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謎を紐解いて 真打2  作者: キョンシー
第6章 身近な会社員の犯行…?
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身近な会社員の犯行…? 前編

 4月11日月曜日の朝6時。初めて寝坊した。

「寝過ぎたぁぁ。」

「どこがー?」姉さんは目を細めて聞いてきた。

「だっていっつも30分ぐらいには行くんですよ!」

姉さんは時計をちらっと見た。それにつられて自分も見た。5時45分。……あれ?

「5時45分だよ。」

「あれ?部屋の時計,6時に…。」

「あ,ごめん。昨日の6時に時計が止まって,それっきり直してないんだよね。あとで直しとく。」

そう言いながら,姉さんはボールペンで右手の甲に“時計直せ!”と書いた。

「あー焦ったぁ。」

「ごめんごめん。昨日は普段以上にぽけーっしてたから。」姉さんぽけーっとしてないよ。

「…姉さんいきなりだけど,左利きの心地ってどうなの?」

「難しいこと聞いてくるね。生まれつき左利きだから,心地は良いよ。右利きの遙申からしたら違和感を

覚えるんだろうけど。両利きになってからも,左利きがメイン。」目を細めた笑顔で言った。すると,

「事件,起きないといいよね。」と急に真顔になった。

「さぁ…。どこかしらで交通事故とかは起きているらしいんですけど,事件は無いですからね。あっても

困りますけど。」

「もしあったら私もすっ飛んでいくね!」

「え?姉さん仕事でしょ?」

「そーじゃなくてぇぇ,比喩だよー。」

肩をぽんっと叩かれた。でも姉さんの推理力異常に高いから,来てくれると嬉しいかも。

 ささっと支度をすぐに済ませてからのんびりしてた。すると咲魂さんから電話がかかってきた。

「あ,ちゃんと登録したんだー。」

「そりゃ仕事で使いますからね…。……はい中月です。」

『咲魂です。早朝からすみません。警察署に到着次第2階の第4会議室に来てもらっていいですか?』

「第4会議室…。了解です。」

『詳細はそこで話します。』そこで電話が切れた。…今日はちょっと早く行くかな。



 いつもよりも早く警察署に着いたが,相変わらず3人の車はある。部下より遅れてくる上司って

どうなんだろ。

そんなことを思いつつ,さっさと言われた会議室に向かった。

「おはようございます。早速なんですが,上から渡された資料をお見せします。」咲魂さんは笑顔を

絶やさなかったが,汗が少し出ていた。それほど急に入った事件なのだろう。

そしてモニターに地図が映し出され,ある1点に赤い点が出た。

「事件は複乃市で発生しました。そこにある倉庫で,近隣の方が死体を発見したそうです。

被害者の名前は河間仁美さん37歳で,死因は腹部をナイフで刺されたことによる大量出血です。」

「倉庫ってガレージ付きの?」

「はい。シャッターが開いていたので,通りかかった際に発見されたようです。あ,死亡推定時刻は

10日の午後11時から11時半の間です。凶器であるナイフは,被害者の遺体の付近に落ちていて,

先端部分に付着した血・刃先と傷口の形より断定されたようですよ。指紋は出ませんでしたが…,

被害者宅のナイフだそうです。倉庫にあって,キャンプで使うようなものですね。」

「ナイフの定位置って分かります?」

「倉庫の端の方にキャンプ用のグッズが置かれていたのですが,そこにあるホルダーから抜き取られた

ものだと。実際,凶器であるナイフはぴったりとホルダーにはまりますし。」

だとしたら,被害者の身近な人が犯行に及んだとみてもいいだろう。

「あの,中月先輩。今朝の4時からここに居まして…。仮眠とってもいいですか?」

「あ…お疲れ様です。どうぞどうぞ。」

「すみません。姫魂電力のほうも夜中立て込んでいたので。」

そう言うと一礼して会議室から出ていった。

 7時。現場検証に行っていた青海さんが帰ってきた。

「おはようございます中月先輩。被害者の周りに怪しいと思われる人物が3人ほど浮上したんで,

数時間経ったら聴きこみに行きましょ。」

その3人は,被害者と仲が悪かったり,恋人の関係だったり,友達という関係だったりでばらばらでは

あったが,全員“キャンプを通しての仲”であることが分かった。恋人までも捜査線上に容疑者として

浮上したのは驚きだったが,家の構造…すなわち倉庫の構造を知っているなら犯行に及ぶこともできるで

あろう。ただ,やはり可能性としては低かった。



 5時間後の12時。異変が起きた。

「え?捜査打ち切り?」

上から捜査の打ち切りを命令された。

「あぁ。遺族の方の許可もいただいた。」

にしても,こんな急に…?何かしらの要因があるはず。そう思って,事件の調書を読み返していた。

そういえば,容疑者として浮上した3人について詳しく見ていなかったなぁ。

とか思っていたら,月輪さんがちょうど持っていた。

「月輪さん,それ貸してもらっていいですか?」

「いいですよー。」

もらって見てみた。……そういうことね…?犯人もなんとなく分かった気がする。あとは動機も固めて

探っていかないと。

今話登場人物

中月なかつき

小遙こはる

遙申はるた

艦艇かんてい警察署 捜査一課3班

青海あおみ影木えいき

咲魂さごん早姫さき

月輪つきわ希々(きき)

:艦艇警察署 上層部

・上層部警官

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