8.優しい子
雨宮さんとは手を繋ぐことなく校門を潜り、お互いに口を閉ざしたまま、重い足取りで道を歩いて行く。
一歩がいつもの何倍も重く遅いはずなのに、気まずい雰囲気の中で流れる時間は意外とあっという間。
昨日、雨宮さんと別れた場所に着き無言で立ち止まる。
「あのっ……」
「夢依ちゃんっ……」
何故だろうか、同じタイミングで言葉を発し、また口をつむいでしまう。
でも雨宮さんは諦めず、また口を開いてくれる。
「夢依ちゃん……その、ごめんなさい!」
頭を下げて謝る雨宮さんに、私は出来るだけ真っ直ぐ正直に心から溢れた言葉をかける。
「あ、頭を上げてください……雨宮さんは何も悪くないんです……私が、全部悪いだけなんです……勘違いして……疑って……雨宮さん、ごめんなさいっ!」
最後の言葉が自分でも驚く程大きくなり、頭を下げる。雨宮さんを何も悪くないのに謝らすなんて最低だ。
「夢依ちゃん。頭を上げて……勘違いさせた、疑われるような事をしたんなら、私が悪いよ。ごめんね」
私の謝罪に、雨宮さんはまさかの謝罪を返す。
やっぱり雨宮さんは優しい人だ。でもそれ以上に、こんな優しい人に何度も謝らせて心配させて迷惑をかけて、つくづくだめな私だと、そう思うと自分にイライラして、
「あっ、雨宮さんっ!私が全部悪いんです。あなたの彼女なんかになれるわけないって、勝手に思い込んで、嘘で告白の返事をされたとか思って傷付いて……私……私……怖かったんです……それで、雨宮さんにからかわれてるって思うと……どうして良いのか分からなくなって……ごめんなさい……ごめんなさい……」
心の中にあった感情が一気に溢れ出して、私は泣きながら謝ると、雨宮さんは私を優しくて抱きしめてくれ、耳元でまるで子供をあやす様に囁く。
「そっか……そうだったんだね……気が付かなくてごめん。でも信じて。夢依ちゃんは私の彼女で、私が世界で一番好きな人だから。絶対に、離さないから」
私はそれから、何十分もの間雨宮さんの胸の中で頭を撫でられながら泣いていた。
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