玖 天と超、刹那の戦 壱
投稿遅くてすんません
空技は自分が倒れて行く瞬間に何か、橋場ではない影を見たような気がした。
だがそれを空技が確かめる術はない。
その疑問を抱いたまま、空技は気絶した。
空技の見えた物は正しかった。
そこには空技はと橋場とあと一人…
「君誰?」
空技を気絶させても全く気を緩めなかった橋場は気付いた。
「僕の事が知りたいのかい?僕に勝ったら教えてあげる。」
そのもう一人は先刻、超井玲と天之空技の戦いを見ていた者であった。
白髪でくせっ毛、身長は空技より一回り小さく、左腰に刀を差し、右腰に拳銃を入れていた。服は、空技と同じく甚平。
白髪の謎の少年は、
「どうする?僕は素手でも構わない」
謎の少年が橋場を煽るような言動を橋場は気付かなかった。
「いや、銃も刀も使ってもらって構わない」
「うん。分かった」
白髪の少年は一歩大きく踏み出した。速度は、空技の数倍にもおよぶだろうなんて橋場が考えていると…
「バカだね。自分の速さに自惚れ過ぎだよ」
謎の少年が優しく言うと、いや、言った瞬間に拳は橋場の顔に当たっていた。
「兄ちゃんはまだこの領域が開けてないから…開いたら僕より強い」
兄ちゃんと言ったことに、
「兄ちゃんって誰だよ?」
と橋場は鋭く返す。
「ん?兄ちゃんは僕を殺さないでくれた人さ」
「てか領域ってなんだよ」
橋場の連続の質問に
「これは死の淵を体験した時に生き残れたら開くんだ。」
「名は?」
「初めて開いたのが僕だからまだ無いけど、決めるなら、ルックケア・ファム・トーズかな」
謎の言葉に橋場が言葉を詰まらせていると…
「この言葉は…いや君が僕を倒したらこれも教えよう。」
「天之流刀法」『壱』 天ノ斬閃
見覚えのある技に橋場は後ずさる。この技は他の奴らと戦っている時に何度も見た。
「なぜ…その技を…」
謎の少年は頸を一撃で斬り、
「貴方にはまだ死んでもらっちゃ困るよ…」
と、空技を見つめるのだった…
空技は意識が戻るなり跳ね起きた。
(俺は気絶していた!?何で生きている!?)
辺りを見回す。そこには、先刻自分の事を気絶させた者の頸。
「さっき見た謎の影の者が倒したのか…?」
空技は橋場の事を自分以外の何かが倒したのだとすぐに気付いたのだが、頸の断面の斬り方が天之流刀法と似通っていた事に疑問を抱いた。
(じいちゃんは来てない…もしかして!いや、ないか…)
空技は過去、神田に連れ去られた弟の事を思い出した。
(いや、まさかな。)
この世に天之流刀法を使える人間は天之家一族のみ。満が来ていないと言う事は、天之家の誰かが助太刀をしたという事実があるだけであった。
空技は何時間寝ていたのか分からず、時計を出した。
時計は連戦の影響で針が止まっていた。バッキバキに割れてるし。
(でも、ここまで来たんだ。超井の主を倒す!!)
二階の階段前で眠っていたため、立ち、全力で駆け上り始めた。
参階の扉を開けると…
五十m×五十mの部屋が広がっていた。
(さっきよりは狭いか…)
その奥に一人、人間が立っていた。
「以外に早かったな。天之空技」
その者の正体は一瞬で気付いた。
「超井信行か!!」
(超井主の下の名前出してなかったよね…さーせんした)
「よく分かってんな。一つお前が知りたそうな情報をやる。お前はここに入ってから、三時間とそこらでここまで来た。ま、ここまで来た奴が初めてだから早いのか分からんがな」
しばし会話を続けていた。
その途端に二人の話のネタが尽きた。空技は刀を抜き、超井信行はラジコンのような謎の物を持ってロボットを動かした。
今、動かしているロボットは一体。
超井は空技の動きを待っているように見える。
(先手必勝!!)
次の瞬間、空技は一気に間合いを詰め始めた。
「早まったな。戦いってのは相手の動きを見た方が勝つんだよ」
空技はロボット一体に殴り飛ばされ、十メートルほど飛び、着地した。
「守りはそこそこだな。」
「仇撃ちだ」
空技のセリフに、
「お前の父のか?」
「ああそうだ。簡単な力比べだ。ロボットと、刀のな!」
超井信行…書いてなかったっけか