第4話 バレル盗賊団①
私がカラサイス公国を旅立って数日ほどが経過。現在目指しているのは大国のひとつでもあるレイドル王国。
そもそもこの世界には3つの大国が存在する。1つが貧富の差が少なく国民幸福度が最も高いと噂されるほどのレイドル王国。2つが議会制を採用し11の家の当主が議員となりその中から投票にて議長を決めるという変わった国家であるバーリンテッド共和国。3つが私の生まれた国でありスキル至上主義・貴族至上主義のレイドル王国とは真反対のようなアークロア帝国。
そんな3つの大国の中で私がレイドル王国を選んだ理由はウロボロスを壊滅させるためにも味方が必要と判断したため。ウロボロスはそもそもが世界中の各国家に支部が存在し裏で牛耳るほどの兵力を有している。そんな国を相手に1人で戦いを挑むというのは無謀もいいところだろう。その点でいえばレイドル王国の騎士のレベルはスキルに頼らないぶん強者ぞろいでありさらにレイドル王国には天騎士と呼ばれる最強の騎士が存在すると聞いたことがある。
「最強の騎士……天騎士……。剣術という誰でも持ちうるありふれたスキルで他国も恐れる最強の地位を確立した傑物……」
味方を実力的に頼りにできるかどうかの上限に天騎士がいる。そんな天騎士が現時点で仙気術を使用できずとも支部長クラスにさえ負ける程度の実力であればひとりで戦う方向へ考えなくてはならないかもしれない。
そんな思考しているとシロウの横に馬車が止まる。
「おう!坊主どこ行くんだ!」
「私はこれからレイドル王国の王都ローレンに行こうと思ってます」
「ローレンに行くのか!だったら乗っていくか?このまま歩いてだと数日かかるぜ!」
「ぜひお願いします」
というわけで私は親切なセヨシさんの馬車の荷台に乗ることができた。荷台にいたのは私だけではなくほかにも数人存在した。
「坊主はなんだってローレンに?しかも歩いて?」
「世界を旅してるんです。歩いてなのはお金を節約するためですね」
実際は仙気術にて走ったほうが速いからなのだがこっちの理由のほうが納得できるだろう。
「旅?ひとりでかい?危ないだろう?」
それは一緒に馬車に乗り合わせた老人。心配そうに私に話しかける。
「大丈夫ですよ。これでも気術には自信があるんです。なんどか山賊に襲われましたけど返り討ちにしたこともありますから」
私が胸を張ってそう宣言すると3人家族の子供が目を輝かせる。
「お兄ちゃん強いの!見せて!」
「こら!ジュウラ!無理を言っちゃだめよ!」
「そうだぞジュウラ。強くなりたかったらお兄さんみたいに落ち着きを覚えないとな」
「は~い」
ハハハハ!っと笑いが起こる。その場での和気あいあいとした雰囲気はしかしもう少しで王都ローレンにたどり着くという段階で壊される。
「(森のほうから数十人の気配がなだれ込んでくる。その先のアジトにも複数の気配か……返り討ちにするかそれとも……)」
私が広範囲にわたり気配を知ることができたのは自然に存在する気=外気を操作したたため。外気を操作し広範囲に広げることでその範囲に存在する生命力を持つ存在を知ることができる。これを外気探知と呼ぶ。
そして予想通りに左側の森のほうから馬車を通さんとばかりに馬車の前に人が現れる。
「おっと」
「うわっ!?」
ヒヒーン!?
慌ててセヨシさんが手綱を引っ張り馬車は停止。文句を言おうとしたセヨシさんは次々現れる存在に気圧される。そしてとうとう馬車は囲まれた。
「俺たちはバレル盗賊団だ。殺されたくなきゃおとなしくするんだな。へっへっへ」
いやな笑みを受けべて名乗る盗賊。しかしバレル盗賊団という名前は聞いたことがなかったがどうやら有名ではあるらしい。
「バレル盗賊団じゃと!?どうしてそれほどの悪名高い連中がこんな王都近辺に!?」
ご老人の言葉でバレル盗賊団がそこそこ名の知れた盗賊団であると判明。どうやらウロボロスにばかり注目しほかを疎かにしていたため知らなかったようだ。
「パパ……こわいよ……」
「大丈夫だよ。パパがついてるからね」
「大丈夫。大丈夫」
ジュウラという子供が怖がり両親が抱きしめ落ち着かせる。その両親の腕は震えながらも子供だけでも助けるという意思が垣間見えた。
「(……わざと捕まり油断させるという手段もあったが……)」
ここまで子供が怖がっているのを見てさらに恐怖を増大させるような手段はとりたくはない。そのため私は立ち上がりジュウラの頭を撫でた。
「大丈夫。言っただろう?私は強いんだ」
「お兄ちゃん?」
そうして私は仙気術「白」の派生技である気配どころか姿さえも視認不可とする仙気術「白朧」を使用した。
「え?え?……お兄ちゃんが……消えちゃった……」
その光景を見ていたジュウラだけでなくご老人やジュウラの両親も呆気にとられる。その直後に荷台へと人がやってくる。
「おら!降りやがれてめえら!お前らはこれから商品になるんだ!他国へとたかーく売っぱらってやるよ!へっへっへっへ」
そんな下卑た表情をしている男の顔面に拳を叩き込む。
ドゴッ!!
「ゴベラッ!?」
吹き飛ぶ盗賊。ぽかーん顔のジュウラたち。
「……平和のため……膿を駆除する……」
これより静かな蹂躙が開始される。
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