16.いたっ!
雨宮さんと手を繋いでグランドへと向かい、一列に並ぶ。
それから注意事項を聞いて校歌を歌い体操をし、微笑みを浮かべている校長先生の話が始まる。
「晴れて良かったですね。怪我なく頑張って下さい。以上!」
絶対長いだろうなと思っていた校長先生の話が短過ぎて、少し拍子抜けしながらも大きな拍手と共に、最初の競技が始まるので取り敢えず解散になる。
それにしてもこの学校の先生って、雑な人が多い気がするけど大丈夫なんだろうか?
「夢依ちゃん、一緒にテント行こ!」
「えっ、あっ、はい!」
私はいきなり名前を呼ばれて驚きながらも大きく返事をし、高校生活初めての体育祭が始まりを告げた。
◆
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名月女子高校体育祭プログラム
◇午前の部
1.開会式
2.二年生全員リレー
3.障害物競走(全学年)
4.一年生綱引き
5.パン食い競走(全学年)
6.一年生全員リレー
7.二年生綱引き
◇午後の部
8.二人三脚(全学年)
9.三年生綱引き
10.借り物競走(全学年)
11.三年生全員リレー
12.閉会式
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至る所に貼ってあるプログラムを確認して、一年生はそこそこ競技まで時間があるので、テントの下でゆっくりする。
「今日はちょっと暑いね」
「そ、そうですね。夏って感じで」
「本当、日に焼けちゃうよね。夢依ちゃん」
「え、絵音さん」
「由依もいるよー。綾、ここにいてもいい?」
「いいよ。夢依ちゃんに変な事しないならね」
「だって、由依、いたっ!」
由依さんのチョップが絵音さんのおでこに当たると同時、二年生全員リレーがピストルの音と共に始まって、一気に体育祭らしい盛り上がりを見せる。
「す、凄いですね」
「本当だね。まだ始まったばかりなのに。あっ、どっか行きたいとこある?打ち上げ」
「はいはーい。私、街行きたい!何でも揃ってるし、時間潰せると思うよー」
「由依は?」
「綾と夢依に任せる」
「えっ、お二人はどういうご関係?いたっ!いたっ!二回は酷い!」
「夢依ちゃんは?どっか行きたいとこある?」
「え、えっーと……私も街でいいと思います」
「夢依、分かってるね!いったっ!綾、ごめんって!やめ、ちょっ、由依助けて!」
由依さんの真似をした、浮かれている絵音さんの腕を掴んで、少し怒る雨宮さん。
誰かに下の名前をストレートに呼び捨てで呼ばれるなんて初めてで、少しびっくりしながらも、絵音さんを見て思わず笑う。
こんなに仲の良い友達がいたら毎日が楽しいだろうな、そう思いながら眺めて一年生の綱引きが始まるまで四人で色々な話をしていた。
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