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出来ることなら転生したかった。  作者: ALP
主人公になろう。
8/16

始まってしまった。もう遅い。Ⅳ

「あの。」


「何?」


「・・・姫。折角のお言葉なんですけれど。ええと。」


歯切れが悪そうにツバサが言う。


「もういませんよ。」


・・・。


◆◆◆


帰り道の10分くらい、ツバサは私にかつての友人の話をしてくれた。その人は私と同じように死の際に立ち、剣を手にした。


そういう特殊な事情で生き残り力に目覚めた人達をセバイバー(Sarvivor)という。晴れて私もその一員になったということだろう。


「救世主(Savior)と生存者(Survivor)を足してセバイバー。セバイバーは死に打ち勝つ強大な力を与えられた者です。しかし、一人ではその力を最大限に発揮することが出来ません。」

「一説にはセバイバーは個人を指すのではなくて、生存者のパートナー、つまり剣となる人。その二人のことを指しているとも言われています。要するに、最初に力を与えた者がいなければならないのです。与えたのは私達。姫に力を与えたのは私なのですよ。」


ツバサが自身の功績を讃えるように誇らしげに話す。彼女が続ける。


「例えるなら姫の持っているスマホ。姫がスマホなら私はウィーフィーといったところでしょうか。そんな関係です。」


「ワイファイね。」


切っても切れない間柄ということか。いつの間にか自動接続設定になったようだ。


「セバイバーは力を与えた者が近くにいればいるほど良いのです。」


「どんな人だったの?話したくなければ別に大丈夫だけど。」


「琥珀ですか?そうですねえ。なんだか似てますよ。姫と。」


空を見ながらツバサは言った。無配慮な質問だったと思う。琥珀さんという人はもういないのだから。ツバサはそれ以上、琥珀さんについては語らなかった。


「さ、これから忙しくなりますよ。セバイバーはそういう宿命なのですから。」


「不本意ながら頑張ってみるよ。」


「まずは稽古ですね。さっそく帰ったら始めましょうか。」


天使様はとても張り切っているご様子。しかし、流石に付き合えない。眠すぎる。


「夜勤明け。私。」


「眠さがなんですか。できる、できる。絶対出来ます。諦めなければ。ってテレビで言ってる人がいました。」


「あ、そうだ。ドーナツ買ってきたよ。」


「ドーナツ!?仕方ありませんね。明日からにしましょう。」


「非常に助かります。」


「あっ。」

「ドーナツは今日食べますからね?一緒に。」


私の前を歩いていたツバサは振り返ってそう言った。

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