162.末永く続く幸せの道
「わーお、今年も相変わらず並んでるね」
神社の近くに着くと人混みでごった返していて、神社までは長蛇の列が出来ている。その一番最後尾に並んで、結構かかりそうだなと綾にくっ付いてイチャついていると、
「あれ〜、絵音達だ〜」
同じクラスの文化委員である黒瀬音々こと眠り姫と数人のクラスメイトが、丁度お参りが終わったのか奥からやって来て話しかけてくれ、絵音さんが元気良く音々さんを抱きしめる。
「やっほー!眠り姫!全然眠そうじゃないけど、変な物でも食べたの?」
「ずっと起きてたらさ〜、眠くなくなった〜」
「限界突破?」
「たぶんねぇ……スースー」
「えっ?寝た。ちょっ!置いて行くの?皆!」
「絵音、後は頼んだよ」
「お願いねー」
絵音さんの腕の中で立ったままいきなり眠った音々さんを見て、他の人がニヤニヤしながら離れようとし、絵音さんが珍しく焦っていると、
「な〜んてね。起きてるよ〜」
音々さんは音々さんで楽しそうに笑い、絵音さんの腕からするりと抜け出す。
次いで由依さんを見て、意地悪そうな笑みを浮かべ、
「これ以上は~、あはっ、由依が嫉妬するからね〜。後〜、綾と夢依ちゃん。今年も仲良くね〜」
半笑いになりながら本当に嫉妬しているであろう由依さんを煽り、私達に優しく笑いかけてくれる。
そんなコロコロと表情が変わる音々さんに、新年の挨拶をそれぞれ軽く皆やった後、
「じゃ〜ね、皆〜」
「バイバイ、また学校で!てか、めっちゃ皆着物可愛いよ!」
「お疲れー」
音々さん達は賑やかに帰って行き、それが見えなくなると、
「いてっ!」
由依さんが絵音さんを軽く叩いて少し不貞腐れ、ちょっと気まずい空気が一瞬流れる。
「ごめんね、由依。そんな怒らないでよ、一番好きなのは由依なんだから」
でも絵音さんが由依さんの手を握ってぎゅっとくっ付き、優しく甘えるように言葉を発すると、
「はぁー、そんな怒ってねーよ」
空気がすぐに変わって、仲良く四人で再び会話が始まる。
それから、一歩また一歩と前へ進み、
「私達の番だね」
四人揃って鈴を鳴らしてお賽銭を入れ、手を合わせてそれぞれお願いをする。
そして皆お願いをした後、私達はささっと退いて、
「ねぇ、皆はなんてお願いしたの?」
おみくじを売っている場所へと歩き始め、絵音さんが皆のお願いを聞く。
それに綾は笑い、
「私は、夢依がもっと私を襲ってくれますようにってお願いしたよ。夢依は?」
本当かどうか分からない事を言い、私に話を振ってきたので、
「私は綾と一生幸せに過ごせますようにって、お願いしたよ」
正直に答えると、
「私は、由依がもっと私に甘えてくれますようにって、お願いした!」
すかさず絵音さんも願い事の内容を口にし、残るは由依さんだけに。
それに由依さんは少し間を開けた後、
「恋人と友達がずっと傍で元気にいてくれますように、だよ」
恥ずかしそうにお願いを口にし、私を含めて皆がニヤニヤする中、おみくじを売っている場所に。
「それじゃ、私から買おっ!」
お金を入れておみくじを一つ取った絵音さんに続き、全員おみくじを引く。そして神社の外へと歩きながら開こうとすると、
「相変わらず仲が良いですね」
体育委員さんと他のクラスメイトに会い、話しかけてくれ、
「今からお参り?」
「そうです。明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いしますね」
新年の挨拶をしてくれたので、皆それぞれ返す。
「末永くお幸せに」
挨拶が終わると、綾と私にそんな事を言ってくれたので、
「ありがとうね、体育委員」
「あ、ありがとう」
綾は優しく私はちょっと緊張しながらお礼を返すと、体育委員さんは優しい笑みを浮かべる。
「また学校で。せっかくですし、冬休みの話、聞かせて下さいね」
そして、ちょっと反応に困る事を言われ、私が返事を考えていると、
「もちろん良いよ。その代わり、私達友達なんだからタメ口で喋って欲しいな」
綾がすんなりと頷き、今度は体育委員さんが戸惑った顔をした後、
「慣れてないから変かもだけど、その、仲良くしようね」
すごく新鮮なタメ口で笑ってくれ、私達はそのまま軽く会話をした後、
「また学校でね!体育委員!」
「うん、また学校で」
私達は手を振って別れ、
「やっとおみくじが見れるよ!」
おあずけされていたおみくじを歩きながら開ける。
「綾、私大吉だった!」
「私も。ふふっ、今年は凄くいい年になるね」
「あっ!私も大吉だ!由依は?」
「大吉だよ」
おみくじは四人全員大吉で、詳細を読みながら楽しい雰囲気の中神社を出て帰る。
そうして絵音さんの家の前に着き、
「綾、夢依ちゃん。泊まってく?」
絵音さんに優しく誘われたけど、
「ううん。またどっかで着物返しに来るから、その時お願い」
「オッケー!じゃ!バイバイ!」
綾が優しく断り、四人から二人になって私達は綾の家へと手を繋いで帰る。
「ねぇ、夢依。帰ったら何しよっか?」
「エッチ、しよ。綾」
「ふふっ、良いよ」
私の返事に綾は嬉しそうに笑い、
「夢依。私ね、今年は一年ずっと寂しくありませんようにってお願いしたの」
綾の家の前に着き、唐突に綾の本当のお願い事を言われて、
「私がいるんだから、綾に寂しい思いなんかさせないよ」
一緒に扉を開けながらそう言って、
「「ただいま」」
綾の家の中に入り、今年はきっと本当に楽しくて幸せな一年になると確信しながら、
「綾、愛してるよ」
「夢依、私も愛してる」
「「……んっ♡」」
私達は思いっ切りキスをし合った。
まず最初に言いたい事は、ここまで読んで下さって本当にありがとうございました。心の底から、感謝です。
元々この話を書き始めたときから、ここで終わらせると決めていました。なので、まだ綾と夢依が出会って一年も経っておらず名残惜しいですが、ここで完結です。
五ヶ月とちょっと、という長いようで短い間でしたがでしたが、沢山読んで貰い、沢山ブックマーク、ポイントに感想といいね!が付きまして、嬉しい限りです。
綾と夢依も、絵音と由依も、これから末永く幸せが続く事でしょう。
またどこかで会えることを願って、お別れです
本当の本当にありがとうございました!
面白い、続きが読みたい、そう思った方はぜひブックマーク!それと、
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