14.三人から四人へ
「よっしゃー!綾、やったぜ!」
全員リレーの順番と個人競技を決め切り、六時間目のロングホームルームが終わり皆が帰る準備をしている中、私と雨宮さんの所に由依さんと、柄にもなく喜んでいる絵音さんがやって来た。
「夢依ちゃん、私勝ったよ!」
「おっ、おめでとう……ございます」
「絵音、由依の真似して変なノリで夢依ちゃんに話しかけないの」
「えー、良いじゃん。てか、由依も勝ったのになんで喜んでないの?」
「別に喜ぶ事じゃないだろ?」
「それって、格好つけてるの?」
絵音さんの一言に、少しイラッとした表情を浮かべた由依さんのチョップが絵音さんの頭に直撃する。
「いたっ!」
それと同時、雨宮さんが、
「体育祭の打ち上げって、ないんだよね?」
平然とちょっと揉めている二人に聞くと、痛がっていた絵音さんがケロッと元に戻って答える。
「そうそう、みんなお金がなかったり、バイトがあったりで文化祭の時にやろうって言ってたよ」
「なら……体育祭が終わった後、夢依ちゃん、二人でどっか行こっか」
「えっ、えっーと……私で良ければ……ぜひ」
「あらあら、夢依ちゃん謙虚ねー。でも私も綾と遊びに行きたーい」
「文句を言うな」
「いでっ!」
今度は少し強めのチョップを食らった絵音さんに雨宮さんは笑う。
でも雨宮さんと二人っきりでどっか行くって私、出来るかな。迷惑かけないと良いんだけど……
「夢依ちゃん、私と由依も行っちゃだめ?」
「えっ、えっーと……」
「まあ、夢依ちゃんに任せるよ」
いつもの優しい声で話しかけられ、私はどうすれば良いかと雨宮さんを見ると、笑顔で任せられたので、
「わ、私がいますけど、それでもいいなら、ぜひ……」
「やったぜ!夢依ちゃんありがとな!由依も喜べ、いった!なんで?強くない?」
「次、私の真似したら、グーな」
「ひぇぇ、綾ー」
「あははっ」
とっても仲の良い三人に私は少し声に出して笑うと、雨宮さんが少し目を見開いた後、絵音さんと由依さんに視線を向けて言う。
「夢依ちゃんが言うなら四人で行こっか。また予定は言うから。良い?」
「オッケー」
「分かった」
二人は軽く返事をしてから自分の席へと戻って行き、静かになる。
四人なんて大人数で遊びに行った事なんてないので、少し不安。
でも、そんな不安が不思議となくなるぐらい雨宮さんは楽しそうに、優しく、
「楽しみだね。よし、帰ろっか」
私の手をぎゅっと握り、笑いかけて来てくれた。
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