第6話 エルフ
シロウが洞窟内に潜入した時のこと。気配を読みながらすれ違う盗賊たちを暗殺してまわり一番人が密集している地点へと向かう。
「(おそらくここには……)」
シロウの予想通りたどり着いたそこは鉄格子で閉じられその前には見張りがひとり。拉致した人たちが収容されている場所だった。
「はあ……なんだって俺がここで見張りなんてしなきゃいけねえんだよ……」
溜息を吐きながら愚痴を言っている見張りの男を同様の方法で暗殺。
「ッ!?」
バタン
「(とりあえずこれで奥の奴ら以外は抹殺したか)」
シロウはそのまま仙気術「赤爪」にて鉄格子を切断して中へ入る。
キン!
すると見張りを殺したり鉄格子を切断したり見えない状態で行っていたため拉致されてきた人々は恐怖する。
「な!?なんなんだ!?」
「なにが……起こっているんだ……」
「ママ……こわいよ……」
「大丈夫よ。ママがついているもの。だから大丈夫」
だがそんな中でみんなを守ろうとひとりの女の子が入り口に睨みを利かせる。その女の子は美少女であり耳が尖っていた。
「(ほかとは違う特徴……あれがエルフか?)」
エルフについて考えながらもシロウは仙気術「白朧」を解除しようとするとシロウを見ながら声をかける。
「誰!姿を隠しているみたいだけどそこにいるのはわかってるのよ!姿を見せなさい!」
「(バレている?気配も姿さえも見えないはずだが……なんらかの感知方法があるのか)」
シロウはその女の子の言葉に従い仙気術「白朧」を解除した。すると登場したのが恐ろしい風貌の男ではなく青年ということで少なからず恐怖は和らいだ。
「わたしの名前はシロウ・ヴィック。あなた方を助けに来た」
「……完全に姿が見えないその術……ウロボロスの連中じゃないの?……」
どうやらウロボロスと対峙したことがあるらしく仙気術「白朧」を解除して姿を現したシロウをウロボロスの一員ではと疑っているらしい。
「私は奴らとは敵対している。この術について話すよりも早く逃げたほうがいい。ここにくる道中の奴らは殺してきたから安全だがいつ奥で固まっている奴らがやってくるとも限らない」
そう言うとシロウにお礼を言いながらも一目散に逃げだす人たち。
「ありがとう!」
「本当にありがとう!」
「まさか生きて帰れるとは!」
「君は救世主だ!」
そして最後に部屋を出ていこうとするエルフの女の子。その子にシロウは問いかける。
「君が私を見抜いていた方法を聞かせてほしい」
「……わたしたちエルフには精霊様がついてるの……」
「精霊様?」
「この星の自然を具現化したような方々と言えばわかる?精霊様にその姿を隠す術は効果がないのよ」
「……そうか……これがエルフ……」
その女の子は去り際に最後の一言を残した。
「私の名前はリ=シャ=スウィスト。あなたがウロボロスと敵対し続けるのならいつの日か交わるかもしれないわね」
それだけ言うと去っていったエルフの女の子。リ=シャ=スウィスト。
「……まだまだこの世界について知らないことが多いようだ……」
そこからシロウは宴会している盗賊たちのもとへ行き事前に入手しておいた十数本の木の枝を仙気術「赤」の要領で硬質化。それを棒状の苦無として一気に投擲。そのすべては見事に一本一殺。残りの盗賊もひとりひとり殺して回り残ったのがバレル盗賊団の団長バレルのみとなった。
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「てめえ……なにもんだ……」
「私はシロウ……世界の膿を駆除するものだ……」
残りひとりとなったところでまたしても仙気術「白朧」が看破された。
「(……この短時間で2人に見抜かれたか……)」
仙気術「白朧」を絶対視はしてはいなかったが思っているよりも見破る方法はあるということを頭に入れておかなければ。
「世界の膿を駆除? へっ!大層なことを言ってんじゃねえか。だったらそれを証明してみやがれ!おらあ!」
ボボボボボボボボ!
バレル盗賊団団長バレルは右腕を炎の腕へと変えて火の玉を途切れることなく連続で放つ。それを私は動き回ることで回避。
「随分と特殊な身体をしている」
「はっ!俺様はスキル『炎化』を持った炎人間なんだよ!てめえが消えたところで生きてる限りその熱で俺様から隠れることは不可能!途切れることのない炎の攻撃に焼かれて死ね!」
無尽蔵に放たれ続ける火の玉。速度は遅いため回避自体は容易ではあるがその数の多さから容易には近づくことができない。だが近づけないのなら遠距離から攻撃すればいい。
「仙気術『黒点』」
ボン!
仙気術「黒点」・・・それは身体能力や破壊力を強化する仙気術「黒」の破壊のエネルギーを凝縮し手の平から黒い塊として生み出して放つ。それは破壊そのものとなっており威力は桁違いに高い。だがその黒い塊を見た瞬間にバレルは笑みを浮かべた。
「……」ニヤリ
そのまま黒点がバレルの身体に当たると思われたが黒点はバレルの身体を通り抜けてしまった。
「……これは……」
「世界の膿を駆除する?この程度の実力しかねえのにか?」
そう言うとバレルは両足を炎のそれへと変え急接近。
バン!
「(速い)」
その速度は炎によって強化されているようでそれは仙気術「青」をより強化した短距離高速移動術である仙気術「青流」に迫る速さを持っていた。そして私に接近すると流れるように腕が炎へと変換。炎の腕が私に振り下ろされた。
「死ねや」
ブオン!
勝ちを確信したような低い声での一言。だが直後に地面に倒れていたのはバレルのほうだった。
ドゴン!
「がっ!?馬鹿、な!?」
バタン
「ふう……確かに強くはあった。おそらくウロボロスの支部長は軽く超えていたな……」
攻撃が通らないはずのバレルがどうして地面に倒れているのか?それは奴の弱点にある。奴は私の黒点に倒して腕の炎化を解除して腹部を炎化した。さらに接近するときには両足を炎化をしていたのに対して接近してからは両足の炎化を解除して腕に変換。このことからも身体全体での炎化は不可能か困難であるというのは自明の理。
ならばバレルが油断をし変換不可能なほどの速さで攻撃を食らわせればいいだけのこと。その程度ならば仙気術を使用せずとも十分可能であった。
「て、てめえ……ふざけんじゃ……」
「仙気術『赤刀』」
ザン
私は赤刀にてバレルの首を切断。これにてバレル盗賊団は壊滅となった。
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