161.可愛い君と寂しがり屋な私
絵音さんと由依さんの足音が聞こえ始めても、寂しがり屋の綾は私を離そうとせず、大分明るくなった空の下、再び四人になる。
「ただいま!相変わらず綾と夢依ちゃん、イチャイチャしてるね。はい、おしるこ!」
楽しそうな笑みを浮べて戻って来た絵音さんに、温かい缶のおしるこを差し出され、綾も私も受け取る。
「いつもありがとう、絵音」
そして綾が先にお礼を言うと、絵音さんがほんの一瞬驚いた後、嬉しそうに私達の隣に由依さんと一緒に座りながら話し始める。
「えへへ、どういたしまして。なんか綾、優しくなった?」
「ふふっ。元々私は優しいよ?」
「本当に?まあ、否定は出来ないね。それで夢依ちゃん、おしるこ飲める?」
綾の表情と声に由依さんが柔らかく笑い、絵音さんも安心した様に笑う中、話を振られ、
「うん、甘いの好きだから全然飲めるよ。ありがとう、絵音」
私も自然と笑みを浮べてお礼を言うと、
「えへへ、それなら良かった。あっ、夢依ちゃん。毎年新年になったら私の家おしるこ作るんだけど、いっつも食べ切るのに苦労しててね、良かったらあげようか?」
「えっ、良いの?欲しい」
「夢依。私が作ってあげるから、そっち食べてよ。絵音から貰うの禁止」
「えっ?なんで?さっきの綾は優しかったのに」
「綾、頼む。食ってくれ。毎年大変なんだよ」
四人でのわちゃわちゃした会話が始まり、日の出の一分前までおしるこを飲みながら、おしるこの話で盛り上がった。
◆
「絵音、そろそろ日の出っぽいぞ」
「もう?見なきゃ!」
結局由依さんの毎年の苦労と切実な説得に綾は折れ、絵音さんのおしるこを綾も私も貰う事が決まり、そこから色々と絵音さんに言いたい事を特に綾が言っていると、あっという間に七時前まで迫り、私達は口を閉じて東の空を見る。
そして一分が経ち、まだかまだかと人生で初めて生で見る初日の出にわくわくしていると、
「おっ、やっと顔出したね」
「そうだな」
太陽が遠くの地平線から少しずつ顔を出し、私達を照らし出す。
「夢依、凄く綺麗だね」
「うん……とっても綺麗」
綾に抱きしめられて見る初めての初日の出は、とにかく綺麗で目を奪われて、少しずつ少しずつ半円からまん丸になっていく太陽を私はただただ静かに眺める。
やがて太陽は完全に地平線を離れて一つとなり、完全に夜が明けた時、絵音さんがいつもの調子で、
「よし!初日の出見たし、次は初詣に行こっか!」
静寂を切り裂いて立ち上がったので、
「綾、行こっか」
「うん」
私達も立ち上がり、
「今年のおみくじは何吉かな?」
「どうせ、大吉だろ」
「ふふっ、おみくじ楽しみだね夢依」
「うん!」
仲良くカップルで会話をしながら秘密基地を出て、神社へと向かった。
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