114.打って変わって
「流石、絵音!やっぱり歌上手いね!」
「九十八点って、すご!」
「えへへ、そんなに褒めても何も出ないよ?」
今まで歌った人の中での最高点を取った絵音さんは、珍しく皆にちやほやされて少し照れながらも嬉しそうに笑う。
そんな姿に、本当にいつも楽しそうだなと思いながら、綾に肩を貸し手を繋いだまま、また何曲か歌を聞き体育委員さんが歌を歌い終え八十八点を取った後、由依さんへとマイクが渡され、
「由依がんば〜」
「ひゃー!ファイトー!」
「キャー!由依!こっち向いてー!」
黄色い声援がちらほら舞う中、慣れたように平然と由依さんが歌を歌い始める。
「なんか、かっこいい」
重くて暗い英語が混ざった歌詞と由依さんの真っ直ぐな低い声に思わず言葉を溢すと、肩にいる綾がそれを拾って笑い耳元で由依さんの秘密を教えてくれる。
「ふふっ、由依だからね。でもいつもはあんな歌、歌わないんだよ?」
「そうなの?」
「うん。いつもは、可愛い歌ばっかり歌ってるの。たぶん今日は皆の前だからカッコつけてるんだよ」
綾の言葉に、絵音さんが乙女乙女と時々からかっているのを不意に思い出して笑うと、綾は続けて何かを堪えるように、
「私達が歌うのもう少し先だからさ、夢依。今度はちょっとだけ膝枕、して欲しいな」
「いいよ、おいで」
そんな些細なお願いをしてきたので、綾の頭を私の太ももの上に優しく置く。
すると綾は、私のお腹に顔を思いっ切り埋めて真剣に匂いを嗅ぎ出したので、頭を撫でてあげながらまた意地悪な言葉を妖艶に耳元で囁いてみる。
「もう、限界?ここで軽くしてあげようか?」
そんな私の囁やきに綾は体を跳ねさせて、迷った様な間を開けるけど、小さく首を横に振って、
「……ううん」
もう我慢の限界のはずなのにそれでも耐えたので、私も綾を襲おうとする欲を必死に押さえて、そのまま頭を撫でてあげながら由依さんの歌声を聞き続ける。
そうして歌が終わり、
「あー!私と同じゃん!」
「これで絵音と由依が一位だね〜」
「流石由依!凄い!」
由依さんは絵音さんと同じ九十八点を取り、部屋の中は盛り上がりに盛り上がって、綾もその声に体を起こし、
「由依、やるね」
どうやら落ち着いたらしく、先程とは打って変わって楽しそうな顔で呟く。そんな綾に私は唇を尖らせながらもコーラを一口飲んでテーブルに置くと、
「ねぇ、夢依。飲んでもいい?」
私のコーラを綾は手に取り、自分のがあるはずなのにそんな事を聞いてきたので首を傾げながらも、
「いいよ」
別に拒否する理由なんてないので肯定すると、綾は私が口をつけた所と同じ所に口をつけて一口飲み、
「ふふっ。夢依、私と間接キスしちゃったね」
なんだかいつもと比べて様子がおかしく、テンション高めにそしてどこかエロく綾は笑みを浮かべ、
「夢依、だーいすき……んっ♡」
歌が始まる前の一瞬真っ暗になるタイミングで、綾は私にキスをして舌を入れてきた。
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