2、くらいから始めましょうか。Ⅲ
「さあ。」
ファリアが促します。
このゲートは遠くに繋がっているのでしょう。そんなことは誰にでも分かります。通りたいでしょうか。殆どの人が嫌がるのではないでしょうか。
人には繋がりというものがあります。人との繋がりです。もし、それが断たれる可能性があるならば、躊躇するはずです。いきなり現れたゲートは車や新幹線ではありません。二度と戻れないと考えるのが普通です。
私はどうでしょう。私が躊躇する理由があるとしたら、それは。
やはり人との繋がりでしょうか。それが断たれるのを私は恐れています。私には一生償わなくてはならない罪があるのです。
琥珀。私は二度目の飢えを彼女で満たしました。彼女はそもそもセバイバーとして生きることを望んでいなかったのです。私はそんな彼女からも全てを奪いました。私は何故、生きているのでしょう。
「こないの?迷ってる?何を?」
私が俯いていると、ファリアが不思議そうに聞いてきました。
「ええ。大いに迷っています。私はこれからどうしたらいいかについて頭を悩ませています。」
「自分のことを人に委ねたことはある?」
「おそらくありませんね。利用はしていますけれど。」
「じゃあ、ここに未練はある?」
「はい。私には未練があるのかも知れません。私はこの広大な世界で誰一人として幸せに出来ません。それを成し遂げたかったのでしょうね。やり直したいくらいです。私が初めて命を奪った名前も知らない人。琥珀。姫。全員と幸せに生きていきたかった。1からやり直したいです。」
ファリアが私の手を取った。温かい手だった。
「全てをやり直すことは出来ないけれど。そうだなあ。2くらいから始めればいいんじゃない?委ねなよ。素晴らしい友達に。姫だっけ。多分、あっちは友達だと思っているよ。困ったら委ねてみなよ。それに早く会いたいんじゃない?それが友達じゃないの?」
稲妻が走るとはこのことなのでしょうか。同時に衝撃も走り出したようでした。
そうでした。私の考えとは反対に私に会いたがっている人がいる。私の罪を罪だと考えてくれない人がいる。そんな友達。
姫が待っている。それだけでいいじゃないですか。この先に何があるかなんて関係ない。謝れる存在がいるなんてとても幸せじゃないですか。
たまには委ねてみましょうか。ここからようやく私の物語は始まったようです。私は気紛れにもファリアの頭を撫でたくなったので撫でました。
「始めましょうか。1から。いや、2くらいから始めましょうか。」




