15.先生
『明日、三時前には終わるらしいから、適当に買い物して夜ご飯でも食べよっか』
『賛成ー!』
『りょ』
『分かりました』
雨宮さんと絵音さんと由依さんと私の四人のグループにメッセージが届き、各々返信をする。
『それじゃ、明日頑張ろうね!』
『もちろん!みんな、頑張ろー!!』
『頑張りましょう』
『相変わらず絵音はテンション高いな』
個人競技を決めてから気が付けば一週間。明日はいよいよ体育祭。私は少し不安な気持ちを感じながらも、グループの会話は終わったので、
『雨宮さん、大丈夫ですか?』
未だに少しドキドキするけど、自分から雨宮さんにメッセージを送り、
『今日は何話そっか、夢依ちゃん』
いつもの様に雨宮さんと会話をし、眠りに落ちた。
◆
「おはよ。朝から体操服の夢依ちゃんを見れるなんて、なんだか幸せ」
「お、おはようございます……そんな事をいきなり言われると、ちょっと恥ずかしいです」
「ふふっ、相変わらずだね、夢依ちゃんは。リレーと綱引き勝てるといいね」
「わ、私が、足手まといにならないと良いんですけど……」
「大丈夫だよ、私とアンカーの由依がなんとかするから。だから夢依ちゃん、頑張ろ!」
雨宮さんは自信満々に不敵な笑みを浮かべて、励ましてくれる。そんな雨宮さんに私も影響されて頑張ろうと意気込み、
「が、頑張りましょう!」
久しぶりに大きな声で返事をした。
◆
「えっーと……まずこの一年四組は白組だ。ハチマキ配るから巻けよー」
制服ではなく体操服をみんな着て座っているので、少し浮かれている様な空気が流れる中、先生がハチマキを気だるそうに配っていく。
確か、全てのクラスがランダムに赤と白に分けられて戦うんだとか。まあ、勝っても負けても何もないらしいけど。
先生が白のハチマキを配り終えて、ガヤガヤしつつもみんな髪型を必死に気にして、頭に巻いていく。
「ねぇねぇ、どう?夢依ちゃん」
「に、似合ってますよ」
「本当?良かった。夢依ちゃんも似合ってて可愛いね」
「あ、えっ、わ、私、大丈夫ですかね?本当に、似合ってます?」
「似合ってる似合ってる」
「はいー、注目ー」
雨宮さんの楽しそうな声に先生の一段と面倒くさそうな声が重なり、みんな静かになる。
「みんなハチマキは巻けたな。まあ、怪我せず全力で楽しめよ」
「先生、元気なくない?」
「はぁ……体育祭の運営と片付けを押し付けられたんだよ。やる事多いし、運営の中心の今年の三年生言うこと聞かないし、誰も手伝ってくれないし。はぁー……お前ら、人の話が聞ける良い子でずっといてくれよ」
「先生、後でなんか奢ってあげる」
「写真撮ろう、先生!」
「先生、凍らしたポカリあげる!」
なんだか大変そうな先生に、みんな優しく声をかけてお菓子やら飲み物やらをあげると、感慨深そうにしながら、
「良い子だな、お前ら……この借りはいつか返すから。頑張れよ、今日一日」
「「「はい!!!」」」
一つの大きな返事が教室に響いて、開会式があるのでグランドへと一斉に向かい出した。
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