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あの日みた空。  作者: はる汰
第一章
5/6

フルーツポンチ



「ちょっと休憩ー。」


「やったー。フルーツポンチ〜♪」


勉強を始めて早一時間。やっと駿介からの休憩をもらった愛華はすぐにフルーツポンチに手を伸ばした。


「相変わらず、よくやるよな…」


「ほんとねー。でもあたしこれ好き」


駿介が言っているのは、フルーツポンチのフルーツのことである。ただ切ればいいものを、千代子や恭子は星やハート、花など、型でくり抜いて作っている。細かいことを面倒だと思ってしまう駿介は、いつもよくできるよな、と感心と少し呆れの感情が出る。


「まぁなぁ…。」


しかし、なにを言っても普通の切っただけのフルーツよりはこちらのほうが美味しそうに見えたり、よかったりする。さすがに弁当などににんじんが型抜きしてあるものは、同級生の友達に見られると恥ずかしいが。


「あ、そういえばしゅんちゃん、3組の子に告られたんだって?」


フルーツポンチをもぐもぐ食べながら、愛華は駿介を見た。すると駿介は少し眉間に眉を寄せた。


「んー。まぁ。なんで知ってんの」


「女子の噂なんてすぐ広まるんだよ。どこからともなく」


その子と全然関わりがなくても、その子と仲の良い友達から自分の友達、そして自分の友達から自分に流れてきたり。噂なんてあっという間に広がる。


「可愛い子なのにフったんだってねー。もったいない」


「…いいの。それに、好きでもないのに付き合うのも失礼だろ」


「んまぁ、確かにそうだけど」


「いいから、勉強再開!」


食べ終えた皿を机のはしに置いて、さっきの続きの問題集を開く。


考えたらしゅんちゃんって彼女いたことないんだっけ。わりと、かっこいいと思うけどあんまり告白もされないよねー。…あ、でもだからあたしってしゅんちゃんと一緒にいられるのか。彼女いたら、こんな風に一緒になんて、いられないよねー…。


「愛華聞いてる?」


「え?ごめん、聞いてない」


「…素直だな。ちゃんと聞けって。」


「ごめんごめん」


そっか。…そっかーーー。


そしたらこんな関係なんて、終わっちゃう。幼なじみなんて、脆いよな。…まぁでもそしたらあたしも作るしかないか。彼氏。って、簡単に出来たら苦労しないわな。


「…愛華」


「あ、ごめんごめん」


はぁ、と大きなため息をつきながらも、ちゃんと勉強を見てくれる駿介だった。






「じゃあねー、おやすみー」


勉強が終わって愛華が帰る頃には、千代子と聡はもう秋山家にはおらず、恭子と道将は眠りについていた。


「おう、じゃあなー」


もと来た道を駿介は戻っていく。距離という距離もないのに、駿介はいつも愛華を家まで送る。いい、と愛華がいっても、心配だからな、の一点張りである。もう愛華も送ってもらうことには慣れた。





…もう寝ちゃってるな。なんでうちの親と恭ちゃんたちってこんなに寝るの早いんだろ。ーーといっても、もう0時前だ。当たり前といえば当たり前。


「………」


告白されたの本当だったんだなー。なんで断ったんだろ。もったいないなー。


愛華はその告白の話を聞いた時に、3組の子を見に行った。小柄で華奢なその子は、ふわふわしたうさぎみたいですごくかわいかった。…あんな子に告白されたら、普通おちちゃう。そう思った。


「…なーんで断ったのかな、ほんと」


てか今日思ったけど、あたし…。


「恋愛とかって、あんまりしゅんちゃんと話したことないなー…」


そんなことを思いながら眠りについた。





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