39.恋を知ったら一人が怖い
「綾と夢依、イチャつき過ぎ」
「本当だよ。見てるこっちが恥ずかしくなる」
「見てたの?まあ、絵音と由依なら全然良いよ」
由依さんと絵音さんに言われ、また恥ずかしくて顔を赤らめる私とは違い、平然と笑いながらいつものように言葉を返す雨宮さん。
「夢依ちゃんは可愛く照れてるのに、綾は照れるとかないの?」
「ないよ」
「えー」
「相変わらずだな。少しゆっくりして帰るか」
残念がる絵音さんと、優しく笑う由依さんの前に座り、忙しく視線を動かしていると、
「ねぇ、どっちがキスしようって言ったの?」
絵音さんが楽しそうにニヤニヤ笑いながら、またそんな事を聞いてくる。
「絵音はどっちだと思う?」
「んー、夢依ちゃん!」
「へぇー、理由は?」
「何となく?」
勘が良い絵音さんに、雨宮さんは意地悪げに笑いながら、一言言葉を返す。
「残念」
「そうなの?綾が言ったの?」
「違うよ」
「はぁー?ちゃんと答えてよ!ねぇ、それはずるいってば!」
雨宮さんの言葉に立ち上がって、怒ったように少し暴れる絵音さん。
「ねぇ、夢依ちゃん!どっち?教えてよ!」
そして、私にぐいっと顔を近付けて聞いてきたので、私は少し迷った後微笑んで、
「私、です」
自分でも驚くぐらい綺麗に答えを口にすると、絵音さんは目を見開いた後、優しく笑って、
「やるじゃん、夢依ちゃん」
褒めるように言ってくれ、私の頭を撫でて来た。
◆
海から駅に戻り、電車に揺られ、沢山の話をして、日は落ち夜に。
また雨宮さんが私を送ると言ってくれ、途中で由依さんと絵音さんと別々になり、二人っきりになる。
「今日、楽しかったね」
「は、はい!」
電車の中で手を繋ぎながら座っていると、雨宮さんが不意に私の肩に頭を乗せてくる。
「夢依。大好きだよ」
「あ、雨……綾さん……」
「さんは付けなくて良いよ」
眠そうな顔で優しく笑い、私はどうすれば良いのか分からず、恥ずかしくって雨宮さんから視線を逸らしてしまうと、優しく頬触られて元に戻され、
「見ててよ、寂しいじゃん」
雨宮さんと再び目が合い私は顔を赤くしながらも、雨宮さんと見つめ合う。
真正面から微笑む雨宮さんをこんなに長く見たのは初めてで、可愛い以外の感想が出てこない。
こんな可愛い人に、何回も好きって大好きって言われていると思うと、私はそんな事を言われても良い人間なんだろうかと思ってしまう。
でも、そんな事を雨宮さんに相談したらきっと、当たり前だよ、と答えが返ってくる気がして、私は不意に微笑み、今日二度目の心の奥底から出て来た言葉を口に出す。
「綾、可愛い」
すると雨宮さんは目を見開いた後、顔を赤くして、私から視線を逸した。
初めて見た雨宮さんの照れた顔は、物凄っく可愛くて、思わず見惚れてしまう。
それからしばらくお互い無言で、駅に着き電車を降りる。
「……涼しいね」
「そ、そうですね」
ぎこちない会話。だけど、夏が潜んで涼しい風を吹かすからか心が落ち着いて、雨宮さんと二人、道を歩いて行く。
永遠に時間が止まって、ずっと雨宮さんと一緒に居れれば良いのに。そう思う度一歩、また一歩といつもの場所に近付いて、
「何も喋らず、着いちゃった」
「あ、その、嫌でしたか?」
「嫌な訳ないよ。ただ、もうちょっとだけ、夢依ちゃんの声を聞きたかったなって」
「あっ、その……ちゃんは、付けなくて良いですよ」
「ふふっ、癖で付けちゃた。ねぇ、お泊まり会、日にち決まったら言うからね」
「は、はい!」
「じゃ、また」
お別れの言葉を言われて、雨宮さんとの手が解け、一歩ずつ離れて行く。
私はそんな雨宮さんの背中に、また無言で手を伸ばして……
「あ、綾!バイバイ」
精一杯の声で背中に声をかけると、雨宮さんは立ち止まって振り返り、こちらに向かって勢い良く走り出し、思いっ切り抱きしめられる。
「そんなに……私が欲しい言葉をかけられたら、死んじゃうよ。……夢依、このままちょっとだけ、いい?」
雨宮さんの声は優しくて、感謝の気持ちがいっぱい詰まった綺麗な声で、私もその言葉に負けないよう精一杯の喜びと感謝を込めて、言葉を返す。
「はい、喜んで」
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