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<五>同窓会の通知

<五>同窓会の通知

 

 華絵が高校の卒業式を終えて間もなくのある日、家に久子の小樽の高校時代の同窓会開催の連絡と出欠確認票が送られてきた。久子は小躍りして喜んだ。高校のクラスメートとは卒業以来二十五年振り、華絵の出産の時に再会を約束した琉依や看護士の田所君とも十八年振りの再会である。

――私達、もう四十三、四歳。みんな変わってるだろうなあ。ああそうだ。同じ日に同じ場所で生まれた娘達二人もお互いに顔合わせてあげたいなあ。返信に琉依への伝言頼んじゃおう。琉依の娘さんも、ええっと名前なんていったっけ。そう、百合だ。できれば百合さんも連れて来てって。

 華絵は大学へは進学しない。松原家にとてもそんな金銭的な余裕は無いし、華絵自身も特に大学に行きたいとは思っていなかった。むしろ彼女は早く社会に出て一人前の大人として自活していきたいと思っている。華絵ならやっていけそうだ。

 久子はこれからしばらく華絵と一緒に旅行する機会も無いと考え、卒業記念も兼ねて華絵自身が生まれた地へ二人で旅行しようと考えた。華絵はとても喜んだ。これまでの彼女にとって『家族旅行』などというものはおよそ無縁だったからだ。夫の陽平は母子水入らずの旅行ということで敢えて一緒に行くとは言わなかった。

「これで行ってたっぷり楽しんでこい」

 そう言って陽平は自分のへそくりの二十万円を久子に手渡した。久子はすんでのところで自分のへそくりを引っ込めた。

――危ない、アブナイ。先にへそくり白状するところだった……。

 かなり低次元なやり取りである。しかし、本人達にとっては大事なことであった。


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