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<十七>繋がった事実

<十七>繋がった事実


 全てのことが久子の頭の中で繋がった。家出した百合が家の借金苦を打開するため、裕福な実業家の男児を誘拐し脅迫し、身代金をまんまと受け取り男児を小屋に置いたまま逃げた。

 大人びた声で脅迫してくる女がまさか高校生くらいの子とは警察は盲点だったに違いないし、思いもつかなかっただろう。いや、男児が無事保護された今もまだ指名手配が出ていないということは、未だに犯人が特定出来ていないということだ。そこで疑いは久子へかけられた。

 久子は警察に泳がされているのだ。

 夫の陽平は久子を誘拐の犯人であったとは思っていない。思いたくない。しかし、彼の得た情報では否定できないことがあまりにも多過ぎる。彼は久子がそうではないことを自ら証明することに期待しているのだ。

 久子は夫の陽平に対し、「逃げも隠れもしないわ。私は誘拐犯じゃないんだから」と言いたかったが、決してそれは言えなかった。今では分かってしまった血の繋がった実の子、百合が誘拐犯であることは、もはや琉依の手紙からも疑いの余地すらない。久子にとっては、手紙の末尾に「彼女には出生の秘密を会って話した」ということが気持ちに引っ掛かっていた。

 そして本当の子、百合は自らの命を琉依の目の前で絶ったこと。そして、「あなたの子はもうこの世には居ません」と結ばれていたことが胸に強烈に突き刺さった。血を分けた我が子がそんなに苦しんでいたことをも全く知らなかった久子。

 百合は家の借金苦に娘なりに悩み苦しみ、家出をして誘拐という凶悪犯罪に手を染めた。しかし、その最期は自分が実の子でないことを知らされ誰も信じることが出来ずに自らの生涯を閉じた。彼女の人生を狂わせたもの。それは病院のたった一つの誤りと心無い隠匿だ。


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