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謎を紐解いて 真打2  作者: キョンシー
第7章 怨まれる被害者
15/22

怨まれる被害者 前編

※後編は20日火曜日の20時に投稿されます※

 4月12日火曜日の5時42分。最近5時30分に起きれなくなってしまっているが,今のところ支障は

出ていないので大丈夫であろう。

 眠い目をこすりながら1階に下りると,姉さんがパソコン開いて何かをしていた。

「おはよー。」と言われたので

「おはよー。」と返した。

姉さんは授業プリントを作っていた。結局小学校への異動は無くなったから良かったし,何より姉さんが

嬉しそうだった。…そういえば,明日入学式とか言っていたような。

「今年は数学科だけだよ。去年は数学と社会担って,一昨年は数学,社会,音楽,体育担ってて

過労働って言われた。」

「そりゃ過労働ですよ…!確か一昨年は全学年行っていたんですよね?」

「そーそー。合計31クラス。」めっちゃ真顔で言われた。

「姉さん,頑張ったね…。」

「頑張ったよー。…しかも1階から4階まで左右だけでなく上下にも動くからさ,足腰が鍛えられたわ。」

これまた真顔で言った。

「今年はどうなったんですか?」

「気持ちが楽になった。」

「要するに姉さんが過労働じゃなくなったと。」

「そ。数学に集中できるわー。…あ,担当クラスは無いけど社会科もできるからさ,佐良さんの補助に

入ってる。」

「南海さんは脳疲労の影響がありますけど,今のところどうなんですか?」

「正直去年よりだいぶ影響が出てるね。事件に巻き込まれて精神がどうのこうのの問題もあるだろう

し,何より,十分に睡眠がとれていないんじゃないかな。数週間前に比べて笑顔が少なくなったし。

たぶんその問題は,新入生の担当をすることによってエスカレートしていくんじゃない?唯一の救いは

副担任だから,そこまで気力を使わないことかな。クラスの問題とか起きたら,対処できるかどうか

分からないし。」

姉さんが刻々と同じトーンで喋った。

頑張れと言ってしまったら,完全に他人事になってしまうけど頑張ってほしい。

 気付いたら6時20分だった。顔洗いと歯磨きを済ませて警察署の方へ向かった。こんな時間帯でも

みんな来ているんだろうなぁ。ほんとなんでそんなに早いのかっていうぐらい早い。

 警察署に着いた。案の定,3人の車があった。

「おはようございます中月先輩。」そう横から声をかけたのは月輪さんだった。

「おはようございまーす。相変わらず早いですね。」

「これが習慣なものですから。」くすっと笑った。…数ヶ月前まで()()()()()にいたとは思えない。

「素晴らしい習慣です。」

月輪さんは再びくすっと笑った。一緒に警察署の中へ向かうことに。

 建物内に入った。まだ人が少なかった。でも45分過ぎたらわらわらといるんだろうなぁ。

「おはようございまーす。」前方にて青海さんが挨拶をした。

「おはよーでーす。」

自分と青海さんはこんな感じで挨拶をする。こっちのほうが気楽でいいのだけど,年齢で見ると

青海さんの方が年上だから,これでいいのかと悩んでしまう。

 7時。この前の姫魂電力の社員が犯した事件についてをまとめる最中。あの後,社長さんが詫びていた

報道を見た気がする。けど,殆ど姫魂電力が街の電力を担っているので,誰も文句は言っていないと

思う。…どっちにしろ殺人はダメなのだが。

そう思っていると,月輪さんがお茶を淹れてくれた。ほんと来た時と比べてだいぶ角がとれているよ。

この場に慣れてくれるだけでもありがたいというか,凄いというか…。

 一方,咲魂さんは上層部の方に呼ばれていたみたいだ。

「…まさか飛ばされるなんてことは無いですよね?」

「無いですよー。」

ちょっと心配だったので安心した。

「ところで中月先輩。今夜小遙さんがどれぐらいの時間帯に帰ってくるかご存じですか?」

「えーっと…だいたい18時半って聞いています。」

「分かりました!」

姉さんに会いたいのかな。咲魂さんのことだから十分にあり得そう。

 10時。市内で事件が起きたらしいので向かうことになった。絞殺事件らしい。毎日のように事件が

起きているんじゃ,世の中も末だな。

