拾弐 天と超、刹那の戦 肆
投稿遅くなってすまんね。
(今にも身体が壊れそうだ…痛い…)
空技は傷口全てから出血している。走ったら出血量も増えるだろう。
「ロボットで〆させてもらおう」
そして多数のロボットは必要ないと感じたのか一体だけを動かしてきた。
空技はロボットの攻撃が自分に当たる瞬間、
「天之流刀法」『壱』 天ノ斬閃
ロボットの頸が落ちる。
空技は動いた瞬間急激にに出血量が減った。
「どういうことだ?」
超井信行は興味深そうに空技を見つめる。
空技は止血をした訳では無い。出血を止めるために自ら心臓の鼓動を止めた。
これは天之家に代々伝わる止血法で数秒程度血を止められる。
だが、そのままでは自分の身体が止まる。だから天之家一族には同じ血で長く身体を動かす力が求められるのだ。
「成程、心臓を止めたか」
空技を少し見つめるだけでそれを理解した。
それと同時に弱点も理解する。
「長くは無理であろう」
空技はその数秒の中で決着をつける気でいたが、それが無理だと悟った。
また、血があふれ始める。一瞬で止まった。
超井信行は理解出来なかった。心臓も動いているし血も廻っている。それなのに出血しない。
「何故だ?」
また、先刻よりも速く、鋭い刀を出す。今度は超井信行の頸に刀を振っていた。
超井信行は後退する。
今、空技が血を止められているのは心臓を止めている訳では無い。今やっている物は今まで誰にも教えられていなかった方法。
空技もぶっつけ本番でやったため、出来るかなんて分からなかった。
それは、筋肉に全力で力を入れること。
その方法で空技は斬れた筋肉同士をつなぎ合わせている。これは空技だからこそ出来た。人間に成せる技ではない。
筋肉同士を繋げ、大量出血は抑えられたが、血が出る感覚はあるし、筋肉に血が滲むのが全身に、絶え間なく浴びせられる。激痛だ。
それでも先刻よりも速く動ける空技は相当我慢強いのだ。
(痛い痛い痛い…そんな事考えんなら戦法考えろ!死ぬぞ!)
空技は生きるために、一瞬一瞬を一つのミスなく繋いでいる。
また斬撃が飛んできたが刀で弾く。
「何故その傷で尚、速くなるのだ?」
空技には話してる暇なんて今はない。それだけ集中している。
だが、超井信行と身体の出血しか考えていられず、ロボットの事まで気が回らなかった。
一旦刀を後ろへ引き、超井信行に斬りかかろうとした時、刀の上にロボットがジャンプで乗った。
一瞬で後ろに顔を振る
(ロボット!!存ッ在を完全に忘れてた!)
そのまま空技は態勢を崩す前に刀を離す。
その次には斬撃が飛んでくるが刀が無いため、全て避けるしかないのだ。
拳法も斬撃には成す術がない。
(どうする…どうする!とりあえず左跳べ!)
斬撃を避けるため、全力で左に跳んだが、そちらにはロボット。
ロボットは先刻までは殴っていたが今度は掴んだ。そして超井信行は空技に斬撃を…ドアが豪快に開く音がした。
数分前…
(クソッ…あの白髪小僧強すぎだろ…この天之空技に死んでほしくないんだろ?助けるか…信行さんにコイツじゃ勝てねえ)
と、橋場は飛ばされた頸で考える。
橋場には身体と頸が離れても尚、再生することができる。(頭を無理やり身体にくっ付けているとも言う。)
そこで身体に頭をまたくっ付け、三階まで上がる。
三階のドア前で状況を確認してみる。
そこでは激戦が広がっていたが、
(今出ても普通に主に殺されるのがオチ。あの空技って奴が死にかけて油断した隙に!)
しばらく戦いを見ていた…
(ロボットが掴んだ!今!)
ドアを豪快に開け、超井信行に殴りかかった。
空技が負けを覚悟したその瞬間に超井信行は顔を思い切り殴られ、十メートル程飛ばされた。
(助太刀?誰だ?)
ロボットは操作されなくなり、空技の拘束を解除した。
そこで空技は殴った者の方へ顔を向ける。
「橋場正宮!ただいま天之空技を救うために参上!」
空技は頸が繋がっているのを見て驚く。
(橋場!?なんで生きてる?)
「天之空技お前今全力で無理してんだろ。一旦休んで来い。5分ぐらいなら稼げるさ。」
橋場の空技への味方しようとする事に、
「ありがとう、ございます」
「任せろ。白髪の少年の大切な奴!」
空技が三階のドアに駆け込もうとしながら、
(白髪の少年…?海技か?)
そして空技はドアを閉めて応急処置を始めた。
そこから戦いの声が聞こえてきた。
「貴方と戦うなんていつぶりでしょう?」
橋場が煽り交じりに聞く。
「俺がお前を仲間に引き入れる時だからかれこれ十年ぶりほどだ」
超井信行の記憶力に、
「よく覚えてますね、主。」
「もうお前は、ここへ利敵したってことでいいんだよな?」
超井信行が半ギレ状態で言う。
「はい自分はもう、天之空技の味方です。」
「分かった。お前は強かったのに」
超井信行は悲しそうに言う。
「自分は貴方に武力で服従させられる事が本当に嫌でした。退職届けです!」
と、紙を投げつけるのであった…
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