10.話そ
「よし。では、今日から体育祭の練習を始める。覚悟しろよ!」
雨宮さんが私が彼女である事を教室の中で宣言してから、気が付けば四時間目。
ノリがいい事と不思議な事で有名な体育の先生が、腰に手を当てながら楽しそうに言ってくる。
「体育祭は主に個人競技と、皆でやる綱引きと全員リレーがある。今日はクラス同士綱引きで勝負だ。では、準備始め!」
先生が立てと合図すると同時、皆一斉に立ち上がって体育倉庫へ一番に走って行った不思議な先生を、いつもの様に体育係が追いかけて行く。
それ以外の皆は暇なので、雑談が始まり笑い声が聞こえだし騒がしくなる。
私は運動が苦手なので、体育祭上手くやり切れるだろうかと不安に思っていると、
「夢依ちゃん」
後ろからいつも聞いている綺麗な声が聞こえ、次いで手を握られて思わず振り返ると、笑顔の雨宮さんがいた。
「話そ」
「はっ、はい……」
私は周りに人が大勢いるせいか、朝は平気だったのに顔を赤くして頷き、下を向く。
「本当、可愛い」
すると何故か頭を優しく撫でられ始めてしまい、恥ずかしさと何か話さないとという焦りで、雨宮さんの手をぎゅっと握ると、
「あっ、吉川さんと綾がイチャついてる」
「本当だ、お熱いねお二人さん!ヒューヒュー!」
なんだか周りが私達を冷やかし初めて、視線が沢山集まり頭を上げるタイミングを見失った。
でも雨宮さんの手が止まることはなくって、恥ずかしさで固まっていると、
「よし!それじゃ、綱引きの準備が整ったから位置につけ!」
体育の先生が全体に指示を出し、皆が歩き始めて何とか難を逃れる。
「夢依ちゃん、ごめんね。嫌だった?」
雨宮さんは申し訳無さそうに謝って聞いてくるけど、私は首を横に振って答える。
「い、いえ、嫌では、なかったです」
「本当に?」
「はっ、はい……」
冷やかされたのが嫌とか、そんな事は思わない。ただ、雨宮さんと話せなかったのが少し残念だなと思っただけで……
「これからは、隠れてイチャつこっか」
「えっ?あっ、はいっ!」
「ふふっ、やっぱり可愛い」
「吉川と雨宮!何イチャついてる!嫉妬されるぞ!」
「「あははははっ」」
早速隠れてイチャつけてない気がするけど、私は雨宮さんと手を繋いだままクラスメイトがいる所まで走って行った。
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