漆 罵倒
えー、超井戦、主まであと二体になりました。
空技はどうなるのでしょうか
空技は赤山のネックレスを首にかける。
「一緒に戦ってくれよ、な?」
「形見までもらっちゃってさあ…心許しすぎなんだよねえあのクソ駄作。自爆装置からもも助けちゃってさあ?あれ大分威力抑えてたね。自爆装置壊そうとしてたし?」
空技は赤山への暴言に対し思考より身体が先に動いていた…
「クソ野郎が。ぶっ潰してやる。」
「君もさあ?会って一時間もたってない奴にそんな心許しちゃうかなあ?二人そろって馬鹿なの?」
「数分話したり、戦ったりすれば相手の心はいくらか分かる。赤山はそれだけ優しい心を持ってた。お前とは違ってなあ!!」
空技は今までに無いほど速く懐に入った。
「わお★さっきより速いかな?疲労してるはずなのにねえ」
そして凄まじい速度で刀を大振りに振った。
「!」
刀は空を斬った。大振りだったために隙が多い。
その隙を超井玲は見逃さなかった。
「怒りが動きにでちゃってるね」
何もはめていない方の腕で空技の身体を軽く殴る。
「ぐああっ!!!」
そう!超井玲にとっての軽く、で。
空技は10mほど吹っ飛ぶ。
(いくら体力が減っってたからと言ってここまで飛ぶのか…?)
「あれぇ?軽く殴ったつもりだったんだけど?本当に身の程知らずだなあ。」
(今のセリフは動揺を誘うための嘘か?)
空技は膝に手を置きながら、立つ。
「君さっきからなんで諦めないの?力の差は圧倒的じゃないか」
「いいや?そんな事はない」
「は?」
超井、入り口にて…
白髪の少年が立っていた。
「まだ、刀も捨てたもんじゃないな…」
超井のビルに背を向け、
「でももう終わりだ…兄ちゃん。」
「お前は攻撃の強さはあるかもしれない。だが俺は、いや、俺達剣士はそれだけじゃない。しかも一番大事なのは…」
「待って、それ当てたい★」
「…分かった!剣士に必要なのは持久力だ!」
その内に空技は後ろに回り込む。
「外れだな」
そして空技の方に視線を向け、
「速いね。意外に速さだったりする?」
「それも外れ」
(このままコイツの頸を刎ねる!)
超井はブラスターの方向をこっちに向けず、四連射した。
「…は?」
(狙いは…こっちじゃない?)
「ライ丸うううううう!!!!」
狙いは、ライ丸だったのだ!!
(気づけライ丸!!気付いてくれ!!)
ライ丸は気付かぬままブラスターに四本の足を撃ち抜かれた。
「おっ、全弾命中!」
(でも、頸には届く!!)
空技はライ丸がやられても、超井玲への攻撃を緩めなかった。
「そこで攻撃をし続けられるメンタルすげえな」
「チッ…」
超井玲は空技よりも、赤山よりも速く、避けた。
空技はそんな事には目もくれずライ丸の方にダッシュした。
(今の一瞬、攻撃が緩む!)
