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34.かっこいいとは?

 機嫌が元に戻り、なんならむしろ上機嫌になった絵音さんが色々な話をして、昼ご飯をみんなが食べ終わったタイミングで、


「それで絵音。買わないといけない物って、後何があるの?」


 雨宮さんが残りの買わないといけない物を聞くと、絵音さんはスマホを少し弄り答える。


「えっーとね……ヘアアイロンと財布の二つ。それ以外もあるけど、それはまた今度で良いかな。ケーキ食べたいし」


「財布?絵音、何個か持ってなかった?」


「そうだよ。でも、全部二つ折りの財布だから、長財布が欲しいなって。由依も綾も、夢依ちゃんまで長財布使ってるから」


「別に良いだろ、二つ折りの財布でも」


「何か仲間はずれみたいでいやなの。それに、長財布ってかっこ良くない?」


「そうか?」


「絵音にかっこ良さっているの?」


 絵音さんの言葉に、由依さんも雨宮さんも首を傾げて言うと、ちょっとむすっとして、


「かっこ良いの!いるの!ねぇ、夢依ちゃん!」


 私に話を振ってきたので、私は驚きつつも目を泳がせて、


「そ、そう、だと、思います……」


 頷いて肯定すると、絵音さんは嬉しそうに笑って、勢い良く立ち上がり、


「ほら!よし、買いに行こう!」


 高らかに宣言した。


 ◆


 お盆やお皿なんかを、それぞれ買ったお店の返却口に戻して、下の階に降り財布を売っているお店を探す。


「何色の財布にしようかなー」


「普通に黒で良いんじゃないか?」


「ありきたりじゃない?いてっ!今のは私悪くないでしょ!」


「あっ、絵音。あのお店とかどう?」


「ん?おっ、良いね。あそこに行こう」


 雨宮さんが見つけた、財布や鞄が売っているお店に迷わず向かい中へ入ると、多種多様な大きさと色の財布が所狭しと並んでいて、


「へぇー、こんなに沢山あるんだ。夢依ちゃん、どれか一つ買ってあげようか?」


「そ、そんな、大丈夫です!」


 雨宮さんに優しくまたプレゼントされそうになり、そんな度々は申し訳ないので私は首を横に何度も振ると、絵音さんが横から雨宮さんに聞く。


「綾!綾!私のは買ってくれないの?」


「うん。買わない」


「えー、買ってよー。おーねーがーいー」


「タイミング悪い人には買いません」


 駄々をこねて可愛くお願いする絵音さんに、珍しくきっぱりと言い切る雨宮さん。


 それを見て、


「えっ?ごめんって、根に待たないでよ……ぐぅ、現実は厳しいね。なら、一緒に選ぼ!」


「いいよ」


「イェーイ」


 気を取り直すように笑って楽しそうに、由依さんと雨宮さんと財布を選び始め、ふと、絵音さんは私にも優しい視線を向けてくれ、


「ほら、夢依ちゃんも」


「あっ、はい、喜んで!」


 私は大きく頷いた。

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