19.大胆不敵
二年生の綱引きが終わり、一旦ご飯を食べる昼休憩の時間に。
テントの下に私含めてまた四人で集まり、話しながら皆でお弁当を食べる。
「由依、かっこ良かったね!綾も!」
「ありがとう、絵音。でも、絵音も抜かしてたじゃん」
「本当。絵音は運だけ、良いよな」
「えっ?酷い……夢依ちゃん。由依より私の方が凄いよね?」
「えっーと……まあ……」
「えっ?夢依ちゃんまで?」
「お疲れ、絵音」
「ふふっ、夢依ちゃんすっごく頑張ってたね。一番可愛かったよ」
「私は私は?いたっ!」
みんな賑やかに喋る中、私は雨宮さんにキスをされてハグをされた恥ずかしさと照れが限界に達し、上手く雨宮さんと話どころか顔すら合わせられず口を閉じていると、
「夢依ちゃん、太陽にでもやられた?大丈夫?」
「あっ、は、はい!」
絵音さんが急に話しかけてきてビクッとしながらも返事をすると、今度はニマニマと笑みを浮かべながら、
「もしかして、綾になんかされたのー?」
何か知っていそうな声のトーンで聞かれ、私は思わず顔を赤くして、下を向きながらなんとか言葉を絞り出す。
「い、いえ……そ、そんなん、じゃ……」
でも絵音さんは意地悪げに首を傾げて、
「本当に?顔を赤くしながらずっと照れてて、綾の方全然見てないじゃん?もしかしてさ、キ……いたっ!」
「見てたの?絵音」
「たまたまね。運が良いから私!」
怒っている雨宮さんに頭を叩かれても平然と言葉を返し、なんだか朝よりも一層浮かれている絵音さんは座ったまま踊り出す。
そんな絵音さんに若干引いていると、
「はぁ……綾、ちょっとトイレ。絵音、一緒に行くぞ」
由依さんが絵音さんの手を握って、トイレへと連れて行こうとする。
その瞬間、
「ちょっと待って、由依。夢依ちゃん、私のおまじないを教えてあげる」
絵音さんは雰囲気が少し変わり、私の前にしゃがんで優しい声でおまじないを教えてくれる。
「気まずかったり、恥ずかしかったり理由は何でもいいんだけど、上手く人と話せない時は深呼吸をしてこうやって自分は相手よりも強いんだって笑ってごらん。そしたら、どんな時でも話せるから。ごめんね、ちょっとやり過ぎちゃった。じゃ、すぐ戻ってくるね!」
不敵な笑みを浮かべた絵音さんは、由依さんと二人で仲良く歩いて行く。そんな背中を見ていると、
「私と由依と夢依ちゃんの前でだけ、絵音はうるさくなるんだよね。嫌じゃない?」
心配するように聞かれたので、絵音さんのおまじないを信じて深呼吸をし、出来る限り笑って見ると、本当に心が落ち着いて硬かった体が柔らかくなり、
「に、賑やかで、嫌いじゃないですよ……あのっ、雨宮さんって、時々大胆になりますよね?」
ごくごく自然と雨宮さんと話せるようになった。
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