11.お弁当
体育が終わり昼休みになって、教室から雨宮さんと一緒に旧校舎の裏へと向かう。
「ねぇ、夢依ちゃん。先生が言ってた個人競技って、何があると思う?」
「え、えっーと……障害物競走、とかありそうじゃないですか?」
「障害物競走か。だったら借り物競走とかもありそう!」
私と手を繋いで楽しそうに喋る雨宮さん。そんな姿に笑みを溢していると、
「夢依ちゃんって、笑うとすっごく可愛いよね」
いきなり褒められて私は顔を赤くする。この可愛いなんて言葉、雨宮さん以外に言われたことがないのでいつも反応に困ってしまう。どうすれば良いんだろう……
それからすぐ、私が恥ずかしがって考えているうちに旧校舎の裏へと着き、隣同士になって座る。
肌がくっ付き雨宮さんの柔らかさと良い匂いがして、またちょっと顔を赤くしていると、
「夢依ちゃん。ほら、食べよ」
いきなりほっぺをツンツンされて言われたので、慌てて頷いて手を合わせ、
「いっ、いた、だきます」
「いただきます」
雨宮さんと一緒にお弁当を食べ始める。
まさか誰かとお弁当を食べる日が来るなんて、そんな事を思いながら口にご飯を運んでいると、雨宮さんが辺りを少し見渡して、
「ここって本当に静かで人の気配がないね。夢依ちゃんはここで今まで一人で食べてて、寂しくなかったの?」
「ま、まあ、慣れてますから、なんとも」
中学三年間、ずっとボッチでご飯を食べていると気が付けば一人で食べることに慣れてしまった。
それに、一人でいる時はあまり孤独を感じないので、特に何も思わない。
「そっか。夢依ちゃんって強いね」
「えっ?私が?」
「私なら一人はきっと寂しくて、誰か話しやすそうな人見つけて入れてもらうよ」
「そっ、そっちの方が、強いと思いますけど……」
「そうかな?」
私の方を向いて可愛く首を傾げる雨宮さん。知らない人に話しかけれるなんてすごいと思う。
「まあ、そっか。私も夢依ちゃんもどっちも強い。ふふっ、夢依ちゃん今度遊びに行こうよ」
「えっ?えっーと……はい」
「やった。夢依ちゃんの私服姿、楽しみにしとくね」
「そ、そんなに、期待しないで下さい!」
お弁当を食べ終わっても同じように話しながら、また時間ギリギリになって……初めて雨宮さんと話した日のように教室まで走る。
でもただ一つだけ違うのが、私の手をぎゅっと雨宮さんが握ってくれて、
「夢依ちゃん、また明日も一緒に食べようね」
また明日の約束をしてくれた事。
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