64.向き不向き
「良かったね、夢依ちゃん」
「は、はい!」
射的屋のおじさんから黒猫の小さなぬいぐるみを受け取り、大事に仕舞って返事をすると、雨宮さんは残っていた玉を四発全部打って小さなお菓子を二つ落とし、絵音さんは悉く全て外した。
「絵音、流石だね。お菓子一つあげるよ」
「気に病むなよ。ほら、ぬいぐるみ二つやるから」
「あー、もう!ありがと!」
雨宮さんと由依さんに微笑みを向けられ、拗ねながらも、反対に嬉しそうな声でお礼を言うと、
「次は絶対に取れるやつにする!あれ!」
ヨーヨー釣りの屋台を指差して歩き出したので、みんな優しく頷いて付いて行く。
「一回、百円。やるかい?……頑張ってねぇ。お嬢ちゃん達」
ささっと絵音さんがまたお金を払って、おばさんからこよりに釣り針が付いたヨーヨーを釣る物を四つ貰い、一人一人に渡してくれる。
そしてすぐに、ヨーヨーを釣りを始めて、
「取れた」
「久しぶりにやるけど、意外と難しいね。あっ、夢依ちゃん凄い」
「わ、私、これちょっと得意なんです。雨宮さん、もうちょっと右です。そ、そうして、それで、上に引っ張ったら……良かったですね」
「ふふっ。夢依ちゃん、大好き」
案の定由依さんが真っ先に釣り、私と雨宮さんもそれ程苦戦せずに釣り上げる。
そして残った絵音さんは、一人静かに何をどうしたのか切れたこよりを眺めながら、絶望的な顔をしていた。
「私、向いてないのかな……」
「おばちゃん。もう一本」
「優しいねぇ、はいよ」
「絵音、ほら」
「……何これ?」
「おい。はぁ……持て。いいか?こうやれば、すぐに取れるだろ?」
めちゃくちゃ落ち込んでいる絵音さんに哀れみの目を向けた由依さんが、後ろから抱きついて一緒にヨーヨーを取ってあげると、
「おー、由依凄いね。流石!やった!」
子供みたいに一瞬で機嫌が戻り、ヨーヨーで遊び出したので、安心した様に由依さんが息を吐くと、
「ありがと、由依」
飛びっきりの笑顔で絵音さんにお礼を言われ、由依さんが照れ隠しをするように話題を変える。
「気にするな。それで、次は何をしたいんだよ?」
「金魚すくい!」
「それで良いか?綾と夢依」
「良いよ。あっ、でも私、金魚取っても飼えないよ?」
「わ、私もです」
「いいよ!私が飼うから!いっぱい取ってね!」
私と雨宮さんの言葉にテンション高く返事をした絵音さんは、不意に由依さんの手を握ると、
「由依。次も頼んだ!」
「まじかよ」
嬉しそうというか幸せそうにぎゅっとくっ付いて、丸投げした。
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