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永い永い年月を。

 ——仕方ないわね。あたしは登録しているところを見られたら満足だからそれでもいいわよ? アーシャはお父様にちゃんと許可をもらってからもう一回来ましょ?


(そうですね……。そのほうがいいですよね? ああもう、絶対お父様を説得して見せるんだから!)


 ——ふふ。そうね。その意気よ!


 確かに考えてみればにいさまのいう通りだ。わたくしがわがままを言って皆を困らせるのも不本意だしそれに。

 にいさまが登録をしてみせてくれるっておっしゃって下さったのは、わたくしのためだってわかるから。


「ありがとうございます。にいさま。わたくし、嬉しいです!」


 そう言ってにいさまに抱きついた。

 ちょっとお顔が赤くなったにいさま。はう、そういえばにいさまったら彼女さんとかいらっしゃるのかしら?

 こんなにかっこいいにいさまですもの、きっと周りの女性がほっておきませんよね?


 そんなふうににいさまを見つめてみる。

 この三年、ずっとお会いしていなかったから、にいさまも変わってしまったかとわたくしのことなんか忘れてしまったかと少し心配していましたが、やっぱり昔のままの優しいにいさまがそこに見えた。

 ふふ。

 なんだかすごく嬉しくなって。


 わたくしはにいさまの胸に猫のように頭を擦り付けた。


 ♢ ♢ ♢


 冒険者ギルドはちょうど商店街の端、人の往来の終着点に当たる大通りの端にあった。

 大きな煉瓦造りのその建物は、周囲の街が白を基調とした煉瓦であるのに対し、ここら辺ではあまり見ない赤茶けた煉瓦でできている。


 四階建てのその建物の中央に、大きな両開きのスイングドアが付いている。

 目線の位置はちょうど隠れているものの下や上に空間が空いていて、きっとこれが外から入る時の敷居を下げている工夫かなとも思って。


 他ではあまり見かけない建物の作りに驚いていると、にいさまが、

「ギルドは世界各国同じ造りの建物になっているそうだよ。聖都にもここと同じ建物があるそうだしね」

 と、教えてくれる。

「他の街にもあるのですか?」


「いや、国内にはここと聖都以外にはあと三か所、北方のハッシュブルクと南方のサウザンド、そして西のイオニアにあるそうだよ。いずれも交通の要所となる開けた街だから、こういうギルドが早くからつくられていたのだろうね」


「イオニアといったら、お母様のご実家のマーデン男爵領からも近いです!」


「そうそう。ギルドのある街にはデウス教の大聖堂もあるから、お嬢様は産まれてすぐの洗礼式はイオニアに赴いたのかもしれないね。お嬢様、お母様のシルフィーナさまがご実家に里帰りなさっている間にお産まれになっているから、その可能性が高いかもしれないよ」


 はう。

 そっか。わたくしは産まれてすぐにイオニアに行った事があるのかな。

 今度お母様に聞いてみなくっちゃ。


 ——そっか。あれは大聖堂だったのかな。なにやら金ピカに祀られているデウスの像とかが壁一面にひろがっていた覚えがあるよ。


 え? ファフナ。


 ——アーシャったらまだ目もしっかり開いてなかったから、あたしもうっすらとしか見えなかったけど。随分と悪趣味だなぁってそう思ったもの。


 はうう。

 ファフナったらそんな昔の事。


 ——あら、あたしにとってはほんの一瞬出来事だったわ。貴女が産まれてからいままでなんて。


 そっか。

 ファフナはもっともっと昔から、この世界にいるのですもの。

 わたくしが幼い頃のことなんて、ほんのちょっと前くらな感覚なのでしょうか?

 でも。永い永い年月を生きるって、なんだか少し、寂しいような気もします。

 もしかしてファフナも?


 ——ふふ。アーシャ、ありがとう。それでもわたくしは、今が一番楽しいわ。貴女と一緒にこうして生きるのは、ほんとに楽しいの。




 ああ、ファフナ。

 わたくしも貴女と一緒にいられて本当によかったって思っています。

 大好き。ファフナ。

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