94.近いはずなのに
メイド服のサイズ合わせをしてから、一週間ちょっと。
私は朝日と共にアラームで目が覚め、ベットから降りて伸びをする。
今日は待ちに待った文化祭当日。中学の時とは違って、友達と可愛い彼女がいるからボッチになる心配もない。
だから楽しみで仕方のないはずなのに……気持ちが浮かないのはどうしてだろう?
私はゆっくりと絵音さんに貰った着ぐるみパジャマを脱いで、制服に着替え、鞄を持って一階へ。
そして朝ごはんを軽く食べ、
「むっちゃん、いってらっしゃい」
「いってきます」
お母さんに手を振って家を出る。その瞬間、冬らしい冷たい風が顔に当たり鞄をぎゅっと握りながら、乾いた空の下いつもの場所へと歩いて向かう。
「おはよ、夢依」
「お、おはようございます、綾」
いつもの場所へと着き、私に気が付いて優しく笑って挨拶をしてくれる綾さん。
理科室でキスをした日から比べれば、今は誰がどう見てもきっといつもの綾さんだ。
でも……
「ふふっ。今日の文化祭、楽しみだね」
私にはだけは、やっぱりどこか無理をしているような笑顔に見えてしまい、
「は、はい。あ、あの、綾……」
「どうかした?」
無理をしていませんか?そう言葉を口にしようとするけど、何故か体が拒否して口籠ってしまう。
綾さんが心配で仕方がないくせに、聞いてしまうと何かが壊れそうで、私はまた逃げる。
「い、行きましょう。綾」
「うん」
差し出してくれた手を握ってくっ付いて、少しぎこちない会話をして、お互いに気持ちを誤魔化すように学校へ。
それから靴を履き替えて廊下を歩き、飾り付けられもうすでにお客さんを迎えられる教室の中へ入ると、
「綾!夢依ちゃん!おはよ!」
上機嫌という言葉がこれ以上似合わない絵音さんが、由依さんを連れて笑って挨拶をしてくれる。
「おはよ、絵音」
「お、おはようございます」
「あと少ししたら体育館で開会式があって、それからすぐに始まりだってさ!取り敢えず私達は午前に回るから、急がなくていいって!」
「分かった」
絵音さんの説明を聞いて鞄を仕舞い、時間になるまで四人で話す。
文化祭は一日目と二日目があって、一日目は学校の生徒だけ。二日目は保護者含めて色々な人が来る。
だから、今日はあまり忙しくならないはずで、午後のメイド喫茶の接客を頑張ろうと意気込んでいると、体育館へ集合という放送がかかって、四人で向かう。
「えー、私からは皆さんがそれぞれ考えた模擬店を全力で披露して、全力で楽しんで下さい!以上!」
そうしてすぐに相変わらず短い校長先生の話と開会式は終わり、高校生活初めての文化祭が始まった。
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