123.パンツ
人混みの中を綾に優しく手を引かれながら歩き、街で一番大きいらしいデパートを目指す。
その道中、久しぶりのデートだからか気分が良くって、綾に少しちょっかいをかけてみたくなったので、会話が途切れたタイミングで耳元にすっと近付いて、
「綾。今綾が穿いてるパンツ頂戴?」
自分でも中々に馬鹿な冗談を言っている自覚はあるけど、真面目にお願いするように囁き、どんな反応をするのかわくわくしながら耳元から離れると、
「……いいよ。どっか、トイレ探そっか」
視線を少し逸して照れながらも綾は頷いてくれ、その瞬間私の心と体の底に今までに感じた事が無い程の興奮とゾクゾクが襲って来て、我慢が出来なくなる。
でも流石に綾をこんな街中で、それも寒い中ノーパンで歩かせる訳にはいかないので、
「ノーパンで、ずっと歩く事になるけど良いの?」
念を押すようにまた囁くと、
「それは……でも、夢依の頼みだから」
どうやら綾は揺らがないらしく、覚悟を決めたように私に言葉を返してくる。
それに私は少しずつ焦りを覚えて、どうにかならないかと必死に考え、
「ふふっ、綾って本当に変態だね。でも私もそんなに酷くないから、今は綾が持ってて」
何を言っているのかいまいち自分でも分からない先延ばしの言い訳を言ってみると、綾は少し安心したように頷く。
「分かった」
それを見て、今の綾は強がってただけで本気じゃなかったのかと私も安心して、
「綾、ごめんね。嫌だった?」
ぎゅっと体をくっ付けて冗談に付き合わせて申し訳ないなと思い素直に謝ると、綾は視線を逸しながらも、心の底から嬉しそうに微笑み、
「ううん。ちょっと恥ずかしいだけで、すっごく嬉しいよ……いつ渡せば良い?」
可愛く首を傾げて、マジな顔でそんな事を聞いて来る。
そこで初めて私の冗談を綾は本気で捉えてるんだと確信し、誤解を解かないとと思うけど欲が邪魔をして、私はそのまま話に乗っかり、
「そ、そうだね……綾の家に近い駅に降りたら、かな?」
「うん、分かった」
綾の家で受け取ればいい物を、ノーパンで歩いて欲しいが為の馬鹿な返事をし、綾が頷く姿にそもそも脱ぎたてのパンツを受け取る約束とは?と頭がフル回転で空回りして混乱しだした時、
「夢依、着いたよ」
綾が楽しそうに微笑み、目の前にある大きなデパートを指差す。
「こ、ここが、デパート……」
「うん。この中にすっごく綺麗な雑貨ばっかりを売ってるお店があるんだ。行こ、夢依」
「う、うん」
優しく手を引いて微笑む綾を見て、きっと不思議な約束は綾の冗談なんだと一旦思い込むことにして、このデパートの中にある、綾のおすすめのお店へと歩き出した。
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