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第七章 風雲

 冨康が姿を消してから、一月近くたっても、依然としてその消息はつかめないままだった。萩に行ったのではないか。城内では、そうささやく声が聞かれるようになっている。


 だが、冨康はまだ都にいた。正確には、都の東、七輪山。その山中。小さな山小屋に。都の東の守りの要、この険しい山には、普段から人が立ち入ることはない。それほど険しい。そこにまさか冨康がいようとは、誰も思いつくまい。


「いつまでここにおればよいのだ。」

 今までに味わったことのない粗末な生活に、冨康の我慢は限界に来ている。

「まあ、そう慌てないでください。もうすぐ、すべて整います。」

 そう答えたのは、楠木である。


「本当に、剛夕を消せるのだろうな。」

 冨康は声を落とす。

「もちろんでございます。」

 楠木の回答に、冨康は満足げににやりと笑い、猪口の酒をグイッとあおった。


 楠木は、雪原が都を離れた隙を狙った。楠木にとって、注意すべき人物は雪原だけだ。ほかの者は、己のことしか見えていない、ゴミだと思っている。そして、その通り、反物屋に扮した楠木の使いの者は、いとも簡単に城に入り込み、冨康に楠木からの手紙を渡した。

 手紙には、「あなたのお力になれます。」と言う趣旨の言葉と、場所と日時が記載されていた。そして、楠木の思惑通り、いや、それ以上の好条件で、冨康は現れた。冨康は、家臣一人連れず、たった一人で指定の場所にやって来たのだ。


「このようなところまでお呼びたてしてしまい、申し訳ございません。」

 と、深々と頭を下げる楠木に、冨康は、

「お前は誰だ。どう、私の力になれる。」

 と、ぶしつけに聞いた。楠木が名乗ると、冨康は、「ほお。」と漏らし、やや前のめりになった。


「開世隊は、今の政府を無くし、新しい国づくりをしたいと考えております。また、その力は十分にあると、自負しております。」

「舶来の武器を多く所有しておるらしいな。どこから手に入れた。」

 開世隊が都に総攻撃を仕掛けようとした際、多くの海外製の武器を所持していた、という報告は、冨康も受けている。楠木はそれには答えず、

「その節は、杉が大変失礼いたしました。杉は、少々感情が先走る性分でしたので、事を急いたのでしょう。冨康様が城にいらっしゃるというのに。」

 と、苦々しい顔をしてみせた。気をよくした冨康は、


「それで、お前はどうする。」

 と、にやりとしながら楠木の顔を覗き込んだ。


「まずは今の政府を武力によって制圧します。いまだ剛夕様を推す者がいるなど、恐ろしいことでございます。冨康様をないがしろにするなど、もってのほか。そのような政府、つぶしてしまうに越したことはございません。ですが、問題が一つ。」

「なんだ?申してみろ。」

 冨康はますます前のめりになる。


「我々には政府を潰す力はございます。ですが、新たに作る国に、長となる者がおりません。」

 そこまで言うと、楠木は真直ぐに冨康を見すえ、


「冨康様をおいては。」


 と、言った。冨康は満足そうに目を見開き、鼻息を荒くした。


 こうして、楠木は、いとも簡単に、萩からの進軍に必要な道を手に入れた。冨康は萩と都の間にある国の国主たちに内密に手紙を書き、萩の軍が来ることがあれば、詮議不要と命令したのだ。


「国元から連絡があり、出陣の準備は整ったとのことです。」

 楠木が言う。

「では。」

「はい。」

「いよいよなのだな。」

 冨康は興奮し、目を輝かせた。




 雪原の元に火急の知らせが飛び込んで来たのは、それからほどなくしてからである。

 その内容は、出兵の兆し有りと言うものではなく、すでに、旧都近くまで進軍しているというものだった。それも、「開世隊」が、ではなく、「萩」が、進軍しているという。正確には、萩と開世隊の連合軍だ。


「なぜ今まで気が付かなかった!」


 雪原が珍しく声を荒げた。が、答えはすぐに自身の中に湧いた。

 報告は続く。


「敵の総大将は・・・、冨康様です。」


 一同がどよめいた。が、雪原はすでに冷静だった。

「やはり、そうか。」


 今まで疑念だったものが、事実に変わった。冨康は、萩に、いや、楠木の元にいる。


 保身の気持ちの強い実盛のことだ。開世隊を認めても、萩の軍まで動かすことにはしり込みしただろう。それを楠木は、冨康を総大将にすることで、実盛を安心させ、萩の軍を動かしたのだ。


