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第32話 シソーヌ覚醒 決着へ向けて

誤字報告有難うございます。

直接感謝を伝えられないのが残念であります。


 ゼギアス大皇国軍と、ポロイス大共和国軍が大平原でかち合った。

 お互いがお互いを牽制しつつ向き合っている。

 そこにアグーの翼で空を飛んでいるシソーヌ姫が、魔力を乗せた声で語りかけた。


「私は聖王国第一王女、シソーヌ・ヒーメ・アークガドです。急遽ではありますが、大皇国・大共和国連合軍の指揮を取らせていただきます」


 その声に泡を食ったような声が飛んでくる。


「連合ですと!? 蛮族とクツワを並べろと!?」


「大聖王国の姫とはいえ! 年端も行かぬ貴女にそれが出来るのか!!」


「見下す事しかできぬ愚者と協力など! 御免被る!!」


 けんけんごうごうと、両軍から非難の声が聞こえてきた。



「じゃあ!! 勝手に死ねばいい!!!!」


 

 大音量での大喝。

 こんなシソーヌ姫、初めて見る。


「敵の敵は味方です! 大聖王国の王族では不服ですか! 世界の危機に最善を尽くさぬ者こそ愚者でしょう!」


 魔素を乗せた声で続ける。


「共和国!! 魔皇国!! 聖王国!! 三大国が連合すれば伝説の魔獣すら打ち果たせる!! 迷いは連携を乱します。覚悟を決めろぉ!!」


 手の平を開いて、前に突き出す。


「防御系魔導具部隊は最前線で魔防障壁を展開! 次列に大共和国重装兵が並びなさい! さらに次列! 魔導兵器砲撃隊が砲撃準備! 歩兵はその後ろで本来の陣形で待機! 騎兵は両端へ移動! 空兵は遊撃隊として戦場を俯瞰しておくように! じゃあ布陣して! 早く!!」


 あんな小さい女の子が……。

 アグーが作戦を考えてシソーヌ姫が喋ってんだろうけどさ、どうもあのコの事、まだ見くびってたみてえだな。





 時間はかかったけど布陣が終わった。

 魔人族と亜人の幕僚たちが、空を飛ぶ魔導具とワイバーンに乗ってシソーヌ姫に並ぶ。


「ゼギアス皇国軍、準備整いましてございます」


「ポロイス共和国も同じく」


「分かりました。遠射兵は魔素・魔石の装填を」


「「ハッ!!」」


 両軍に指示が飛ぶ。

 俺は歩兵隊の最前列に、

 マキマキは魔導兵器砲撃隊や魔術師系の人たちと並ぶ。

 ソレガシの旦那とアルマは重装兵の巨人族ジャイアント昆虫人インセクターのカブトムシみたいな人たちと一緒だ。


 アスガイアーアイでサジーさんの方を確認。

 サジーさんが作った壁のエネルギーが弱くなってる。

 そろそろ限界か。


「くっふっふ……。呉越同舟か。無駄な足掻きよ」


 クズ野郎がなんか言ってる。

 バリィン!! と大きな音が大平原に響いた。

 せき止めていた壁が砕ける。

 おぞおぞと、数万匹の蜘蛛が迫ってきた。


「遠射兵!! 撃て!!!!」


 数百の、大小あるエネルギーの弾が魔獣群に着弾。

 いくらかの蜘蛛がバラバラにはじけるが、勢いは止まらない。

 うう、ガマンガマン。


「魔防障壁を張りなさい!!」


 最前列にガラスみたいな壁が張られた。

 魔防障壁を張った連中が後ろに下がり、ソレガシの旦那たちが最前列に出てくる。

 魔防障壁は蜘蛛たちの突撃にすぐ割れた。

 でも群れの勢いは弱くなっている。


 止まっている蜘蛛の群れに、デカい奴らが突進した。

 ドバァアンと前列の蜘蛛たちが吹っ飛ぶ。


「全軍!! 突貫!!!!」


 オオオオオオオオオオオ!!!!


