2023年4月放送投稿作品 フラワーラジオ ポストメリディアン火曜日 八巻和行の七転び八巻 妄想【愛の劇場】#78〜#81
サクソフォン奏者八巻和行さんのラジオ番組
こうのすFM フラワーラジオ
フラワーラジオ ポストメリディアン火曜日(午後4時~午後6時)
八巻和行の七転び八巻
というラジオ番組の投稿コーナー
妄想【愛の劇場】
毎週パーソナリティ八巻さんから出題される【作品のテーマ】を小説風に書いた作品を投稿するコーナー。
小説の書き方を知らないシロウトが投稿コーナーに参加。
そのコーナーに投稿した作品をこちらに投稿しています。
妄想【愛の劇場】のコーナーで、絶賛!妄想仲間を募集中!!
こんな感じで大丈夫なので、コーナー投稿に興味がある人がいてくれると嬉しいです!
《番組への参加方法》
①フラワーラジオが聴けるように、ListenRadioのアプリをダウンロード
フラワーラジオを選局して、お気に入り登録
②パーソナリティ八巻さんのX(旧Twitter)をフォロー
③毎週日曜日の夜に、八巻さんのX(旧Twitter)から【作品のテーマ】が発表
④八巻さんのX(旧Twitter)のダイレクトメールから投稿
※番組放送当日の火曜日午後6時頃までに投稿できれば、コーナーの時間に間に合います。
※何故か八巻さんが初見で読むルールのようなので、漢字には「ふりがな」をふって下さい。
サイト投稿回数 第39回目の今回は………
2023年4月放送分の4作品
妄想【愛の劇場】#78 花束
#79 絆創膏
#80 浮き輪
#81 綿菓子
2023年4月4日放送
#78 【 花束 】
新しく歩み出すあなたへ。
これからも。いつまでも。あなたらしく。あなたのままで。
初めての世界で不安も楽しみに変えたいというあなたの瞳は、希望に輝いています。
しかし、時には瞳が陰る事もあるでしょう。
それは悪い事ではありません。
その時は瞳を閉じて、この花束とわたしを思い出して下さいね。
花束をあなたに。
ピンク色のスイトピー。
いつまでも。これからも。
あなたは、わたしの大切なひと。
素敵な恋も始まります様に。
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2023年4月11日放送
#79 【 絆創膏 】
今日も遅刻をしないように、いつもと同じ時間に家を出る。
いつもと同じ時間に、あの交差点で立ち止まる。
「おはよう」
いつも背中から声をかけてくれるあなた。
「おはよう」
少し上目遣いに応えるわたし。
わたしの隣でニコリとするあなた。
毎日、ただそれだけの朝。
もう少し欲張りたいわたしは、おまじないをひとつだけ。
あなたの名前を書いた絆創膏を、左手の薬指に貼るの。
三日以内に告白されるおまじない。
告白だなんてそこまで欲張らないけれど、もう少しあなたとお話ができます様にと心から願いを込めて。
今日も遅刻をしないように、いつもと同じ時間に家を出る。
いつもと同じ時間に、あの交差点で立ち止まる。
左手の薬指の絆創膏に願いを込めて、今日もあなたの声を待つ。
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2023年4月18日放送
#80 【 浮き輪 】
ふたりで一緒に出掛けるなんて、いつ振りかしら。
時間に追われる毎日を少しだけ抜け出して、自然に囲まれたやさしい空気に包まれる。
大きな湖では、カップルたちが乗る手漕ぎボートがのんびりと右に左に行き交う。
その様子を見ていたあなたは、わたしの手を引いて桟橋へと向かう。
わたしの手をとり、あなたは優しくボートへと誘う。
オールを手に、あなたはゆっくりとボートを操りだした。
穏やかに水面を滑るボートと、力強いオール捌き。
ゆったりと流れる木々が、ふわりと風に揺れる。
「あの頃はよくボートに乗ったね」
あなたの言葉。
「ボクは漕ぐのが下手で、オールを動かしても、全然進まなくてね。いつもキミに笑われていたっけ」
あなたの笑顔。
あなたは懐かしい話を続ける。
ボートは水面を滑り続ける。
どんなに頭を巡らせても、あなたが話す思い出が、わたしの記憶にはないわ。
なんとか思い出そうと藻掻くわたし。
懐かしそうにわたしとの思い出を話し続けるあなた。
湖の上を滑るように進むボート。
「ねえ。それ、わたしじゃないよ」
思い切って言葉にした。
言葉を失い青ざめるあなた。
湖の上を滑るように進むボート。
言い訳を続けるあなたを見つめながら、湖の上を揺蕩う浮き輪のように、わたしの心は寂しさを感じた。
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2023年4月25日放送
#81 【 綿菓子 】
ボクは密かに恋をしていた。
栄子とびぃちゃん、椎木とボク。
いままでも、これからも、四人で過ごすことが当たり前だと思っていた。
ある日、四人で行った町内の祭り。
おしゃべりが大好きなびぃちゃんは、祭りが楽しいことを嬉しそうに、ずっとしゃべっている。
ボクは、ただなんとなく相づちを打ちながら、綿菓子をかじる。
気が付くと、栄子と椎木の姿はなかった。
「ふたりがいないよ?」
びぃちゃんは気にしないといった風に返してきた。
「今日はふたりで遊びたいから、後で合流するって言ってたよ」
その一言にドキリとした。
口の中の綿菓子は、ふわりと甘いはずなのに、ボクの口には苦い味が広がった。
ボクの密かな恋は、ふわりと溶けて消えた。
あれから幾つの恋を知っただろうか。
綿菓子をかじると思い出すのは、あの頃の苦い味だけ。
あの頃の密かな恋。
ボクの初恋。
ありがとうございました。
次回もラジオ番組の投稿コーナー
妄想【愛の劇場】へ投稿した作品の投稿になります。
妄想【愛の劇場】#82「シワ」
#83「我が家」
#84「火傷」
#85「ドーナツ」
#86「つまみ」