捌 最後の護衛機械
毎日投稿できずに申し訳ないです。(誰も見てないと思うけど)
地野波の横で数分、座っていた。
今はもう、逃げるという選択肢が存在していない。馬は撃たれて絶命していたし、ライ丸も不思議な檻の中だ。
必然的に空技は一人であと二人と戦わねばならない。
更に、赤山が言っていた。
『私は一番弱い』
と。
もう一人の超井主を守っているのは地野波玲より強い可能性が高い。
(どうしようかなあ)
空技に残された道は一つしかない。このまま戦う事だ。
入り口の方は爆発で燃えているため逃げることは不可能。
(ま、行くしかないけど。)
立ち上がった。赤山に言われた道順を思い出す。
そして空技は歩き出した。言われた道順のまま最後の階段までも、特に何もなかった。
階段の目の前で空技は気を引き締めた。
「うし!行くか!」
階段を駆け上がり、二階に上った瞬間…
「うえ!?」
空技の顔の一メートル程先に拳が有った。
「はあ、一瞬で速度緩めたあ?僕の足音聞こえてなかったよなあ?」
目の前の空技を狙ったとされる拳を出した者に聞かれる。
「いや、足音聞こえてたぞ、普通に。」
空技のジト目ツッコミに目を見開く。
「あれえ?そうだっけか…そうだ自己紹介。橋場正宮だあ」
苗字が超井じゃない事に空技は驚く。
(身内を近くに置いてるわけじゃないのか…)
実力があれば側近にでもなれるのかと心底軽蔑する。
「君とは万全の状態でやりたかったの…」
最後の一字を言い終わるころには視界内にはおらず、背後に回っていた。
「…に」
聞こえた瞬間には殴られていた。二階の廊下を二十メートルほど転がる。
相手は今、ただの身体能力で移動したんだと空技は気付く。
「一応情報開示してあげるう。今はロボットの力使ってないよ」
そもそも体に、ロボットらしきものは一つも付いていない。
サイボーグかと体をよく見てみる。
(あれは絶対人間の身体だろうが!)
空技はやっとの思いで立ち上がる。
次の瞬間に両者地面を蹴る。
空技は刀をまだ抜かずに相手の動きをよく見ていた。
(刀は出さなくていい!一旦相手の動きを、見る!)
「ねえ、君の武器は刀でしょう?なんで抜かないの?」
ただの人間では到底追えない速度で二人は間合いを保っている。
「分かったよ。」
橋場の動きには一切カラクリがない。なんせ、ただの身体能力が高いだけだからだ!
(こいつ身体能力やばすぎだろ!!)
そんなことを思っていたが、手負い(右腕折れてる。)+刀を持っているというハンデを背負いながらも、同等の動きを出来ている空技も大分身体能力がやばい。
空技は刀を腰から抜いた。
「君右腕折れてるね」
身体の状態を一瞬で相手に把握され、何かロボットの機器が体内に埋め込まれているのかという仮説が一つ。
一定の間合いを壊したのは、他ならない空技自分自身だった。
「天之流刀法」『壱』 天ノ斬閃
この最速の剣を鉄で出来ていない人間の腕で簡単に弾く。
天之家の鋼と皮膚でぶつかって全く怪我をしていない。
(はあ?生身で刀弾けんのかよ!)
「天之家当主がそんな弱くていいのかな?」
「足音も消せない雑魚がよ!」
と、すかさず煽り返す。
そこで、
「満は僕と戦っても死ななかったんだよ?目にしか攻撃入れれなかったんだあ。」
空技は驚きのあまり、一瞬動きが止まる。
今の速さではその一瞬が命とりになる!!
(じいちゃんの目を!?)
戦いの事よりも言動について考えていた…
橋場は空技の停止を見逃さず、頸の後ろに手刀を叩きこんだ。
空技は自分の身体が地面に落ちていった。
(は?何が起きた…)
視界内に橋場がいないことが分かる。後ろにいることに空技はやっと気が付いた。
そのまま空技は意識が遠のいていくのだった…
書籍化したいなああああ
橋場正宮 はしばせいくう