 シソーヌ姫の号令に全軍が走り出した。

 よっしゃ。俺も。


「アスガイアー・ビームぅ!!」


 ダッシュで一番前に出て、熱線で蜘蛛を焼き払う。

 さらに勢いを殺された蜘蛛の群れに全軍が攻勢に出た。

 ビームを打ち終わった俺の所へ、ソレガシの旦那とアルマが走って来る。


「カブラギ殿よ。雑魚はこやつ等に任せて、我々は元凶を叩くぞ」


「お待ちになって!」


 振り返ると、メイ姫と護衛の二人がいた。


「私共も連れて行ってくださいませ!」


 いやー……。


「すまねえメイさん。それは無理だ」


「足手まといだからでしょうか! 何かあれば捨て置いてかまいません!」


 三人の目がキッと俺を見る。

 ここは毅然としないとな。


「かまわねえのはメイさん達だけだろ。俺たちはかまうんだ。それに、そうなったらソマリさん達に合わす顔がねえよ」


 うーん、説得できたかな?

 メイさんは顔をゆがめて、また口を開いた。


「私共の分まで、偽りの英雄に鉄槌を」


「オッケー」


「アルマさん。カブラギ様の補助を……お願いしますわ」


「言われなくとも」


 なに今のやり取り?

 あ、二人とも仲いいもんな。激励ね。

 声かけられなかった旦那が少し寂しそうだけど無視だ。


「いくぞ!!」


 俺と旦那とアルマであの気持ち悪い怪物、《崩国の姫》へ向かう。

 走りつつ

 デカい蜘蛛、

 全身刃物みたいな蜘蛛、

 毒々しい蜘蛛、

 実体のない煙みたいな蜘蛛を、

 三人で切ったり、殴ったり、肩で弾き飛ばしたりしつつ走る。


「うおっ!」


 俺たち三人の上からデカい足が振り下ろされた。

 横っ飛びで避けて見上げると、巨大な蜘蛛が別の足を振り上げている。


「タイラント・デス・スパイダーです」


「へー、デカいね」


「よし! アルマ殿!」


「了解しました」


 アルマが黒斧クロラブリュスを構えたまま、旦那の肩に乗った。

 旦那はそのまま踏ん張ると、目いっぱいジャンプする。

 黒斧が落ちてくる巨足を縦に割いた。

 そのまま空中で旦那がアルマの両足を持ち、ブンブンと振り回す。

 大丈夫!? 女性をそんな振り回して!

 タイラント・デス・スパイダーの表皮がスパスパと切れていく、

 

「ぬうん!」


 旦那が下からすくい上げるようにアルマを振った。

 黒斧がタイラント・デス・スパイダーの顔面を切り裂き、旦那がパッと手を離してアルマを投げた、

 落ちてきたアルマがそのまま、デカブツを両断する。

 ズウンと死体が倒れた。


「何それ! 合体技!?」


「いかにも。その名も絶技! えー、すぐに思いつかぬ」


「ただの連携です。武器を持たないソレガシ殿と動きが未熟な私の。それより急ぎましょう」


 そうね、急ごう。

 軍の奴らの為にマキマキに残ってもらったけど、ジュエルパワーをかなり使ってたし余裕はない。

 蜘蛛の群れの中にはかなり強い種類もいるみたいだし、さっさと済まさないとね。

 なるべく強いエネルギーの蜘蛛を避けつつ、群れの最後列へなんとか到着。


 三人でグッと戦闘態勢をとって、向かい合うのは――



 コォォォォォォォォォォォォォオオオオオ。



 目元に空いた真ん丸の穴で睨みつつ、

 口元に空いた真ん丸の穴から薄気味悪い声で威嚇してくる。

 灰色の、女みたいな形の5メートル程の怪物。

 下半身の蜘蛛みたいな部分は、景色を切り取ったの? 

 ってくらいの黒色をしている。

 そんで、その蜘蛛部分の顔も凶悪だった。

 まるで、自分をこんな姿に変えた世界を恨んでるような顔だ。

 そうか、こいつも被害者なんだよな。

 

「変! 身! 戦闘バトルフォーム!!」


 フォームチェンジして、拳に炎をまとわせる。


「終わらせてやるぜ!! 《崩国の姫》さんよ!!」 

 





ポイント評価ありがとうございます。

欲しいURが出た時くらい嬉しいと言えぱ伝わりますか?

多謝であります。

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