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9.私の彼女

 夜の十時前、またゲームをしていると昨日と同じように雨宮さんからメッセージが来る。


『夢依ちゃん。いま暇?』


『はい!』


 雨宮さんからのメッセージに返事をした私は、ゲームを辞めて電気を消し布団に潜る。


『いきなりなんだけど、明日紹介したい人がいるんだ。夢依ちゃん嫌じゃない?』


『はい、大丈夫です!』


『良かった。それにしても、今日の夢依ちゃん可愛かったよー。私の胸の中でわんわん泣いてさ。嫌なことあったらいつでも言ってね。抱きしめてあげるから』


 雨宮さんのメッセージに思わず顔を赤くしながらも、お礼の言葉を打つ。


『ありがとうございます』


 すると少し間を置いてから、新しいメッセージが。


『夢依ちゃん。明日も一緒に学校行ってくれる?』


『もちろんです!』


 私の返事から一時間程、雨宮さんと色々なお話をして会話が終わり、私は昨日とは違いすぐに眠りに落ちた。


 ◆


「おはよ、夢依ちゃん」


「お、おはようございます」


「よし、行こっか」


 ぎゅっと優しく手を繋がれ、雨宮さんの暖かさが伝わってくる。


 私は少しそれに慣れたのか、顔を赤くしながらも下を向くことはなくなり、


「夢依ちゃん、もうすぐ体育祭だよ」


「えっ、そうなんですか?」


「知らなかったの?」


「は、はい……」


 ある程度は雨宮さんと喋れるようになり、校門を潜って教室へ。


「夢依ちゃん。昨日言った紹介したい人、連れてきてもいい?」


 入ってすぐ、雨宮さんはそう言ってきたので昨日と同じように、


「は、はい」


 大丈夫だと頷くと、雨宮さんは窓側にいた二人を連れて戻って来た。


「おまたせ」


 雨宮さんが連れてきた人は、昨日雨宮さんと昼休みに話していた二人で……


「あっ、君。昨日ぶりだねー」


 そのうちの一人は、台本を演劇部に届けたと言っていた人だった。


「えっーと、この金髪の方が鈴原(すずはら)由依(ゆい)。この赤髪のほうが木谷(きたに)絵音(えのん)。二人共私の親友だよ」


「よろしく」


「よろしくねー」


「よ、よろしく、お願いします」


 昨日旧校舎の裏で話しかけて来たのは絵音さんだと分かると同時、雨宮さんが紹介した由依さんが少し不機嫌で、私は縮こまりながら言葉を返すと、雨宮さんは次に私の方に近付いてきて……


「よし。それじゃ次は由依、絵音、紹介するね。私の彼女、吉川(よしかわ)夢依(むい)ちゃん」


「えっ……」


 由依さんが驚きの声を上げると同時に、雨宮さんの声に教室中が静まり返り、こちらに物凄い数の視線が向けられる。


 けれど雨宮さんは気にすることなく、むしろ見せびらかす様に後ろから私をぎゅっと抱きしめてきて、


「変な事したら怒るからね?」


 低い声をただ一人、教室に響かせた。

今週の投稿はもうありません。ですが、来週また投稿しだすと思います。


次回は体育祭編。


甘い青春って良いですよね。


面白い、続きが読みたい、そう思った方はぜひブックマーク!それと、

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