意外と冷静でいられるものだねぇ
「全く、事実は小説より奇なりとはよく言ったものだねぇ」
あきれた様子で所謂ゴスロリな格好をした少女が辺りを見回す
「とりあえず現状の把握でもしようか」
そう言ってゆっくりとした足取りで歩き出した
このゴスロリ少女の名はチシャ今日本で一番熱いと言われるVRMMO(以下RO)のプレイヤーである。いや、あったと言ったほうがただしいか
チシャがいつものようにログインしたらなぜか、前回ログアウトした場所ではなく自身が率いるギルド《ミラージュ》のギルドタウンその自室にいた
それだけならただのバグで済むのだが何か違和感を感じて首を軽く傾げると腰まである髪が揺れていた
あまりにも自然に
確かにまるで現実の様だと言われるROでも再現しきれない物もあった。
その最たる例が髪である。
つい先日異世界トリップ系の小説を読んだばかりのチシャは「まさかね」っと呟きシステムメニューを出した
システムメニューからログアウトの文字だけが消えていた
少し歩くと小さな声が聞こえてきた
「目的がある訳でもなしいってみるかねぇ」
声のするところに向かうとそこはギルドの仲間達と何か重要な事を決める時には使う会議室だった
ドアに手をかけると中の声が聞こえた
「だから…だろう!」
「しかし…それ…じゃないか!」
その声に聞き覚えがなく躊躇するがここは私の城だぞっと気合をいれてドアを開けた
「誰だ!今は会議中だ…と」
その声に覚えはない、しかしその姿は自分が誰よりも知っているものだった
何故なら彼らはNPC私が生み出し育てたのだから