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第20話 振り返りと密談


 貴族さん達がゾロゾロ出て行って、会議室に残ってんのは10人になった。


 俺、マキマキ、アグー、シソーヌ姫とアルマ。

 王様と宰相のサイロスさん、マルク将軍……じゃない大将軍とバラック爺ちゃんにアベイル隊長だ。


 ゴラモコーさんが去り際に、模様の入ったベーゴマみたいなモンをくれた。


「北方でこれを見せれば、大体の都市には入れる」


 それだけ言って部屋を出て行った。

 最初は取っつき辛そうなおっちゃんだと思ったけど、良いトコあるね。


「カッコよかったよー! アグーやるじゃん!」


 シソーヌ姫が、アグーの体毛を両手でビヨンビヨンしてる。


「引っ張らないで! 引っ張らないで!」


 サイロスさんがニコニコしながら別にアグーをフォローすることなく、俺たちに座るよう促してくる。

 今度は機嫌よくシソーヌ姫もアルマに椅子を引かせて、ドシンと座った。


「ご協力ありがとうございましたアグー殿、打合せ以上の弁舌でした。それと共にこの場の皆さんに謝罪いたします。今回の会議は国内を団結させる事に重きを置いていた為、詳細は伏せていました。アベイル殿の弁護とバラック殿の仲裁がなければ上手くいかなかったでしょう。感謝いたします」


「そういう事ですか、宰相様もお人が悪い」


「ほっほっ、おかげで異界人の方々のお人柄がよく分かりましたわい」


 バラックじいちゃんが、シワだらけの顔をクシャリとさせて笑う。


「それにカブラギ殿の真摯さも伝わりましたの」


「だからお伝えしたではないかバラック老、彼らは信用できると」


 マルク大将軍が目を細めて、満足そうに言う。

 すると王様が立派な椅子から立ち上がった。

 サイロスさんも立ち上がって椅子を空けると、王様は段を下りてその席に座り、サイロスさんは王様の斜め後ろに立った。


「してバラック宮廷魔術師長。先ほどの協議、其方はどう見た?」


「ハッ! 今特に影響力のあるお三方を、四功臣という新たな役職に封じた事は英断かと」


「そう考える理由は?」


「第一にラムーベ辺境伯に足りない政治力を補う人材がその名声に集まります。選抜は宰相殿にお任せすれば万全かと。第二にジャラミ伯の抑止は名声が高まった事で問題ありません。小心な為に、一度上がった名声を落とすようなことは本人が避けるでしょう。第三にゴラモ候の独立心を完全に挫きました。今後聖王であらせられる陛下が悪名でも被らぬ限り、功臣であるはずのゴラモ候が独立しても世間は乱心としかとらないでしょう、味方は出来ません。そして陛下と後継者のノマリタ殿下が悪名を被ることはあり得ません」


「うむ」


 まあ、王様が騎兵で号令出して敵陣に突っ込んでたのはみんな見てたし、俺も正直しびれた。あれはかっこよかった。

 そんで殿下はまだ会ってねえけど、魔王を倒した勇者さまだもんな。


 アグーがふわふわと前に出た。


「かの方々は能力も高く、国の再建に欠かせませんぢゃ。問題があった内面も、サイロス宰相殿が注視されていれば改善されていくでしょう。私共の世界の言葉にも、心が変われば態度が変わる、長じて人格が、人生が変わるとあります。自身の立場が自覚と心を変えてくれるでしょう」


 はー! 色々考えてたんだな!

 任せておけなんて言ってたけど、アグーがあそこまで口が回るとは。

 ただの白い毛玉の食いしん坊ジジイだと思ってたわ。


「ただの白い毛玉の食いしん坊ジジイだと思ってたわ」


「カブラギさん……」


 口に出てた!

 マキマキが呆れた声を出して、アグーが鼻息をフンスと出す。


「ワシはジュエルランドで研究者をやっておったんでの! プレゼンテーションで研究資金を出させるのもお手の物だったんぢゃよ! 年季が違うわい!」


 ……プレ……何?


「カブラギの弁舌も良かったぞ! 他の貴族たちにも響いておったわ!」


 ガハガハ笑ってマルク大将軍が褒めてくれた。


「父の言う通り、二心なく真摯な心が伝わってきました」


 アルマも褒めて……父?


「親子?」


 整った顔のアルマと、ハルクホーガンみたいなヒゲしたマルク大将軍を両手で指さす。


「なんだ! 聞いておらんかったのか?」


 似……似てねえ~~。


「似……似てねえ~~」


「カブラギさん!」


 口に出てた!

 マキマキに怒られたが、アルマは


「はい。本当に良かったと思っています」


 真顔だが、心なしか満足そうに言った。

 マルク大将軍は心なしか悲しそうだけど。


「カブラギ殿は自然だなあ。そういった壁を作らないところに好感が持てるよ」


 アベイル隊長が切れ長の目を細め、サラサラで金色の前髪を揺らす。

 いや、これでも気い使おうとは思ってんだけどね。


「お父様。ところでどういった理由でこの顔ぶれを残されたのでしょう? 協議を振り返るだけならば、お父様がわざわざ高座から降りられる必要はありませんもの」


 シソーヌ姫が姿勢を正して王様に聞く。

 みんなが注目すると、王様は咳払いをした。


「うむ、内密に……信のおける者たちで話し合うべき件が残っておるのだ。これを領主諸侯に知られる前に解決したいと考えておる」


 まだなんか難題が残ってんのか。


「アタシ達にできることならおっしゃって下さい!」


 マキマキもやる気まんまんだ。

 俺だってなんか頼まれ事だと思ってたし、世話になってる分くらい働こうと思ってる。


「実はな」


 みんなが王様に注目する。




「金がないのだ」






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