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プロローグ
ーーーピッピッ…ピッ…ピッ
ぎこちなく、不安定な音が響く。
私の心臓はどくどくと大きな音を鳴らし、今にも飛び出しそうなほど動いていた。
*
昔、幼なじみが飼っていた犬がいた。トイプードルで、もこもこしていたから、名前はモコ。そんなモコは、私たちが5歳の時に死んだ。私たちが生まれる前から飼っていた犬だから、もう寿命だったらしい。
「…モコ、いなくなっちゃった」
そのとき、幼なじみより私のほうがショックを受けていて涙が止まらなかった。自分たちで作ったモコのお墓の前で、私たちは座っていた。正確には私が動かなかった。
「どぉして居なくなるの…?ひっく、やだぁぁぁぁ」
そう言うと、ずっと隣で座っていた幼なじみが立った。そして、私の頭をわしゃわしゃと撫でた。
「泣くな。俺は死なない。絶対、お前を置いて死なない。だから、もう泣くな。」
顔をあげると、涙目の幼なじみがいて、私はうん、と頷いた。