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天ノ魂斬  作者: 頼本
旅する少年よ、志を預かる
5/13

伍 身体より「気持ち」が加速する

今、11月14日。23時。

まだ、ストックはある。

6話と7話先に書いてたから、19日の分まではある。

土日に大量に書いて平日暇します。


(アイツがいつ避けるか分かんねえ!)

 空技は刀法最速の技で確実にダメージを与えようとした。

「天之流刀法」

 ロボットは空技の動きを見て、

(これは…不味いな。速い!)

『壱』

 この一瞬にロボットの動きを見つけ、

(左に動く!!)

「そこだあああああ!!!」

天ノ斬閃

 今までの全力で繰り出した技は、悲しきにも空を斬った。

「…は?」

 率直な感想が口に出る。

 今までの全力、空技にとっての力の入れ方は全力だった。だがそれでも、体力の消耗に逆らえる人間はそういない。

 空技は…この戦い、主に爆発で消耗していた。

(そうか…なんであれが最高速だと、思ってた!?)

 ロボットはオーバーヒート防止のための空気の入れ替えながら、

「惜しい。私はガスを増やせば増やすほど、速くなる。また、多く使うとその分時間も減るんだ」

 突然の告白に空技は驚きを隠せなかった。

「!?」

 空気を入れ替えている間は追撃はないと思い、今のセリフの意味を…

(それじゃあいくら裏取っても時間内には倒せないのか?)

〚あと9分です。〛

 ロボットから出た音声は先刻のロボットの証言と食い違っていた。

(俺が攻撃したのは10秒前ぐらい…速いとガスを多く使うのは嘘…)

「いや違う」

 何かを理解したのか下に向けていた視線をロボットに戻す。

「お前の手の内は分かった。終わりにしよう、ロボさん」

 自信に満ちあふれたセリフにロボットは、

「お前には、名乗ろう。私は赤山紅だ!!」

 いくら手の内が分かったからと言って、戦術とかは全く考えていなかった。

(…アイツの手の内は分かったけど、どう攻めるかなあ…思いついた!!)

 完全に停止していた状態から急に走り始めた。先刻より更に遅く、ロボットの右手側へ突撃していった。

「数秒経っての考えが強行突破…は?」

 空技がロボットの右腕に行った0.5秒後にはロボットの左腕は斬れ、空技はロボットの左奥にいた。

「鈍足警備が」

「なぜ…?お前は体力的にその速度で走れる訳が…」

 赤山の驚きが言葉を通しても伝わってくる。

「お前、油断してただろ。それで俺の更に遅く走った事を重要視しなかった」

 腕を斬る事が出来た理由の情報開示に、

「…緩急!」

「ああ、そうだ。俺が遅く走ることでさっきの速さに戻した時、より速く感じられるようにしてやったさ。」

「策士だな」

 と、素直に賞賛の言葉を浴びせた。

 そこで、斬った腕に視線を戻した瞬間。

 驚きのあまり、声が出なかった。

(断面から血が出ていない…ロボットに人間が入っているわけじゃない。)

 そこで一つの結論に至った。

(サイボーグか!!)

 空技は赤山の取れた左腕の肘から電気が少し出ている事を見逃さなかった。

「私は…」




 赤山紅は生まれてすぐに起きた成長障害で身体が全く成長しなかった。

 そのせいで目、鼻、口も使うことができず、神に許されたのは思考のみ。

 その後、数年間病院で死なせてもらえなかった赤山は、当時の超井の主に、

「俺が、救けてやる。」

 と言い、親から赤山を引き取り、その後、サイボーグにした…




「この身体に残っている私の物は脳だけだ。主は私をここに立たせているのは、駄作だからいつでも壊せるように、らしい。」

 赤山の生い立ちは辛いものだった。勿論今の生き方も。

「俺達と行くか?」

 空技の出した救いの手に、

「私もそうしたい。主が作ったから、いつでも主は私を爆発させられる。だから、寝返ることが不可能だ。」

 その、超井の主のやり方に空技はとにかくイラついていた。

 今まで寝返る事なく、主に付いてきた赤山には尊敬する。

 いくら寝返ったら死ぬといってもこんな生活を強要するなら死んだ方がマシというのが空技の意見だ。

「俺が主倒してお前も付いてくるでいいな?」

 一番の救いの問いかけに、

「異議なし!」

 と、言うのを合図に二人は走り出す。

 両手に刀を高速で移しながら走り、どっちから攻撃を出すか読めないようにし、

(ここであえてジャンピングターン!)

フィニッシュはどちらの手に刀を持っているか気取らせないように右回りにジャンプターンした。

 赤山は動かず、空技の動きをずっと、見ていた。

(頸から、胸まで入る!!)

「!!」

 急に先刻より何十倍も速く、後ろに避けた。

(胸を狙った途端に…?)

 追撃のため、走りながら考え、

(胸に何か大事なもの入れてたら申し訳ないな…狙うのやめよ。)

空技の仮説は正しかった。

 赤山は空技から20メートルほど距離を取り、遠距離の有利対面を作り出した。

 手の平を向けて、

「雷 超強化」

 ガスの使用量を一時的に飛躍させ、5倍ほどの威力を瞬間的に叩き出す。

「チッ…」

(ガス増やすか…)

 空技は避けたり弾いたりしながら、少しずつ赤山との距離を縮める。

 同じ雷の中でも速さに抑揚をつけ、避け辛くした。

 目の前に少し、遅めの雷が飛んできた。(常人にとっては普通の雷ぐらいの速さに見えるよ★)

 雷が当たる0.3秒ほど前、地面を全力で蹴り、5メートル程跳ぶ。赤山は予想外の事が起きたため、逃げる素振りは見せない。

 空技は空中で刀をしっかり左手に持ち直し、

(丁度、赤山に届くまで約3秒…)

「天之流刀法」『弐』

「不味…い」

(入…)

 あと数十センチ振れば頸に届いた。だが、頸に刀が届くより先に空技の身体に限界が訪れてしまったのだ!!

(力入らな…)

 残りの滞空時間で何もすることができないまま背中から地面に落ちた。

 空技は悔しみのあまり、脳内で何度も、何度も自分を罵倒し続けるのであった…


読み方をおさらいしましょう

天之空技 あまのくうぎ

赤山紅 あかやまこう

超井 ちょうい

天之流刀法 あまのりゅうとうほう

天ノ斬閃 あまのざんせん

八重斬 やえぎり

空裂 くうざ

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