85.不健全
「おかえりー……あれ?なんか顔赤くない?それに、夢依ちゃんがタイツ脱いでて、綾がタイツ履いてる。もしかして、トイレでヤった?」
教室へ戻ると、すぐに絵音さんが私と綾さんの顔から足に視線を移し、首を傾げて掠っている事を聞いてくる。
それに私は口籠るけど、綾さんは動じる事なく私の手を引いてくれ一緒に座った後、絵音さんに言葉を返す。
「キスしただけだよ」
「そうなの?なら、タイツは?」
「夢依ちゃんに貸してもらったの」
「あー……エロいね、夢依ちゃん」
どこか深く頷きながら良いねと笑う絵音さんに、私は否定が出来ず、かと言って返す言葉も思い付かず、また黙り込んでいると、
「ふふっ。絵音程じゃないって」
綾さんが優しく助けてくれ、絵音さんがマジなのか冗談なのか分からない声で語り出す。
「何言ってるの?私はこの中で一番健全だよ?純粋無垢で可憐で……」
「絵音。お前、どう考えても普通に変態だぞ?」
「えっ?どこが?どこら辺のこと言ってるの?ほら、言ってごらん?」
「全部だろ」
「逆に健全な所ってあるの?」
「はぁー?酷い!私、下ネタ全然言わないじゃん!それに……」
「夢依ちゃん、お弁当食べよ」
「は、はい」
絵音さんが思っていたのとは違う反応をされたのか、珍しく口早に私健全ですよと言う御託を並べる中、それを無視して食べる準備を皆し出したので、たぶん私の方が変態なのにちょっと可哀想だなと思いつつ、私も準備をする。
「ほら、絵音。早く食べるぞ」
「私を何だと思ってるのっ!」
「うるせー」
「いい意味で変な子」
「いい意味で?使い方間違ってるでしょ!夢依ちゃんは?夢依ちゃんは私の事どう思ってるの?」
話を遮られたからか一段とヒートアップしたように反論し、急に私に振ってくる絵音さんに、馬鹿にしたら何だか悲しむと思い少し考えた後、
「と、友達が多くて、優しい人だと思いますよ」
正直に良い所を言うと、絵音さんは一瞬固まった後、
「……えへへ。夢依ちゃんだけだよ、やっぱり。どこかにいるお二人さんとは全然違って、優しくて可愛いね」
嬉しそうな笑みを浮かべて落ち着き、私への褒め言葉に嬉しくてちょっと笑うと、
「はいはい、ほら食べるぞ」
由依さんも何故か笑みを浮かべてそう言い、手と声を合わせて皆で食べ始める。
「わー、夢依ちゃんのお弁当美味しそう。唐揚げあげるから、卵焼き頂戴?」
「は、はい」
「やった、ありがと!」
無邪気に笑う絵音さんに唐揚げを貰い、美味しいなと思いながらご飯を口に運んでいると、
「夢依ちゃん。私のハンバーグあげる」
綾さんが絵音さんに張り合うようにハンバーグをくれ、お返しにタコさんウインナーを差し出すと嬉しそうに、
「ふふっ。ありがと」
お礼を言ってくれる。それに私も笑い、それからは文化祭の出し物やら、まだ先だけど冬休みの事なんかを話しながらお弁当を食べていった。
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