 さらに、知らせを発したのは、旧都に設置されている政府直属の機関、旧都見守職だった。進路の国は、萩の進軍を黙認している、ということだ。もはや形ばかりではあるが、現将軍は冨康である。その冨康が総大将となれば、その軍を止めることはできない。だが、問題もある。帝の許可を得ていない萩は、たとえ将軍の冨康を擁していても、賊軍ということになる。この戦に勝利したとしても、帝から諸国に対し、萩討伐の勅令が下るだろう。どうころんでも、萩に勝利はない。他国が黙認するのみで、我も、と参加しないのはそのためだ。誰も賊軍に堕ちてまで、この国の変革を望みはしない。逆にいえば、萩は、いや、楠木は、そうまでしてこの国を変えようとしている。正確には、乗っ取ろうとしている。


 雪原はすぐに横浦に向かい、保管していた武器を都に運び入れる手配を整え、滞在している諸外国の外交官たちに警戒を呼び掛けるとともに、横浦に改めて一斉調査を入れた。敵の潜伏を警戒してのことだ。だが、開世隊員、萩の者、またそれと思われる武器の類も発見されなかった。


 雪原はとって返すと、城に赴き、手はずを整え、本宅に向かった。雪原には、もうひとつ、果たすべき責任がある。


 玄関に入ると、息子、章太郎が飛び出してきた。

「父上!おかえりなさい。章太郎は手習いが随分上達したのですよ。ぜひ見てください!」

 雪原が履物を脱がぬうちから袖を引いく。なかなか会えない父の帰宅に、喜びが止まらない。それを、遅れて出てきた妻、節子が止めた。


「章太郎、お父様はお疲れなのですよ。」

「えええ。」

 不服そうな章太郎に、雪原が、

「すぐ行くよ。」

 と言うと、章太郎は嬉しそうに、「待っていますね。」と、駆けて行った。

 その後姿を、夫婦で見守る。


「申し訳ございません。私のしつけが甘いばかりに。」

「いや、元気があって、なによりだよ。」

「もう(とお)になるのに、幼くて。」

 と、節子の眉が困ったように垂れた。


 もう十歳か。雪原は自身の息子の年さえはっきり覚えていないことに気づき、わずかに自責の念がわいた。それと同時に、柚月はあの年で親を亡くしたのだなと思うと、今、自分が死んだら、あの子はどうなるのだろうと考える。自然、顔が曇った。それを心配そうに見つめる節子の視線に気づき、雪原は微笑んだ。


「変わりないか。すまない。何もかも任せきりで。」

「いえ、お仕事、大変でございましょう。」


 節子は、世の状態をおおよそ把握している。そして、雪原が帰ってきたわけも。


 節子は武家の妻として、申し分のない女だ。家を取り仕切り、章太郎の教育にも熱心で、愛人である鏡子のことも承知しているが、何も言わないときている。武家の男は、そういうものだと思っている。唯一、あまり笑わない性分なのが、玉に(きず)だ。


 雪原が部屋に行くと、待ち構えていた章太郎は、夢中であれこれ話した。この顔。幼い頃の自分を見るようだ、と雪原は思う。ますます似てくる。周囲が笑うほどに。ただ、麟太郎のように、すさんだ目をしていない。これも、節子の教育の賜物だと、雪原は思っている。


 節子も加わり、親子団欒の時間をすごした。久しぶりの、そして、これが最後になるかもしれない。そうと知らない章太郎だけが、終始、無邪気な笑顔を見せていた。


 そして、雪原は節子と並んで床に就いた。

 横になってしばらくしてから、雪原は、


「明日、出陣する。」


 と、言い、節子は天井を見たまま、ただ、

「はい。」

 とだけ、答えた。またしばらく間をおいて、


「もし、私が戻らなかったら。」

 と、雪原が言いかけると、

「あなたはお戻りになりますよ。」

 と、節子が遮った。


「そのために、帰って来られたのでしょう。」


 節子は、嫁いですぐ、夫の腹のうちに気づいた。一見穏やかなようで、その内には黒い、憎しみを抱いている。恐ろしい人だと思った。だが、一緒に日々を過ごすうち、雪原の生い立ちを、そして何より、雪原麟太郎という人間を知るうちに、恐れる気持ちは和らぎ、そればかりか、その願いを守ってやりたいとさえ思うようになっていた。だから、雪原が、出世の道から外れる外務職を選んだ時も、何も言わず、表情さえ崩さず、


「あなたの御心のままに。」


 とだけ言った。


 そして今、その思いを遂げるため、満を持して帰ってきた。雪原の願った通り、兄たちを超える地位を得て。今や、政府の誰もが雪原を頼っている。参与の長兄さえ、苦々しい思いを噛み殺しながら、この五番目の弟に願いを託している。この争いを納められるのは、麟太郎しかいないと。


