147.聖夜
「……夢依の、エッチ」
周りに人がいるからか、私が写真を撮ったからか、綾は照れた様にはにかみながらも嬉しそうに囁き、私達は歩いてハートから出る。
「夢依も大胆になったね」
「そうかな?」
「そうだよ。ふふっ。次は、あっちに行ってみよ」
表情から恥ずかしさが消え相変わらず楽しそうな綾は、地面に無数の光が散りばめられてお花畑みたいになっている場所を指さして、私達はその場所へ向かい足を踏み入れる。
「一面キラキラだね」
辺りを子供のようにぐるっと見る無邪気な綾に私も笑みを浮べながら一緒に歩き、お花畑を抜けると次は街路樹がキラキラと飾られている長い道に出て、のんびりと歩き続ける。
「こんなに沢山イルミネーションが見れて楽しいね、夢依」
「うん、すっごく楽しい。ずっと、この時間が続けば良いのにね」
隣に綾がいて、見渡す限りの景色がとにかく綺麗で、人生で一番最高で楽しくて幸せなクリスマスに、私は叶うことがない願いを口に出し、綾の顔を覗き込む。
すると白い結晶がゆっくりと降ってきて、
「雪?」
一言私が首を傾げて呟くと綾が空を見上げて、
「雪だ。雪が降ってきた。今年はホワイトクリスマスになったよ、夢依!」
今までで一番楽しそうに、まるで本当に小さな子供のように綾ははしゃいで、
「ふふっ、本当だね。人生で最高のホワイトクリスマスになったよ」
私は小さく言葉を溢して、綾とゆっくり道を歩いて行った。
◆
イルミネーションの終わりに差し掛かり、私達は引き返して戻り、まだ見ていない物やもう一回見たい物なんかを巡った後、
「ねぇ、夢依……今日は、ありがとね。すっごく楽しかったよ」
「こちらこそ、ありがとう。ふふっ、綾が楽しんでくれて本当に良かった」
私達は帰るだけになり、雪が降る中私はスマホの地図で帰り道を調べる。
ここから一番近いバス亭に行って駅まで乗り、駅から終電の電車で綾の家に一番近い駅へ。
このルートで行けば時間的にもギリギリ間に合うようで、綾にそれを話すと、
「やっぱりさ……夢依」
綾は私の手をぎゅっと握って下を向き、か弱く名前を呼んできて、
「どうしたの?大丈夫?」
何かあったのかと心配になって聞くと、綾は視線を彷徨わせながらも顔を上げ、葛藤するように口を動かす。
「ずる……してもいい?」
「えっーと……ずるってどういう事?」
綾の言葉に私は意味が分からず聞き返すと、
「まだ、帰りたくないって言ったら……一緒にいてくれる?」
ドキッとするような顔で甘えるように問い掛けてきて、本当は私も一緒だから迷う事なく、
「もちろん、良いよ」
色々と察して答えると綾は私を後ろから抱きしめてスマホに手を伸ばし、調べていた今いる場所から綾の家までを、今いる場所からホテルへと調べ直した。
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