受付。
冒険者ギルドの中は閑散としていた。
時間がよかった?
ちょうどもうじきお昼ご飯の時間になりそうな頃合いで、きっとみなさんお昼ご飯を食べに出ているのかしら? そんなふうに感じていると、中にも飲食ができる休憩所があってそこでお酒を飲んでる方がみえる。
「ああ、こんな時間にめずらしいな。何か依頼でももって来たのかい?」
お顔にはいくつもの傷があり、かなりのベテランさんにみえるその男性。
少々酔いがまわっているのか陽気な感じにそう声をかけてきて。
「いえ、ちょっと今度私の仕事の関係で冒険者ギルドの登録証が必要になりそうで。この年で今更ですが、登録をお願いしようかと思いましてね」
にいさま、そんな感じに穏便に答えて。
でも、その男性はにいさまの返事を聞いた途端、急に険しい顔になった。
「はあ。あんちゃん、掛け持ち冒険者になろうってことかい?」
「ええ、あくまで今の仕事がメインではあるのですが」
「そっか。まああんまり歓迎しねえがな。せいぜい頑張れや。ただし言っとくが、冒険者っていうのは片手間でできるもんじゃねえんだぜ? ランクが上がらねえと旨い仕事にもありつけねえ。冒険者証があるだけじゃ、メリットにもならねえからな。せいぜい身分証になる程度だが、それも碌に討伐記録もねえ冒険者証じゃぁ見せた時に笑いものになるだけだぞ」
「もう、ドルトンさんったら絡むのもその辺にしといてあげてくださいな?」
いつのまにか金髪の巻毛でかなり派手目なお化粧をしたお姉さんがそこにいた。
「しかしよう、ルミーナ。こういう優男には最初にちゃんと教えておいてやらねえと。あとから後悔してもおそいからな」
そのルミーナさん? こちらにさっと会釈してドルトンさんに向き直る。
「だからって。相手のことをよく知りもせずにそうやって絡むがドルトンさんの悪い癖ですよ? この人が穏健な方だから良かったものの、悪いお貴族様だったら手打ちにされてもおかしくはありませんからね?」
「はあもう、おっかねえな、わかったよ。悪かったなあんちゃん。なーにちょっとしたアドアイスのつもりだったんだ」
「わかります。ベテランの方のこういったアドバイスは貴重ですからね。ありがとうございました」
はう。にいさまったらこんな時でも紳士的。
決して怒ったりはしないのね。
「ああ、わかってくれればいいのさ。そっちの嬢ちゃんも、わるかったな」
ドルトンさん、そんなふうに不器用なウインクをして。
お酒をあおって「うめえなぁ」とひとりごちる。
うん、わるいひとじゃないのねこのおじさま。
ルミーナさんに促されて受付カウンターに向かったにいさまを追いかけて、わたくしも足早にそちらに向かう。
受付カウンターのお姉さんなのかなこの人。
それにしては随分と貫禄があるような気もするけど。




