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2.彼女

 私の心臓が人生の中で一番激しく音を立てて脈を打ち、恥ずかしさと恐怖が心の中を支配して、物凄い緊張に襲われる。


 そんな私の方へ、一歩また一歩と誰かの足音が近付き、


「こんな私だけど、お願いね」


 私に返事をした声と同じ、綺麗な声が真後ろから聞こえてきた。


 あぁ……終わった……


 私はそう思うと同時に体から力が抜けて、台本が地面に落ちどうでも良くなる。


 きっと私は馬鹿にされるんだ。高校生活が終わるまで女の子に告白したなんて噂が流れて、影でも変わり者だと笑い者にされる……


 そう思うと、そもそもなんでこんなタイミングでここに来たんだと、緊張が少し怒りに変わり、


「あっ!あのっ!あなたは……」


 私は下を向いたまま服をぎゅっと掴んで振り返り、精一杯の大きな声で威嚇するように言うと、


「私は、雨宮(あまみや)(あや)夢依(むい)ちゃんと同じクラスなんだけど……分からない?」


 いきなり名前呼びちゃん付けで呼ばれ、何事だと顔を上げると、雨宮綾と名乗った人物は悲しそうに首を傾げていた。


 その顔は紛う事なき可愛い系の美少女そのもので、私より少し背が高く、ミディアムロングの水色と銀色を混ぜたような髪色をしている。


 私は終わったと思い、陽のオーラに圧倒されながら、上げた頭を勢い良く下げて、


「そのっ……ごめんなさいっ!」


 もう何も起きませんようにと、悪い事にはなりませんようにと、謝罪をした。


 でもどうしてか、私の言葉に何故か間が開く。


 その間、私は必死に目の前の人の事を考えるけど、私はこの人を知らない……はず。


 というかそもそも、クラスが同じと言っていたけど、私はクラスに友達が一人もいない。


 だから、知るわけがない。


 数秒の間でそこまで結論を出した私に、目の前の人は、


「どうして、謝ったの?」


 なんだか力ない暗い声を私の頭にかけてきて、思わず肩をビクッとさせながらも、なにか言わないといけないと思い、


「し、知らないから……その、あなたの事……」


 正直に謝った理由を答えると、


「私とは付き合えないって、事?」


 更に暗い声が頭の上から降ってきて、私は何が何やら分からなくなる。


 今は付き合える、付き合えないの話なんてしてないはずで……この人は何を言っているんだろう?


「えっーと……それは、違うくて……」


「何が、どう、違うの?」


 一語一語区切って、暗い声で言われたら一層怖い。


「あっ、あなたが、言った……その、同じクラスだけどって……私分からなくって……謝っただけで……」


 私は泣きそうになりながら、とにかく思い付いた言葉を口にすると、


「つまり、私の返事を断ったって訳じゃないのね?」


 私を覗き込み安心したように言われたので、チャンスとばかりに私はとにかく言われるがまま頷くと、


「そう。それなら良いの。それで夢依ちゃん。私、あなたの彼女になってもいいよね?」


 圧を感じる言葉をかけられながら頭を撫でられ始め、私はびびって思わず口から、


「は、はいっ!」


 悲鳴に近い返事を口にした。

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