117.完全消化
綾の言葉に沈黙の間が少しあり、由依さんが顔を下に向けた後、照れたように答える。
「……否定はしねぇよ」
その答えに綾は物凄く楽しそうな顔をして、由依さんにまた質問を返す。
「ふふっ。ねぇ、なんでずっと黙ってたの?」
「なんでって……付き合った時に絵音と話したんだ。この関係は秘密にしようって。特に綾にはな。関係が壊れるだろ?」
由依さんの回答に、綾は何かは分からないけど良かったとばかりに微笑み、
「そうなんだ。まあ、これ以上は今度かな。お似合いのカップルだね」
その表情に絵音さんが目を見開くと同時に、電車が駅に止まる。そして皆立ち上がって電車を降り、由依さんと手を繋いでいる絵音さんが少し心配するように、
「綾、怒ってない?」
綾にそんな事を聞くと、強がってなんかいない顔で、
「どうして?怒るわけないよ」
綾はそう答え、
「……良かった!」
絵音さんは安心した様に可愛く笑い、由依さんにくっ付く。それからすぐに、
「じゃーね!綾、夢依ちゃん!楽しんでね!私達も楽しむから!いてっ!」
「いいカップルだね」
「……夢依」
「あっ!由依が照れてるー」
「ふふっ。今度四人で遊ぼうね。由依、絵音。じゃ、バイバイ」
「うん!」
絵音さんと由依さんと別れて、綾と二人っきり手を繋いで無言で道を歩いて行く。
そうして少し続いた静かな時間に綾が耐えかねた様に、
「ねぇ、夢依。なんか話そ」
私を見て話しかけてきたので、必死に話題を考えて、気になっていた事を聞いてみる。
「どうして、絵音と由依が付き合った時が分かったの?」
すると綾は、
「正直、ただの勘だよ。でも、絵音が友達をいっぱい作り出して、由依とぎくしゃくして、急にまた凄く仲良くなって……ちょっと私と二人の距離が空いたのがその頃だったから。そうなんじゃないかなって」
悲しい事のはずなのに優しく微笑んで答えてくれ、強がっているんじゃないかなと一瞬思うけど、顔を見てそうじゃないなとすぐに分かり私は今綾がどう思っているのか分からなくなる。そんな考えが表情に出ていたのか、綾は更に答えをくれる。
「夢依。私ね、由依からちゃんと付き合ってるって言われて、今すっごく安心してるんだ」
「な、なんで?」
「ずっと、由依と絵音にとって私は友達の中で二番目の存在なんだって、思ってたから。同じ友達のはずなのに時々どうして扱いが違うんだろうってモヤモヤして、二人は付き合ってるからって言い訳してたけど、やっと確認出来てなんかスッキリしたんだよ」
安心したようにまた一つ暗い物消化したらしい綾は、私の手をぎゅっと握って甘えるように笑う。
それに私は安心して、後ほんの少しの道のりを綾にくっ付いて歩き、
「綾、やっとですね」
「うん……下手でも許してね」
「ふふっ。こちらこそ」
家の扉を開けた綾に手を引かれ、私は緊張しながら家へとお邪魔した。
エロい話ってどこまで許されるのかいまいち分かっていませんが、やれるだけやってみます。
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