第5話 バレル盗賊団②
馬車に乗せてもらいレイドル王国王都ローレンに向かっていた時のこと。バレル盗賊団と名乗る連中に襲撃を受ける。私は先遣隊の奴らを気絶させて奴らのアジトへと向かう。
「みなさんは王都ローレンに逃げてください」
それだけ言って私が森の中にあるアジトへ向かおうとするとセヨシさんが慌てた様子で引き留める。
「待ってくれ!?坊主が強いのは分かったがここからは騎士団に任せたほうがいい!?バレル盗賊団といやあその団長は【炎炙】のバレルとしてその恐ろしさで名が広まってるほどだぞ!?火炙りにされちまうぞ!?」
「……情報ありがとうございます……」
それだけ言って私は森の中にある外気探知にて多くの人物がいる地点へと向かった。
「【炎炙】のバレルか……スキル持ちと戦ったことはあるが異名が付くほどに悪名高い者とは初めてだな……これによってスキルの有用性がわかるな……」
この世界はスキル至上主義の国が存在するほどに気術よりもスキルが優位とされている世界。私もウロボロスを脱出後に鍛錬のために盗賊・山賊の類と戦ったことはあるが名の知れた者と戦ったことはない。そのほとんどをウロボロスの情報収集へと費やしていたというのもあるが。
そうこうしているうちに私は森の奥深くへとたどり着く。そこには洞窟が存在しその中に多くの気配がある。洞窟の入口には見張りが2人いる状態。
「……」
私は正面から歩いて洞窟の入口へと向かう。本来であれば隠れもせず堂々と正面から向かう私に見張りは気づかないほうがおかしいが奴らは私には気が付かない。
「ああ……ヤリてえ……」
「おいおい…まさかあのエルフをってんじゃねえだろうな?」
「そうに決まってんだろ。あんな美人は見たことがねえ……まさか噂に聞くエルフが実在しやがるとはな……」
「やめとけよ。あれは貴重な商品なんだ。もし手を出そうもんなら団長に炙られちまうぞ?」
「わかってんよそれぐらい。だから俺もあんまり見ないようにっ!?」
バタン
しゃべっている最中の見張りのひとりが突如として倒れる。当然ながらもうひとりの見張りは不穏な表情で声をかける。
「おいどうした?だいじょうぶっ!?」
バタン
その見張りもまた同じように倒れる。これで見張りの2人は排除した。仙気術「白朧」は気配どころかその姿さえも視認不可とする仙気術。それを使用して近づき仙気術「赤爪」にて首を刺し貫いたのみ。
仙気術「赤爪」とは仙気術「赤」の派生技である仙気術「赤刀」をさらに隠密に優れるように改良した仙気術。仙気術「赤刀」が仙気によって身体の一部を切れ味鋭い刀にするのであれば仙気術「赤爪」は爪を切れ味鋭くした仙気術。暗殺に特化した仙気術となっている。
見張りの首筋を仙気術「赤爪」にて貫き殺した私は見張りの男たちの言葉に疑問が浮かぶ。
「……エルフ?……」
この世界は前世と同様の人間のみの世界だと思っていたがどうやら違うということがこれから先の洞窟内で判明することになる。
/////
一方で洞窟内にて宴会をしているバレル盗賊団の面々。
「ぎゃはははは!」
「お前馬鹿じゃねえの!」
「いいぞ!やれやれ!」
「がははははは!」
酒を飲みながらバカ騒ぎをする盗賊たち。しかしひとり奥で騒ぐことなく静かに酒を飲む者がいる。その人物に酔っぱらった盗賊が近寄る。
「団長~!一緒に飲みましょうよ~!」
「そうっすよ団長!いつもなら一緒に飲むじゃないっすか!」
気軽に声をかけるひとりの盗賊。しかしそれに対してバレル盗賊団団長バレルは怒りで返す。
「うぜえよ」
そういうとバレルの右腕が炎のような形態となりそのまま近くにいる団員と軽く話しかけたもうひとりの団員の首をつかみ持ち上げる。
「「ぎゃああああ!?あちーーーー!?」」
そのバレルの炎の腕につかまれた2人は身体が燃え上がり叫び声をあげる。そしてそのまま壁へとぶん投げる。
ダン!
「チッ……」
バレルに燃やされた2人はそのまま焼死した。機嫌が悪そうなバレルにその一連の様子を見ていた面々は奴らの二の舞にならないように静かに酒を飲む。
「団長……なんか機嫌悪くないか?」
「バカ!?知らねえのか!?エルフを拉致るときに団長は反撃を受けたんだよ!?」
「ええ!?あの団長が!?あんな小娘に!?」
「幸い傷自体は大したことないが、それで団長のプライドが傷つけられたんだろ?」
「まじかよ。 勘弁してくれよ……団長は機嫌が悪かったらなにをするかわからねえんだからよ」
そういってチラッとバレル団長のほうを見たその団員。直後にバレルが立ち上がったことで今の話が聞かれていたと勘違いし大慌て。
「だ!?団長!?ちがうんです!?いまのは!?その!?」
しかしバレルが立ち上がったのは別の理由からだった。
「馬鹿野郎……酒を飲んでるからって敵の侵入ぐらい気づけ……」
「へ?侵入?」
そこでようやくその男は周囲を見ると自分と団長以外の面々が全員眠っていることに気が付いた。先ほどまでしゃべっていた隣の男も同様に。
「おいおい……なんだってみんなして……寝んの早すぎるだろ?」
しかし起こそうと隣で眠っている男の身体をゆすったところで気が付いた。眠っているのではなく死んでいることに。
「ひ!?ひい!?」
そこでようやく団長の言葉の意味が理解できた。周囲で眠っていると思っていた20人以上の仲間たちは眠っているのではなく死んでいるということに。
「なっ!?なんで!?どうやって!?敵なんてどこにもっ!?」
バタン
それが男の最後の言葉となった。これでバレル盗賊団で生き残っているのは団長のバレルのみとなった。
「……てめえ……なにもんだ……」
洞窟内にいるすべての団員を殺した存在が仙気術「白朧」を解きその姿を現した。
「……私はシロウ……世界の膿を駆除する者だ……」
そうして洞窟内のバレル盗賊団のすべての団員を殺しさらわれた人々を救出したシロウは残りのひとり【炎炙】のバレルと対峙する。
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