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シルフィーナ。

「おはようアナスターシア。大丈夫?」

 そんな優しい声に起こされて。

 昨夜は色々変なこと考えて頭の中がぐちゃぐちゃで。どうしようも無くなってしまって。

 ファフナが、「しょうがないわね、眠れる魔法をかけてあげるから」って言ってくれてわたくしの胸元に潜り込んできて。

 そんなファフナをもふもふしている間に、いつの間にか寝入っていた。

 夢も見ずにぐっスリと眠れたのはやっぱりファフナの魔法のおかげかしら?

 なーんて考えながら目が覚めたら、目の前にいたのはファフナじゃなくってお母様だった!!


「お母様!! どうして!?」

 ばっと飛び起き体を起こすと、わたくしの上に乗って寝ていたファフナがにゃぁっと落ちる。

「ひどいわ、アーシャ。起きるならもっとゆっくり起きてちょうだい」

 そう文句を言うファフナ。


 って、ファフナ?


 心の声じゃなくて、ファフナったら声に出して喋ってる。


 でもって、そんなわたくしたちを聖母のような優しい笑みで見つめているシルフィーナお母様。


「ふふ。お寝坊さんね。お母さまたちは昨夜のうちに到着したのよ。あなたたちはあんまり気持ちよさそうに寝ているから起こさないでおいてあげたんだけど。そろそろいいわよね?」


 そんなふうにウインクするお母様。


「早く起きましょうアナスターシア様。洗顔の準備もできていますよ」


 お母様の後ろからそう声をかけてくれたのは、お母様の専属のメイド。っていうか、猫型オート・マタの「タビィ」。

 侍女服に身を包んだ彼女は、そこらの人間のメイドよりも有能優秀だと自分で言うくらい、本当に優秀な自動人形(オート・マタ)だ。

 その昔まだ神様がこの世界にいた頃に創られたという彼女。伝説の魔具(アーティファクト)でもある彼女は、その昔魔道士の塔から貸し出され、その後正式にシルフィーナお母様のパートナーとなった、そうだ。

 確か、先般の魔力災害の折に尽力した事に対する報酬として頂いたのよって、お母様が昔聞かせてくれたんだった。


 聖都にある王立図書館にも同じような猫型オート・マタの「フロスティ」がいるけれど、タビイによると彼とは同時期に創られた兄妹なのだという。

 エネルギーは大気中の真那(マナ)

 天子(ギア)による自動修復も可能だそうで、もう何千年とこの世界に存在している、まさに伝説級な魔具なのだという。


「ほら、そこの猫ちゃんも。起きてくださいね」


 はう、タビィったらファフナが潜り込んだ毛布を剥がして覗き込んだ。


「っとに。あんた、来てたんなら来てるって言ってよね」


「だってファフナ、しゃべれないふりしてたでしょ? シルフィーナ様にはもうとっくにバレてるって知ってるくせに、アナスターシア様には内緒にして」


 え?


「だって、しょうがないでしょう。言う機会を逃したのよ。今更じゃない」


 え? え?え?


 タビイとファフナって、そんなふうに会話する関係だったの??

 それにお母様もご存知だったって、こと??

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