱えの傭兵として城にいるが、偶に他の仕事も手伝ってもらっている。


「エヴァン…さん、姫様にそのような技を教えるのはどうかと…」


「別に女官長に告げ口なんかしないから普通に話してくれないかねぇ、結城の女口調なんか聞いても寒気しかしねぇからな」

こちらへと歩きながら飄々と言ってのけ、エヴァンはセレーネに向けて簡易的な礼をした。


「おはようございます姫様、その様子だと上手くいったようですね?」


「あぁ、初めて結城に参ったと言わせたぞ、礼を言わせてくれ」


「私のような傭兵には勿体無いお言葉、ありがたくお受けします」

エヴァンはこちらを見てニヤニヤしながら言ってのけた。


こいつも随分ふざけた男だが実力は確かである。

その気になれば、城の兵など数人程度なら軽くのしてしまうくらい容易いだろう。


「全く……仕事は進んでるんだろうな?」


「勿論、抜かりなんざありませんよ」


「女の扱いばかり上手くなりやがって…そのくせ仕事はキチンとやるんだからな」


「んん?そんな口聞いてると女官長が聞きつけて来ちまいやすぜ?」


「それだけはやめてくれ…」

エヴァンの言外の脅しに屈するのは癪だが、女官長の特訓と言う名目で行われる女口調の練習はもっと嫌だ。


俺は一つ溜息を吐いて侍女服の汚れを叩いて落とし姿勢を正した。


「姫様、そろそろ会議の時間では?」


「あぁ、そうだったな…一時は掛かるだろうから休んでいてくれ」(一時=約二時間)


「かしこまりました…」

セレーネが行ってしまうのを確認し俺はエヴァンに身体を向けた。





「それじゃあ、成果を聞こうか?」


「やはり反セレーネ派が逃がそうとしてる、今夜あたり城を出るでしょうな」


「そうか…今夜いけるか?」


「勿論」


「城門前だ、仕事が済んだら行く」


「了解です」

そう話して俺たちは別れた。


突然ですが心機一転名前を変更しました。

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