そんなこんなで現場に着き,現場検証を行っていた。被害者の名前は坂木瑠衣さん39歳。死因は絞殺。

近くにロープがあり,ロープの模様と被害者の首に付いていた模様が一致したので,これが凶器かな。

現場は,ちょっとした高級住宅街の中の空き家の敷地内だった。

 次に自分たちは被害者の周りの関係を調べた。するとどうだろう,4人ぐらい怪しい人が出てきた。

被害者は相当恨みを買っていたようだ。

「あいつは借りた金は返さねぇ,飯行った時は誰かが奢るまで待つ,席は譲らないクズだよ。でも

殺しちゃいねぇ。そこまで俺は馬鹿じゃねぇし。」

この人は富岡拓也さん。

「はぁ。それは…たいそうなこったで…。」

「まぁ要するに恨まれる原因はいっぱいあったってこった。」

「なるほど。で,本題なんですが,一昨日に被害者と会っているみたいですが…。」

「あぁ,それは呼び出されたんだよ。もうすぐ誕生日だからなんか買ってくれって。普通求めるか?」

「求めないですね…。」

「断ってあとでなんかぐちぐち言われたら嫌だから行ったんだけどよ,1万円以上かかったわ。」

「えぇ…。」

被害者のまぁまぁヤバい一面を聴いたところで,次の人のもとへ。

「瑠衣はね,恨まれて当然なのよ。なにしろ態度がめちゃくちゃ悪いの!一応私のほうが年上なんだけど

思いっきり見下すもんだからさぁ。」

この人は上原美奈さん

「そうなんですか…。えっと,昨日会っていると伺っています。」

「あー,それは誕プレの話よ。決して殺すためじゃないわよ。」

「はぁ…。」

「誕プレをねだるのは百歩譲ったとしても条件1万円以上は気が狂っているよね。」

「条件1万円以上…?!」

「あいつはそういうやつ。しかも私らの誕生日の時は1000円以下のものを渡してくるんだよ。」

「…なんか…言いようが無いです。」

 一旦警察署に戻って,情報整理をした。

「こう言うのもあれですが,殺されて当然だと思います。」月輪さんがいつになくきっぱりと言う。

「まぁ…確かに殺意は湧くと思います。」

「その殺意を抑えきれずに実行した人がいる…。何年も耐えてきた人なんですかね?」

青海さんがちょっと手がかりを言ってくれた。

「何年も耐えてきた人なら,可能性はありますね。」

「そこを中心に探ってみますか…。」

どうやらさっきの2人はかれこれ5年以上耐えているようだ。

 次の人のもとへと向かった。

「被害者とは1週間前に会っているそうですが。」

名前は國木壮一さん

「あー,誕プレの話でな,断ったらよ,買わないと一生付きまとうって言われたんだよ。」

「噂によると1万円以上のものじゃないとダメだとか…。」

「そうそう。それ。まぁ,一生付きまとわれようが,嫌だから渡さないし買わないつもりでいた。」

「ちなみに被害者とはどれぐらいの付き合いで?」

「まだ1年も経ってねぇかなぁ。でも,周りのやつからあーいうやつって聞いたんだよ。」

次の人のもとへ

「あいつはダメよ。正直言って。」

この人は川崎友奈さん

「やはり誕プレが…?」

「そうだよ,あいつ頭おかしいよね。でも,私とあいつとの関わりはまだ浅いから5000円以上のもので

許してあげるとかほざいてたよ。」

「5000円も高額ですよね。」

「他のやつは1万円以上らしいからねぇ。」鼻をずるずる言わせながらそう言った。

「あの,風邪でも引かれているんですか?」

「先日から風邪気味でね…。」

 聴き込みが終わり,警察署に戻った。

「なるほど。要するに誰から殺されてもおかしくない人だったと。」咲魂さんの目が死んでる…。

「今のところ可能性があるのは前者2人です。長い付き合いでケリをつけたかったから殺した。これが

妥当なのかなぁって。」

「5年以上ですから最低でも5万円以上はかかっているわけですし,なんか複雑ですね。」

今話登場人物

中月なかつき

小遙こはる

遙申はるた

艦艇かんてい警察署 捜査一課第3係

青海あおみ影木えいき

咲魂さごん早姫さき

月輪つきわ希々(きき)

:被害者

・(坂木さかき瑠衣るい)

:容疑者リスト

上原うえはら美奈みな

川崎かわさき友奈ゆうな

國木くにき壮一そういち

富岡とみおか拓也たくや

:その他

・(南海みなみ佐良さら)

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