17.一年生綱引き
「そろそろ出ないとだね。ほらほら、皆立って、忙しくなるよー。ねぇ、由依」
「そうだな」
「行こっか、夢依ちゃん」
「は、はい」
一年生綱引き。単純に綱引きの勝ち上がり戦で、運動神経が悪くても目立つことがなく、心が軽い。それに、負けても誰かのせいになるなんてこともない、優しい競技。
雨宮さん達四人でグランドの中央へと向かい、やがて一年生が全員集まりそれぞれの場所へ。
そして準備が整いクラスの皆が綱をしっかりと持ち、校長先生がピストルを上に構えて、パンッと乾いた音が鳴り響くと同時、一斉に皆が綱を引く。
「もっと引っ張れ!」
「いけいけいけ!」
「うぉー、勝ったー」
私達のクラス四組は、あっという間に相手に勝って準決勝へ。
二、三年生の応援が響く中、自分達のクラス含めて残った四クラスの準備が素早く整い、校長先生がまたピストルをパンッと鳴らす。
「引っ張れ引っ張れ引っ張れ!!」
「勝てるぞ!引っ張れー!」
流石は準決勝の相手。最初とは違い一進一退の攻防が続く。でもじわじわと、私達四組側へと綱は引かれ、
「よっしゃ!勝ったぞゴラァ!いたっ!」
なんとか僅差で四組が勝ち、まさかの決勝へ。
私は緊張やら不安やらでドキドキしながら、深呼吸をして綱を持つ。
すると、
「ファイト!」
背の順で綱を持っているので、雨宮さんは私より結構後ろのはずなのに、綺麗な声が聞こえて私はぎゅっと綱を握る。
そして、再びパンッとピストルの音が響き、一斉に皆が力を込める。
「いけるいける!全力で引っ張れ!」
「もっともっと全力で!」
皆の掛け声と共に綱を全力で引っ張っているのに、どうやら互角らしく綱が一向に動く気配がない。
そんな状態を見て、二、三年生の応援が盛り上がりを見せ数十秒続いた時、
「もっと声だせ!」
「全力で引っ張れゴラァ!」
由依さんと由依さんの真似をした絵音さんのドスの聞いた声が後ろから響き、一気に四組の掛け声が大きくなると同時、綱が少しずつ動き出す。
そして……
「しゃ!勝ったぞ!」
「優勝だー!」
四組は一年生綱引きで見事、一位に輝いた。
◆
「私達は休めるね」
「は、はい……」
「疲れたの?」
綱引きが終わり私がコクリと頷くと、おいでと一言雨宮さんは言い、体を優しく倒されて、テントの下で雨宮さんに膝枕をされる。
柔らかくて暖かくていい匂いがして、私は顔を真っ赤にしながらも、絵音さんや由依さんが出るパン食い競走を見る。
「由依と絵音は後ろの方だね。あっ、体育委員は前だ。じゃんけん、一人勝ちしたらしいよ」
「そっ、そっ、そう、なん、ですか……」
膝枕だけでいっぱいいっぱいなのに、おまけに頭まで撫でられて、私は頭がパンクしそうになる。
「やっぱり、体育委員はワイルドだねー」
パン食い競走が始まり、体育委員さんがチョココロネを貪る様に食べる、そんな中。
私の耳元に雨宮さんの気配が、次いで吐息がかかり、
「こうやって、もっとイチャイチャ出来ると思ってたのにな……夢依ちゃん、大好きだよ」
優しい声と共に、私の頬に雨宮さんがいきなりキスをしてきた。
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