 雪原はちらりと節子を見た。よくできた妻だ。と、思っている。自分には、もったいないとも。

「お前も、もっといいところに嫁げばよかったのに。」

 本音が漏れた。

「あなた以上の方は、いませんよ。」

 と、節子は微笑む。


 雪原は知らない。節子は、いやいやいるのではない。しっかり雪原に惚れている。良いも悪いも、すべて飲み込んで。まだ、雪原が、誰も知らない、雪原家の五男坊だった頃から。


 翌朝、いつものように章太郎も玄関に見送りに来た。

「今度はいつ、お戻りになるのですか?」

 寂しそうに聞く。この子供は、世の中の事情など知らない。ただただ大好きな父に会えず、寂しがっている。その顔を見ながら、大きくなったな、と雪原は改めて思った。


「お父様を困らせるものではありませんよ。」

 節子に制され、ふてくされる章太郎を見て、雪原に笑みが漏れた。

「すぐに戻るよ。」

「本当ですか!」

 章太郎の顔が、ぱっと明るく咲いた。その後ろで、節子が複雑な笑みを浮かべている。雪原はその節子に微笑みかけると、


「行ってきます。」


 と言って、玄関を出た。

 章太郎の、「いってらっしゃい。」と言う明るい声に背を押されながら。


 雪原麟太郎の、初陣である。




 萩の軍が迫っている、その知らせを椿が聞いたのは、雪原が横浦に立つ直前、知らせに来たのは、清名だった。


 市場から戻ってくると、邸の前に馬が止まっていた。珍しいと思っただけだったが、ちょうどその時、玄関から出てきた清名の顔を見て、ただ事ではないと察した。


「清名さん!」

 椿が駆け寄ると、気づいた清名も椿に駆け寄ってきた。そして、椿が問う前に、

「萩が、攻めてきます。」

 と、言った。開世隊と萩の連合軍が。


 旧都近くまで進軍してきている。と聞いて、椿は、七日もすれば、都の入り口、羅山に到着するだろうと計算した。時間がない。


「私はこれから、雪原様について、横浦に行きます。椿殿と柚月は、こちらにて待機するようにとのことです。」

 清名はそう告げると、馬にまたがり、城に向かっていった。

 椿は邸に飛び込んだ。


「鏡子さん!」

 と、珍しく大きな声を出した。

 飛び出してきた鏡子も、やや青ざめた顔をして、

「椿、今、清名さんがいらっしゃって。」

 と説明しかけたが、椿はそれを遮った。

「お聞きしました。柚月さんは?」

 聞かれて初めて、鏡子は柚月の姿が消えたことに気づいた。

「さっきまで、ここにいたのよ。厠、かしら。」

 と、鏡子は厠の方を見やったが、椿には、邸の中に、人の気配は感じられない。ガランとしている。


 この空虚感。胸が重くなる。


 椿は脱ぎかけた下駄を再び履き、外に出た。


 邸裏の河原に向かうと、やはり柚月が座っていた。作っていたのか、手元に花冠を置き、ぼんやりと川の方を眺めて、草をちぎっては放っている。その草が風に乗って舞っていく。


 椿は近づくにつれ、掛ける言葉に困って、歩みが遅くなった。「邸で待機するようにとの命令です」と言うほど、冷酷になれない。柚月は、ずっと川の方、いや、もっと遠いどこかを見つめたまま、椿に気づかない。もう手が届きそうなところまできて、ふいに下駄が小石をかんで、椿は豪快に転んだ。

 柚月もさすがに気がついた。


「だい、じょうぶ?」

 いつもなら咄嗟に立ち上がって助けてくれそうなところだが、今の柚月は、ただただ目を丸くするだけだった。だが、すぐに椿が来た理由を察し、「邸にいないとね。」と、腰を上げようとした。それを、椿が止めた。

「すぐには、次の指示もこないでしょうから。」

 柚月も、「そっか。」と、上げかけた腰を再び地面に下ろした。


 夕日で、水面がキラキラと輝いている。


「大丈夫、ですか?」

 問われて、柚月は、「大丈夫。」と言いかけたが、言葉が出る前に両手で顔を隠した。椿の真直ぐな目に、心を見透かされそうな気がした。


「いや、ごめん。大丈夫っていう顔、してないよね。」

 自嘲が混ざる。


 楠木を斬る。心を決めたはずだった。それは、開世隊を、しいては萩も、敵に回すということも分かったうえだ。なのに、清名から知らせを受け、少なからず狼狽した。いや、自分で思った以上に。そして気づいた。この期に及んでまだ、どこかで、この日が来なければいいのにと願っていたのだ。