だが走ってる時点でブラスターが二発、すかさず空技は刀で弾く。
「反応いいね★」
空技はライ丸を見て、希望を捨てかけた…
(!?出血がひどい…これは今止血しても死ぬな。)
「ライ丸中で時間が止まる檻の中入れるか?」
「死ぬよか…ましだ…」
空技はその中に入ったものの時間が止まる不思議な檻にライ丸を入れた。
そして空技は超井玲に視線を向ける。
「なあ超井玲。お前はなぜそんな卑怯な手を使うんだ?誇りはないのか?」
空技の心から共感できない事への質問に、
「この戦いの世はさ、どんな卑怯な手を使ってても、勝った方が正義なんだよ?」
空が瞬時に気付いた。
(コイツとは絶対に分かり合えない…絶対に俺の手で止める。)
「今僕が手負いの君に勝負を仕掛けたのもそういう理由だよ?ここに入る前の戦いを見て確信したんだ。本調子の君とやったら負けるってさ」
「はっ、どーもありがとう。」
「てかなんでそんなにボロボロで、何度攻撃を受けても気絶しないの?」
「お前とは持ってる思いの次元が違うんだわ」
「なるほどね?でもさあ、ちゃんと体力や腕力脚力がないと勝てないよ。」
「勝つんだよ。俺が。」
空技が行ってから、数時間が経った。今、満は報告を待っていた。
この日本には攻められた者を追い返した、殺した、人質に取った、などどうしたか報告しなければならない。報告しなかったら神に殺されると言い伝えられているが信じている者はほとんどいない。報告をするのが主なので、もし万が一主が殺されたら、下についている者たちはバラバラになる。それを危惧しているのだ。
そして報告が来た。
【天之家の方々へ。 超井より
貴方方の天之空技殿がいると思います。今現在、その方に爆発を当てましたが生きています。その後一体サイボーグを撃破し、その後別の者との戦いになると思われます。追加情報ができ次第、送らせていただきます。】
「ふう。空技は今生きとるのか。良かった。だが、玲と戦うことになったら困るなあ。アイツ本当に小癪な戦法を使うが実力は確かだもんな…」
「クソッ…」
空技は今超井玲の攻撃を受けることが精一杯。攻めに変われるタイミングがない。防戦一方だ。
(うっ、超井玲、全く動きに無駄がない…毎回の攻撃が最適解だ。俺が本調子なら負けてるとか言ってるけど嘘だ…普通に強い…)
「あれえ?勝つんだよとか言いつつ全く攻撃されないねえ?なんでだろう?」
ちょうど今のタイミングで空技が防戦一方で油断している超井玲の一瞬の隙を、空技は見つけた。
(油断して、動きが雑だ)
空技は自分がギリギリになり、リミッターが外れかけ、動体視力が極限まで上がっている。この状況が続けば空技は身体が壊れるだろう。
(今の左腕の振り、さっきより15センチぐらい大振り…)
空技は大振りを避け、そこから戻すのが先刻より0.01秒ほど遅くなる。
空技はリミッターが外れかけている。身体が壊れるギリギリの力が引き出されている。
故に、今の空技にとっての0.01秒はいつもの空技に取っての一秒程度。
「…そこ!」
空技はやっと一撃を入れることができた。だが左腕の指先へのかすり傷だが。
超井玲は予想外の空技の速さに驚いた。
(は…?…そうか!僕を殺すことに全力集中してリミッターを外しかけているのか…意識的かは分からないけど脅威になるな。時間稼いでリミッターを外させて体を自分に壊してもらお!)
空技はそこから更に速くなった。10mを0.1秒で駆け抜けられる。
「うっ…」
空技は、リミッターが外れる直前に左足を踏み込んで飛ぶことができたため、骨を傷つけずに先刻よりも更に速く相手に近づくことができる。
「おいおい、骨折れたのにそのまま向かってくんの?」
空技は自身のリミッターが外れたことに気付いた。そこで空技は超井玲の懐の内に行くまでの時間で右手に刀を持ち替えた。
「天之流刀法 壱 天ノ斬閃」
今までの中で最速の天ノ斬閃となった。
そこで、超井玲の頸が斬れた。その首からも血はでない。
「仲間を認められないからそうなるんだよ。」
「ああ、そうかもな…さっきの答え合わせは…?」
「剣士に一番大事なのは諦めない精神力だ。刀ってのはどうしても銃やロボには劣る。そこで刀だから無理じゃなくてその劣りを何で埋めるかって話なんだよ。そう簡単には分からない。それを諦めないで考えて実践する精神力が一番大事だと俺は思ってる。」
「僕には足りない物だね。」
「それがあればお前はもっと強くなれたはずだ。」
「僕も小さい頃から体弱くてサイボーグにしてもらっちゃったんだよ?僕はここ来ちゃ駄目だったんだけどね。地野波家の生まれだったんだよ。」
「…そうか。」
そして超井玲は息を引き取った。
地野波家、天之家と同列の剣士の家計。神田に潰された。最後、一人の女が生まれていたらしいがそいつは神田に潰される前に何処かに消えていた。それが、超井玲。いや、地野波玲だったのだ!!
超井玲 ちょういれい
地野波玲 ちのなみれい