ルルブ鉱山へ。
「わたくし、第百八十代聖女ですから!!」
助けられるかもしれない命を見捨てることはできません! と、大見えを切ってルルブ鉱山へと向かったわたくし。
わたくしの肩にはファフナが乗ったままだ。
セバスリーにいさまも「危険だからダメです」って文句を言いながらも、「聖女のわたくしが行かなくて、彼を救い出せるのですか!」って言ったら諦めてくれた。
もしかしたら今現在でも命の危険に晒されているかもしれないナクル君を助ける為にはどうあっても聖女であるわたくしが必要だろう。っていうか、瀕死の少年をそれがどんな状態であってもその場で回復させることのできるポーションなど、とても高価すぎて使うことなんかできるわけがない。
その点わたくしなら一通りの回復魔法が使えるから。きっと役に立つはずです。
——アーシャの枷はとっぱらったままだから、今なら魔力適性値を測れば無限大って出るはずよ。
って、ファフナ? 無限大って。
——うん。今の貴女の加護は、神に匹敵するわ。基本できないことは無いはずよ。
え、えー?
——ほら、王宮で死んじゃった従者さんも蘇らせちゃったじゃない。
はう、あれってそういう事だったのですか!?
——そういう事じゃなかったらどういう事だと思ってたの?
って。そう言われて見れば。
あの時は無我夢中でしたから、そこまで大それた事をしていた気はしていなかったのですが……。
——まあね。あたしも補助してあげたけど、基本は貴女の力よ。あれ。
でも、死んだ人を蘇らせるなんて、条理に反する事だったのですよね……?
——うん。まああれは最終手段ね。あんまりあんな力を頻繁に使ったら、貴女の体も心配だし。それに。
それに?
——流石に死者を蘇らせるのはやりすぎだってこと。他の人に知られたら貴女神様に祭り上げられちゃうわ。
え!?
——さもなければ悪魔扱いね。どっちにしても、人ってあまりにも強すぎる力は基本的に怖いのよ。恐怖の対象っていうやつ? そんな存在にされたくは無いでしょう?
それは、怖いです……。
わたくしなんて普通の女の子なのに……。
——まあね、普通かどうかは置いておいて、貴女のその力、どちらにしてもセーブしなければいけないわ。まあ普通の意識ではなかなかそこまでの力は出せないだろうからそこまで心配はしてないんだけどね?
もう、脅かさないでください、ファフナ。
——あら、脅しじゃないのよ? 貴女はそれだけ、自分の力とちゃんと向き合って。それでもってちゃんと制御しなくちゃいけないって事。自覚してね。
ファフナのその言葉は衝撃的で。
でも。
少し、勇気が出ました。
頑張ればきっとナクルくんを助けてあげられる。
そう思えば心も軽くなるというものです。
ルミーナさんが冒険者さんを数名わたくしたちに同行させてくれました。
その中には最初にミラくんに縋りつかれてたジャフさんもいて。
ジャフさん、Bランクの冒険者さんだったようです。ルルブ鉱山にも閉山になる前に作業者さんたちの護衛のお仕事で入ったことがあるそうです。
「案内は任せておけ」
って、胸を叩いてそういうジャフさん。
心強いですよね。
やっぱりこの人、いい人だったんだなぁって。わたくしの心もちょっと温かいもので包まれました。