 情けない。


 柚月は大きくひとつ、息を吐くと、ガシガシと頭を掻いた。

「大丈夫。やるべきことは、分かってる。」


 自分に言い聞かせるように言う。その目に、声に、強さが戻っている。だがそれ故に、無理をしているのが伝わってくる。椿は何も言えなかった。


「疑ってる?」

 柚月はいたずらっぽく聞いた。子供っぽいその顔に、椿も思わず笑みが漏れ、口元に手を当てた。

「いえ。」

 この笑顔。口元に添えられた手。この手に、斬らせないと決めた。


「楠木は、俺が斬る。」


 柚月は、真直ぐに椿を見つめてそう言うと、再び、川の方を見やった。

「新しい国を作るんだ。弱い人が、安心して暮らせる国を。」

 夕日に照らされた柚月の横顔は、強いまなざしで、真直ぐに、前を見つめている。


 なぜ、と椿は思う。なぜ、柚月が見る未来はいつも、明るい物だけではないのだろう。なぜ、黒い影がついてくるのだろう。弱い人を想い、新しい国を作りたいというこの人が、 楠木を、師と慕った人を、父を想った人を、自ら殺すと言っている。どんな時も、弱い人を思い続ける、優しいこの人が。

 椿も、柚月が見る先を見つめた。


「私には、親も兄弟も、家族と呼べるような人はいません。あるのは、拾ってくださった雪原様へのご恩だけです。」

 だから、人を斬ることも(いと)わない。確実に仕留めなければ、雪原に危害が及ぶ。その一心で剣を振るってきた。

「私には、難しいことは分からないけど、この戦が終わったら、刀を持たなくていい国になってほしい。」


 誰よりも、柚月が、もう人を斬らなくていい国に。


「あなたは、人を斬るには、優しすぎる。」

 そう言って微笑む。その微笑みに、言葉に、柚月の痛みを想う気持ちがにじんでいる。


 うれしかった。


 柚月はくすりと笑うと、椿の頭に花冠をのせた。椿が微笑む。うれしそうに、恥ずかしそうに。そして上目遣いに、柚月と目が合った。


 柚月は一歩、手をついて体を傾けると、椿の頬にキスをした。


 再び目があう。柚月はいつものように微笑んでいるが、その目には、知らない、男の色が差している。椿が初めて見る表情(かお)だった。


 間をおいて、事態が分かった椿の頬が、染まった。夕日の力を借りて、より赤く。頬まで、脈打っているのを感じる。心臓の音が、自分の耳で聞こえるほど大きい。柚月にまで聞こえそうで、それがまた恥ずかしい。


 柚月は何事もなかったかのような顔で、川を見つめている。その目は強い決意を宿し、夕日に輝く水面を捉えていた。




 その日が来た。早朝、椿は先に邸を出た。いつもの着物に袴を着け、腰には刀をさした。女装で、という指示だ。おそらく、敵の目を少しでもそらすため。椿は、城で剛夕の警護に当たる。が、あくまで、女中としてということだった。


 邸を出る前に離れに行くと、柚月が部屋から出てきた。

 柚月は本陣に行き、雪原の警護に当たる。本陣は、都の中央あたりに位置する、濱口家を借りることになっている。


 ここでの別れは、今生の別れになるかもしれない。互いに分かっているが、言葉にはしない。代わりに、しばらく見つめあった。


「では、先に行きます。」

 先に口を開いたのは、椿だった。

「うん。」

 と、柚月も微笑む。


 玄関で鏡子が椿の背に打石を打ち、柚月と二人で椿を見送った。

「さて。」

 と、鏡子はいつもと変わらないような声で言うと、柚月に握り飯を用意してくれた。

 それを平らげると、今度は柚月が出る番だ。


 鏡子とも、また会える保証はない。


 鏡子は、雪原に避難するよう言われたが、「都で戦をするのに、どこに行っても同じでしょう。」と言って、聞き入れなかった。

「私は、ここを守ります。」

 みんなが帰って来る場所を。鏡子の目には、覚悟があった。息を一つは吐き、雪原が折れた。


「いってらっしゃい。」

 玄関に見送りに来た鏡子が言う。柚月は答えそうになったが、喉まで出かかった言葉を飲み込み、迷うように唇をかんだ。そして、応える代わりに、


「俺、嫌だったわけじゃないんです。」

 と、言い出した。

「鏡子さんが、『おかえり』って言ってくれるの。ただ、・・・・怖くて。」


 また、「ただいま」と言える場所を、無くすのが。


 皆まで言わずとも、鏡子には分かった。

「帰ってらっしゃいね。」

 と言う。柚月が振り向くと、

「待っていますからね。」

 と、重ねた。

「はい。」


 柚月にも、火打石を打つ。「あ、でも、本当に危ないと思ったら、逃げてくださいね。」と、柚月が念押しすると、鏡子は、「分かっていますよ。」と、笑った。


 どこであれ、鏡子のいる場所に帰ってくる。椿も、雪原も。皆のいる場所が、帰る場所だ。


 朝日で白く輝く先に、柚月は勢いよく駆け出した。


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