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32.カレーは甘口

 カレー屋さんを見つけて、あまり人が並んでいなかったので、意外と速く注文する事ができ、


「お待たせしましたー」


 私も雨宮さんもカレーを受け取って、絵音さんの元へ戻ろうとした時、


「綾と夢依は、カレーにしたのか」


 大きなカツ丼にしたらしい由依さんと会い、


「良いでしょ!」


「機嫌良いな。何かいい事でもあったのか?」


 話をしながら絵音さんの場所まで戻っていると、


「あー、あれはナンパされてるな」


 若い男の人二人と、優しい笑みを浮かべて何か話している絵音さんが遠くから見えて、由依さんが止まったので私も雨宮さんも止まる。


「ナ、ナンパ……」


「うん。時々あるんだよ。絵音は黙ってれば可愛いし他人の前だと優しいから拒否しないの。けど、そのせいで中々どっか行ってくれないんだよね」


 私が本当に現実でもあるんだと思わず声を漏らすと、雨宮さんが少しため息混じりに説明をしてくれた。


 でも、確かに最初絵音さんにあった時、正直雨宮さんより緊張しなかった。


 なんというか優しい雰囲気で、話しかけやすいというか……それに少し話しただけで分かるけど、話しやすい。


 だから、友達がいっぱいいるんだろうな。


 私がそんな事を思っていると、短いため息が聞こえて、


「綾と夢依。ちょっと待っててくれ」


 由依さんが一人、絵音さんの元へと向かって行き、カツ丼をテーブルに置くと同時に、何やら軽く由依さんが男二人と話をして、男二人は驚いたような表情を浮かべたあと、絵音さんに何か言われてさよならと手を振られ、少し上機嫌に離れていった。


「よし、夢依ちゃん、行こう」


 それを見て雨宮さんが歩き出したので、私も付いていき席に座る。


 すると、安心したような笑みを浮かべて、由依さんにくっ付いてる絵音さんが、私達に気付く。


「助かったよ、由依ー。あっ、おかえりー。茶色ばっかんじゃん」


「絵音、ご飯先に食べるよ?」


「えっ、待って、それはずるい!私も買いに行ってくる」


 雨宮さんの言葉に、慌ててどこかに行ってしまいそうになる絵音さんの服を引っ張り、立ち上がって由依さんが、


「どうせまた迷子になるだろ。一人で行くな。私も行く」


 少し心配しながら言うと、絵音さんは嬉しそうに笑って、


「うん、一緒に行こ。綾、夢依ちゃん、待っててね」


 二人仲良く行ったので、雨宮さんと二人っきりになる。


「夢依ちゃん」


 するといきなり名前を呼ばれて、膝に暖かい感触が。


「あっ、その、雨宮、さん?」


「夢依ちゃん、ちょっとだけイチャイチャしよ?」


 私の膝の上に頭を乗せた雨宮さんが、私の頬に優しく手をくっ付けて、妖艶な目でそう言ってきた。

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